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冬タイヤ「ミゾ半分」で効果ナシ!? 公安委員会が使用禁止を明文化 残ミゾの見方とは

くるまのニュース 2022年1月10日 9時10分

雪の運転では、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)を装着して走行することが望ましいですが、タイヤのミゾが残り半分となっている場合には使用禁止を明言しているところもあります。どのような条件なのでしょうか。

■スタッドレスタイヤは溝半分になると使用できない

 スタッドレスタイヤは新品時から50%摩耗(タイヤ溝が新品時の半分)すると、氷雪路でのグリップ性能が大きく低下します。
 
 そこがスタッドレスタイヤを交換するタイミングとされています。

 スタッドレスタイヤのトレッドパターン(地面と接する部分)にはサマータイヤにはない細かい切れ込み(サイプ)が入っています。

 このサイプによるエッジ効果で、雪や氷に覆われた路面をグリップしやすくします。摩耗によってこの切れ込みが浅くなるとグリップ力も大幅に下がってしまい、滑り止め効果もなくなってしまいます。

 では、スタッドレスタイヤは残り溝どれくらいまで使えるのでしょうか。

 一般的なサマータイヤの場合、保安基準で定められたタイヤの残り溝は「1.6mm」です。

 1.6mmあれば車検に通りますが1.6mm未満なら保安基準を満たさないため、車検不適合となります。

 しかしスタッドレスにおいては1.6mmというわけにはいきません。

 サマータイヤとは使用限界となる溝の深さがまったく異なるからです。

 スタッドレスでは溝が新品時の半分以下になると使うことができません。滑り止め効果がほぼなくなると思ってよいでしょう。

 具体的には新品時の溝がだいたい8mm前後となるので4mm以下になれば使用できなくなるのです。

「50%摩耗」「残り溝新品時の半分」を知るにはスタッドレスタイヤについている「プラットホーム」といわれるサインで確認します。

 サマータイヤでいうところのスリップサインと同様の「使用できるかどうかを見極めるポイント」で、日本ブランドのスタッドレスタイヤはすべてこの「プラットホーム」で摩耗をチェックできるようになっています。

 また、ブリヂストンではプラットホームでチェックする以外に、100円玉でのチェック方法も紹介されています。

 ブリヂストンのスタッドレスタイヤBLIZZAKの交換時期を知るには100円玉を用意して、「100」の文字がタイヤに直角になるように溝に差し込みます。

 このとき、100の「1」が見えたら残り溝は約5mmとなるため、そろそろ交換の時期と考えてよいでしょう(タイヤサイズによって、溝の深さは多少異なります)。

 また、数字(残り溝の数値)や雪マークでより分かりやすく表示しているタイヤブランドもあります。北欧フィンランド生まれのノキアンタイヤは1934年に世界初のウインタータイヤを生み出した老舗タイヤメーカーとして知られています。

 ノキアンタイヤにおいては、摩耗状況がわかりやすいよう「4・6・8」の数字がタイヤに刻まれています。

 数字の「6」が残っていれば、6mm以上溝が残っていることを意味しており、タイヤ表面の数字が残り溝の深さと一致しています。

 さらに、数字の横にある雪マークも同様にマークが消えたら溝が半分以下であることを示す仕組みになっています。(輸入タイヤの中にはプラットホームやインジケーターがついていないスタッドレスタイヤもあります)

■公安委員会も明文化する内容とは

「摩耗が50%になったスタッドレスタイヤの使用禁止」実はこのルールを公安委員会で明文化している県があります。

 道路が積雪・凍結した際、タイヤチェーンを取り付けたりスタッドレスタイヤなど冬用タイヤに履き替えたりして走行することは、沖縄県を除く都道府県道路交通法施行細則または、道路交通規則で定められています。

 そしてそのうち10県の公安委員会では、残り溝が新品時の半分(50%以上摩耗)になったらスタッドレスタイヤを使用してはいけないと定めています。これは岩手、宮城、秋田、山形、福島、石川、福井、兵庫、鳥取、広島の10県です。

 一例をあげてみましょう。こちらは岩手県道路交通法施行細則第14条第6号の一文です。

「積雪し、または凍結している道路に置いて、駆動輪(他の車両を牽引する場合にあっては被牽引車の最後部の軸輪含む)のすべてのタイヤに鎖を取り付けること。

 雪路用タイヤ(雪路用タイヤとして製作されたもので接地面の突起部が50%以上摩耗していないものに限る)を全車輪に取り付けることその他のすべり止めの方法を講じないで自動車(小型特殊自動車を除く)または原動機付自転車を運転しないこと」

 このなかに「雪路用タイヤ(雪路用タイヤとして製作されたもので接地面の突起部が50%以上摩耗していないものに限る)」と記されており、ほかの9県の規則にも同様の内容が記されています。

プラットホームの確認方法(画像提供:ブリヂストン)

 2021年1月には国交省がバス・トラック事業者向けに「すり減った冬用タイヤの使用禁止」を明文化して発表しました。

 2020年末の大雪発生時に関越道や北陸道で大渋滞が発生しましたが、これらの渋滞を引き起こしたおもな原因はすり減った冬用タイヤやチェーン無しの車両が数多く滞留したこととされています。

 その事案を踏まえて「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」をそれぞれ一部改正しています。

 一般乗用車においてもスタッドレスタイヤを使う前には、溝の状態をプラットホームなどで確認して使うようにしましょう。

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