全国各地には、その地域特有のローカルルールといえる「ご当地ルール」が存在します。なかには、危険な行為となるものもあります。そんななか、2022年1月から愛媛県では「伊予の早曲がり」への対策が強化されたといいます。
■「伊予の早曲がり」とは? 危険なご当地ルールにご注意
クルマで公道を走行する際には、道路交通法に則った運転が求められますが、なかには地域特有の「ご当地ルール(ローカルルール)」が浸透している場所もあるようです。
ご当地ルールには、どのような運転方法があるのでしょうか。
ご当地ルールとは、地域によっては独自の運転ルールを指し、有名なのでは愛知県の「名古屋走り」、茨城県の「茨城ダッシュ」、長野県の「松本走り」、岡山県の「岡山ルール」、愛媛県の「伊予の早曲がり」など、各地域に複数存在しているようです。
ただ、こうしたご当地ルールのなかには周囲のクルマに危険をおよぼす可能性のあるものも多いのも実情で、その危険性はたびたび話題となっています。
例えば、愛媛県で浸透している前述の伊予の早曲がりは、交差点を右折する車両が、信号が青になった瞬間、対向車を遮って強引に曲がるという運転方法です。
SNSでは、伊予の早曲がりについて、「伊予の早曲がり怖い!事故りかけた!」「ほんと危ないよね、ちゃんと取り締まってほしい」という声が見られます。
本来、道路交通法第37条には「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と定められており、右折車両が対向の直進車両・左折車両を遮ることは違反行為となります。
ご当地ルールとはいえ、伊予の早曲がりもこの対象となり、おこなうと違反行為とみなされます。
愛媛県松前町では、2022年1月から毎月「特別週間」を設け、伊予の早曲がりをはじめとする危険な運転に対して、重点的な取り締まりをおこなっています。
また、伊予の早曲がりの発祥ともされる愛媛県伊予市の警察担当者は、防止対策について「取り締まりを強化し、交差点の中心に白バイ隊員を配置して違反者がいないかを注意深く確認しています」と説明します。
さらに愛媛県警交通指導課では、伊予の早曲がりについて啓発するポスターを制作しており、伊予の早曲がりの危険性や正しい右折をおこなうことを強く訴えています。
■ご当地ルールはほかにも? 実は知らずにやってしまう人も多い
このように、防止対策が進められている伊予の早曲がりですが、ほかの地域ではどのような対策をおこなっているのでしょうか。
前述の茨城ダッシュと松本走りも、伊予の早曲がり同様に右折車両が対向の直進車両・左折車両を無視して先に曲がってしまう運転方法を指しています。
一方で、ご当地ルールはその地域の運転者にとっては当たり前の運転方法になっているため、悪気なく違反行為をしてしまっている人が多いのも実情です。
例えば、SNSでは「ニュース観るまで存在を知らなかったけど、父親の普段の運転は『伊予の早曲がり』と呼ばれるらしい…」「いつもの自分の運転が『茨城ダッシュ』だった…」という声も見られます。
このように、無意識的に違反行為につながってしまっている点もご当地ルールの恐ろしいポイントです。そもそもの運転方法が違反と認識できていないことも課題といえます。
そのため、まずは認知を促すために、茨城県警は茨城ダッシュについてSNSを使った紹介や注意喚起をおこなったり、松本市では松本走りについてホームページにて啓発文を掲載したりしています。
また、運転者自身に危険な運転であることを認識させるためには、同乗者からの呼びかけも有効的といえそうです。同乗した際に、運転者の運転が危険だと感じた際には、しっかりと伝えることも重要です。
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ご当地ルールは、取り締まりの対象になることはもちろんですが、周囲のクルマに危険をおよぼす可能性も高いため、相互で危険性を伝え合うことで、より安全に走行できるようにするのが望ましいでしょう。