スポーツカー(スポーティモデル)のボディカラーには「黄色(イエロー)」が採用されるケースがありますが、なぜあえて黄色を用いるのでしょうか。
■黄色は存在感を強調出来る!? スポーツカーに黄色が採用されることが多いのはなぜ?
2022年1月31日、ホンダが中国で展開する合弁会社「广汽ホンダ」は微博(中国のSNS)にて、同市場向けの新型「インテグラ」の画像を複数枚公開しました。
画像は、鮮やかな黄色のボディカラーが映えるようなスポーティなものが多かったですが、なぜスポーツカーやスポーティモデルの多くには黄色のボディカラーが採用されることが多いのでしょうか。
新型インテグラは、中国と北米で異なるモデルが発表されています。
中国では前述の通り、广汽ホンダが「シビック(東風ホンダ)」の姉妹車として新型インテグラを発売しており、発表時には「ブレイジング イエロー」をイメージカラーとして訴求していました。
この際、广汽ホンダは「ブレイジング イエローは生命力と豪快さの象徴」だといい、「初めて購入する新世代の若い消費者をターゲットにしています」と説明していました。
一方、北米で発表された新型インテグラ(プロトタイプ)はホンダの高級ブランド「アキュラ」が展開する予定となり、歴代からのDNAを受け継いだモデルです。
このアキュラインテグラにおいても発表時には、黄色ボディカラーを採用しており、これは2000年から2001年に発売された「インテグラタイプR」の「フェニックスイエロー」に敬意を表した「インディイエローパール」だといいます。
ホンダは、前述のインテグラタイプRをはじめ、「NSX」「シビックタイプR」「ビート」「S2000」「S660」「N-ONE(RS仕様)」など、黄色のボディカラーを採用することが多く見受けられます。
またほかのメーカーでも、トヨタではスポーツカーの特別仕様車に黄色を採用することがあり、「86」や「マークX」などが挙げられます。
スズキでは「スイフトスポーツ」に黄色のボディカラー「チャンピオンイエロー」を採用していますが、これは同社のモータースポーツのイメージカラーとして使用してきた色から設定されているようです。
ボディカラーについて、エアロパーツなどのデザインを手掛けるA氏は、次のように説明しています。
「スポーティなクルマでは、ホワイトカラーにレッドのアクセントや、ボディカラー全体をレッド、ブルー、イエローを採用することが多いです。
どれも各メーカーが歴代のモータースポーツなどで採用したカラーを市販車に反映しているケースが多いようです。
そうしたなかで、イエローはひと目見た瞬間にその存在を認識出来る傾向にある目立つカラーなため、なにか強調したいことや主張したいことなどを訴求する際に用いられることが多いです。
そのため、量販車とは立ち位置の異なるスポーツカー(スポーティモデル)を訴求するにはイエローが適しているともいえます」
■一方でイエローはポップかつ可愛さのイメージもあるが…
スポーツカーなどに採用されることが多い黄色のボディカラーですが、軽自動車やコンパクトカーなどでも採用されることがあります。
軽自動車では、ホンダ「N-BOX(現在は廃盤)」、ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシアギア」「ジムニー」、三菱「eKクロス」、コンパクトカーでは、トヨタ「ヤリス」、三菱「ミラージュ」などが挙げられます。
なぜスポーティな印象ではないこれらのクルマにも黄色が採用されるのでしょうか。
軽自動車やコンパクトカーを専門に扱う中古車業者は次のように話します。
「黄色などの明るくポップな色は、女性のお客さまから人気があるようです。
普段の買い物やお出かけなどで乗る愛車のため、可愛らしさを求める以外に大きな駐車場に止めた際にすぐ分かるように、というお客さまもいます。
また、中古車では白や黒、シルバーといった定番色以外の派手なものは相場が安いことから、手が届きやすいという要因もあるかもしれません」
一方で前述のジムニーは黄色を採用する理由はほかとは異なるといい、現行モデルの発表時にスズキのデザイン担当者は次のように述べていました。
「ジムニーのボディカラーは『機能を表現する色・素材』を狙いとしています。
採用される『キネティックイエロー』は、目立つ性能を追求した要素を重要視しており、実際に仕事で使われている人や、森林組合などへの調査結果で採用に至っています」
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このようにスポーティや可愛らしさ以外にも、機能的な要素も兼ね備えている黄色のボディカラー。
販売面では決して多いとはいえないものの、その色にはさまざまな意味が込められているようです。