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冬はクルマが錆びやすい!? 雪道走行後は要注意!「塩害」からクルマを守る対策とは?

くるまのニュース 2022年2月11日 9時10分

雪道は滑りやすく、クルマで走行するのに気を使うことが多いものですが、じつは帰ってきてからも気を使うべきことがあります。それは下回りの洗浄です。では、なぜ洗車が必要なのでしょうか。

■雪道走行後にクルマが錆びやすくなるのはナゼ?

 普段雪が降らない地域に住んでいる人でも、ウインタースポーツをする人は雪道を走行する機会があるでしょう。

 スタッドレスタイヤを装着したり、タイヤチェーンを準備したりと、事前に雪への対策が必要です。

 しかし、雪対策は出かける前だけではなく、じつは帰ってきてからも対処する必要があるのです。それは「雪道走行後の洗車」です。

 しかも単純に汚れを落とすだけでなく、下回りを入念に洗う必要があるというのですが、なぜなのでしょうか。

 まず、雪道をクルマが安全に走行するためには、路面に積もった雪を除雪し、凍結を防ぐかことが大事です。そのため道路管理会社などは、路面に「融雪剤」を散布して対応しています。

 雪の多い地域の高速道路などで、路面に広がる白い粉が巻かれているのを見たことがある人もいるかと思いますが、融雪剤は雪を溶かし、溶けた雪解け水の凍結を防止する役目も担っています。

 しかし、この融雪剤の主な成分は塩で、塩が持つ「凝固点降下」と呼ばれる化学反応を利用しています。

 通常の真水は0℃で氷になりますが、塩分が混じった水は氷になる(凝固する)温度を引き下げることができます。

 また水に溶けると発熱する性質を持つカルシウムなどが含まれている融雪剤もあり、降り積もる前に雪を溶かしてしまう効果を狙っているとされています。

 そのため融雪剤には「塩化ナトリウム」「塩化マグネシウム」「塩化カルシウム」などが使用されているのですが、これがクルマに使用されている鉄などの金属パーツに付着することで酸化し、錆を発生させる原因になり、放置するとどんどん金属が腐食してしまうわけです。

 神奈川県の整備工場を経営するH整備士は、そんな融雪剤による錆や腐食に関してさまざまなケースを見てきたそうです。実際、どれくらい錆びたり腐食してしまうのでしょうか。

「融雪剤は想像以上にクルマの金属パーツ、とくにシャシやサスペンション、パイプ類などに錆を発生させ、腐食させてしまいます。

 雪の多い地域のトラックでは、頑丈なはずのラダーフレームが腐食してしまったり、フューズボックスが腐食してしまうケースもありました。

 またオイルクーラーのパイプが腐食し、オイルが流出してしまうケースもあります。これはすべて融雪剤による錆と腐食が原因です」

 海沿いの地域で使用されるクルマは塩害によってボディが錆びやすい傾向があるといわれていますが、これと同じ現象が、融雪剤が混じった雪解け水でも起こるということです。

 またボディは塗装で保護されており、剥き出しの金属パーツより耐性がありそうに見えます。

 しかし実際は、含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分が塗装面に付着したまま放置しているとシミになってしまうといいます。

 そうなると今度は(付着した)ミネラルを除去する成分の入ったケミカル製品などを使わなければならなくなってしまうそうです。

■走行後の洗車は早めにおこなうのが◎

 クルマに付着した融雪剤を一刻も早く洗い流すことが錆防止に繋がるということです。融雪剤を含んだ汚れへの対策はどのようにしたら良いのでしょうか。

「クルマの下回りはボディのように塗装されていないパーツも多く、撥ね上げられた汚れがエンジンルームなどにも侵入しています。

 それを考慮して下回りを重点的に洗車することで、できる限り融雪剤を洗い流すような洗車を心がけてください」(H整備士)

錆の原因は道路に撒かれる融雪剤

 自分で洗車する場合、一般的なホースの水圧では十分とはいえないこともあり、できれば高圧洗浄機などを使って、普段届かない下回りまで入念に洗車するのがおすすめだとH整備士はいいます。

 その際は下回りだけでなく、ホイールハウス内のサスペンション部分やブレーキローターなどもしっかりと洗い流すと良いそうです。

 高圧洗浄機を持っていないという人は、ガソリンスタンドの洗車機での洗車がおすすめです。

 現在の洗車機のなかには「下部洗浄」のオプション機能が付いているものがあり、これなら下回りを洗浄することが可能です。費用は通常の洗車代にプラスして数百円なので、時間と労力の節約になります。

 さらに、洗車のプロ業者に頼むという方法もあります。その場合はクルマをリフトアップして下回りをスチームなどでさらに入念に洗車するので、どうしても錆びさせたくない人は検討してみてもいいかもしれません。

「そのほかに大切なことは洗車のタイミングです。雪道を走行後、数週間経ってから洗車では金属パーツが腐食しはじめる可能性もあります。

 できれば帰ってきた当日、または数日以内に融雪剤を落とす洗車をしたほうが良いと思います」(H整備士)

 また、ボディの下回りに防錆塗料を塗装する『シャーシブラック』というものがあります。その名の通り、シャシやパイプ類などに防錆塗料を吹き付け塗装する施工法で、その塗料が黒いことから作業そのものや使用する塗料名もそう呼ばれています。

 融雪剤にも効果を発揮しそうですが、実際どうなのでしょうか。

「確かに『シャーシブラック』を施せば、一定の防錆効果は得られると思います。ただし、シャーシブラック塗料には油性と水性があり、油性は耐久性が高いのですが、光沢が出やすくあつかいやすい水性を使用しているショップもあります。

 融雪剤を含む防錆効果を求めるなら油性でないと効果は十分に得られないこともあり、手軽だからという理由で水性を選んでしまうと、せっかく塗ったのに効果が弱いということにもなりかねません。

 ショップにお願いするなら油性でとひと言伝えるのが良いでしょう。

 またシャーシブラックなどの防錆塗料はあくまで表面をカバーするためのものなので、すでに錆が出てしまっている場合、塗装する前に削ぎ落とすか錆を安定した酸化鉄に変換させて進行を止める『錆転換剤』を塗布してもらう必要があります」

 費用はかかりますが、雪道走行が多い場合は錆びる前に油性のシャーシブラックを施工するのもひとつの対策となりそうです。

※ ※ ※

 融雪剤には雪を溶かしたり、凍結させないというメリットがある一方、クルマのボディを傷めてしまう副作用もあるというわけです。

 そのため雪道を走ったらすぐに洗車することが重要で、そこまでやってこそ十分な雪対策といえそうです。

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