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実物を見ないで中古車を買っても大丈夫? プロが教える失敗しない中古車選びのコツ

くるまのニュース 2021年12月30日 18時10分

半導体不足による新車の納期遅れが続いている昨今、新車の納車が待てないユーザーが中古車購入に流れており、中古車市場は活況のようです。そこで、中古車購入で失敗しないコツを販売のプロに聞いてみました。

■いま中古車市場がアツい!

 昨今の半導体不足などによる新車の納期遅れが続いており、改善の兆しが見られるものの、人気モデルになると納車まで1年以上かかることもあるようです。

 その影響は意外なところに及んでおり、中古車市場が活況になっています。注文しても納車日が決まらない新車より、目の前に現物がある中古車にユーザーが流れるのも当然といえ、そのためオークションでも以前より高値が付いているそうです。

 中古車購入の最大の魅力は、もちろん「価格」です。新車では到底手が出せない高級車も、年式が古くなればお手頃価格で購入できます。

 その一方、安いということは「経年劣化」していることが関係しているわけですが、この劣化や故障が少ない良質な中古車を見つけるのは本人次第。中古車は1台ごとにコンディションが違うため、安さに釣られて程度の悪い中古車を購入してしまうリスクがあります。

 とくにクルマのような精密機械のカタマリは、新車からどのように扱われていたかでコンディションにかなり差がついてくるものです。

 以前は中古車販売店に出向いて現車を確認するのが定番でしたが、昨今はインターネットで検索して購入することも非常に増えており、これに伴い購入後のトラブルも多発。購入後に不具合が見つかり相談に来るケースが増加しているといわれています。

「安物買いの銭失い」にならないためにも、程度の良い中古車を選ぶためのポイントやコツなどについて、都内で国産・中古車を問わず販売している中古車店のオーナー O氏に聞いてみました。

 昨今は何でもインターネットで検索・購入できる時代となり、新車もネット購入OKですし、中古車も数枚の画像とスペック(年式や走行距離などの現車の状況)で判断するケースが増えています。しかし、現車確認と信頼できるお店選びが最重要課題だとO氏はいいます。

「画像はいくらでもキレイに撮影できますし、お店の規模や実力まではサイトでは分かりにくいものです。

 また最近ではオークションを利用する人も多いかと思いますが、その場合は『現状優先』。つまり整備前の状態です。

 欲しい車種を探すのは当然ですが、中古車の場合は人気と走行距離、程度によって価格が設定されます。市場価格より安いということは、それなりの理由があるからなんです」

 お店選びに関しては、自社できちんと整備できる(または提携している整備工場がある)かも大きなポイントになるといいます。

 見積もりを依頼しても明細が出てこない、試乗を嫌がる、そもそも対応が良くないなどのお店から購入するのはやめておいたほうが賢明だとO氏はいいます。

「中古車はあくまで中古なので、新車と同様のコンディションではありません。劣化した部分や不具合の出ている箇所をしっかりメンテナンスする必要もあるので、そのぶんの予算も確保しておいてほしいです」(中古車店オーナー O氏)

※ ※ ※

 中古車選びの指標のひとつに「走行距離」があります。よく聞くのが「1年1万km以下」という数字。つまり「5年落ちなら5万km以下」ならある程度の状態がキープされていると思いがちですが、これも半分正解で半分は不正解のようです。

「同じ5年落ちでも、何もメンテナンスされていない3万kmより、定期的に整備やオイル交換された5万kmのほうがコンディションは良好な場合もあります。このあたりもしっかり説明してくれるお店かを判断してから、商談したほうが良いでしょう」

 購入後はメンテナンスや点検、車検などでお世話になるケースも増えるだけに、たとえインターネット経由の通販だとしても信頼できる販売店選びが重要になってくるのは間違いなさそうです。

■重要保安部品の作動とサビの有無、内装のチェックを忘れずに!

 お店選びの次は中古車選びです。前述のように、中古車は1台ごとにコンディションが違うため、いくつもの項目を判断する必要があります。

「画像だけでなく、可能ならやはり現車をチェックしたほうが良いです。第一印象で違和感がある場合は、どこかバランスがおかしかったり不具合を隠している可能性があります。

 別にメカに詳しくなくても良いので、少し離れた位置から現車を眺めてみて、なんとなくしっくりこない中古車は諦めたほうが良いでしょう」(中古車店オーナー O氏)

内装の劣化もチェックしたいポイント

 次にチェックしたいのがサビの有無と、「走る・曲がる・止まる」などクルマの基本的な作動を支える「重要保安部品」と呼ばれるパーツの状態です。

「外から見えなくても、ボンネットを開けてエンジンルーム内にサビがないか、サスペンションやブレーキローター、キャリパーなど足回りにもサビが出ていないかを目視で確認することも大切です。

 またウインカーやテールランプなど灯火類がちゃんと作動するかの確認も、忘れずにチェックしてほしい部分です」(中古車店オーナー O氏)

 もうひとつ、中古車のコンディションを判断できるのが内装の状態です。

 中古車販売の場合、ボディの外側はピカピカにしやすいのですが、内装は清掃程度でほとんどそのままの状態のため、それまでの使われ方を如実に物語っているそうです。

「ボディの大きなキズは論外ですが、内装の状態で前オーナーがどのように扱っていたかが推測できます。

 たとえばシートにチャイルドシートを取り付けた跡があり走行距離が短ければ遠出をしない女性オーナー、ホイールやタイヤが交換されていて走行距離が伸びている場合は走り好きだったオーナーが乗っていた可能性など、プロファイリングしてチェックしていくのは意外に有効です」(中古車店オーナー O氏)

 ヘコミやキズなど外装の補修は比較的容易でかつ費用も把握しやすいのですが、内装の補修は手間と費用がかさむ場合が多いのだとか。

 内装が剥がれてきている、シートの端が擦れてしまっている、変な臭いがする場合などはルームクリーニングだけでは改善しない場合もあります。

 画像では分かりにくい部分だけに、シートのヘタリなども前席と後席に乗り込んで確認したほうが良いそうです。

「忘れてはいけないのが、カーナビやバックモニターなどの純正オプションの状態です。

 地図データが古いのは仕方ないとしても、ちゃんと作動するか、映っているかを確認してください。

 高級車の場合、純正の電装パーツはとくに高額な場合が多いので、交換しないでも済むのかは忘れずにチェックしてほしい箇所です」(中古車店オーナー O氏)

 要するに、高額な電装パーツや消耗品などがまだ正常に使えるかがチェックポイント。購入したらすぐに修理&交換することになるような出費を抑えるためにも注意したい部分です。

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 めでたく購入となった場合でも、中古車の場合はあともう少し確認が必要です。

 重要保安部品であるATやステアリング、ブレーキやサスペンションなど足回りの不具合は、やはり乗ってみないと分からないケースも多いのです。

「ATの変速ショックが大きい場合は、重大なトラブルを抱えている可能性があります。初期不良に関しての保証は各店によって違いはありますが、たいていは納車後1か月または走行1000km以内であれば重要保安部品の修理もしてくれるはずです」(中古車店オーナー O氏)

 さまざまなクルマに乗った経験がある人はともかく、初心者だと変速ショックが大きくても「こんなものかな」と納得してしまうかもしれません。

 車種ならではの特徴もありますが、Dレンジに入れても何となく前に進まない(加速が悪い)、変速時にドスンと衝撃が出る、足回りから異音がする場合などは、きちんと症状を伝えて対応してもらうのが得策です。

 そのためにも整備もできるお店での購入が必要になるということです。

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