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「営業マンの本音は?」 クルマは「現金一括orローン」どっちが良い? 多様化する購入方法、正解はある?

くるまのニュース 2022年2月7日 14時10分

クルマの購入方法が多様化しつつある現在ですが、販売店や営業担当者は現金一括よりも残価設定ローンや個人向けリースをすすめる傾向があるといわれています。その背景にはどんな事情があるのでしょうか。

■多様化する購入方法、正解はある?

 どんなクルマをどんなオプションで購入するかを考えるのは、クルマ好きでなくても楽しいものですが、実際に購入する段階になると「どのように購入するか」で頭を悩ませることになります。
 
 販売店や営業担当者は現金一括よりも残価設定ローンや個人向けリースをすすめる傾向があるといわれています。その背景にはどんな事情があるのでしょうか。

 クルマを購入する場合、いくつかの選択肢のなかから支払い方法を選ぶことになります。

 現金一括や3年、5年などのローンが一般的ですが、近年では残価設定ローンや個人向けリースなどの選択肢もあり、それぞれのメリット・デメリットを判断した上で支払い方法を決定する必要があります。

 ただ、個々人の状況に依存する部分が大きいため、どの支払い方法がベストであるかは一概にはいえません。

 例えば、「現金一括で買えないなら買うべきではない」という意見があります。

 たしかに、手元に十分な現金があるなら、現金一括で購入するのが最も金銭的負担は少ないかもしれません。

 一方、いくらかの金利や手数料と引き換えに、手元に現金を残せる、あるいは現金が貯まるまでの期間をスキップできることを考えると、ローンのメリットも少なくありません。

 また、残価設定ローンや個人向けリースは、車検証上の所有者がユーザー自身ではないため、厳密に言えば「購入」とは言えませんが、月々の支払額を抑えられるというメリットがあります。

 同様に、クルマを「お金を支払って利用するもの」というようにとらえると、残価設定ローンや個人向けリースのメリットを感じやすいと言えますが、クルマを「資産」としてとらえたい人には、あまり向かないかもしれません。

 いずれにせよ、ユーザーの事情は千差万別であるため、すべての人に最適な購入方法はないというのが実際のところです。

 だからこそ、販売店の営業担当者が、ユーザーに合わせたファイナンスプランを提案することがふつうです。しかし、販売店側や営業担当車側にも事情があることを考えると、必ずしもユーザーにとってメリットのある提案ばかりではないという懸念もあります。

 販売店の営業担当者は、基本給に加えて歩合給があることが一般的です。新車の販売はもちろん、残価設定ローンや個人向けリースの契約、さらには販売店で取り扱っている保険の契約などによっても歩合が発生することがふつうです。

 なかでも、残価設定ローンや個人向けリースの契約は、現金での販売よりも歩合が割増になる傾向が強く、そういった意味では現金一括よりも、残価設定ローンや個人向けリースのほうが営業担当者にとって「おいしい」と言えます。

 では、実際に販売店の営業スタッフは、現金一括での購入を希望しているユーザーに、残価設定ローンや個人向けリースをすすめることはあるのでしょうか。

 ある国産メーカーの販売店関係者は次のように話します。

「残価設定ローンや個人向けリースをおすすめするように会社から指示が出ているのは事実です。

 そのため、購入が具体化してきたお客さまにはやんわりとそれぞれのメリットをお伝えするようにはしています。

 しかし、『新車は現金一括のみ』あるいは『借金(ローン)は絶対しない』という強い意志を持っていらっしゃるお客さまも多く、そうした人には必要以上の提案はしないようにしています。

 お客さまの機嫌を損ねて、新車購入自体がご破算になってしまっては元も子もありませんので」

 このように、あくまで新車を販売することが優先されるため、契約破談になるリスクを冒してまで残価設定ローンや個人向けリースを勧めるということはないようです。

■マジメな営業担当者ほど残価設定ローンをすすめる?

 歩合制度に関してもユーザーと販売店の営業担当者ではイメージが少々異なるようです。

「たしかに営業担当者にとって歩合給はうれしいものですが、給与に占める歩合の割合は、よほどのスーパー営業スタッフでない限りそれほど大きくありません。

 そのため、営業担当者が『大儲け』するために、ローンを強くおすすめするということはまずないと思います。

 お客さまのご意向を無視してしまう例があるとすれば、残価設定ローンや個人向けリースでの販売を伸ばしたいという会社側の意向に忠実な『マジメな営業担当者』なのかもしれません。

 ただ、お客さまの意向に沿わない無理な契約はトラブルのもとであり、結果的に会社の損になってしまうので、できるかぎりお客さまのニーズを優先するようにしています」

クルマの購入は車両価格以外にさまざまなお金がかかるのも気にするべきポイント

 そもそも、なぜ販売店は残価設定ローンや個人向けリースを強くすすめるよう指示を出しているのでしょうか。

 そこには、金利や契約手数料によって利益を得られるといった事情以外の理由もあるようです。

 ある販売店関係者は次のように話します。

「これまで販売店の利益の大半は新車販売によるものでしたが、将来的な人口減少が見込まれる日本では、新車販売にいつまでも頼り続けるわけにはいきません。

 そこで、多くの販売店が、メンテナンスや車検など既存顧客向けのサービスを強化したり、中古車販売をおこなったりしています。

 残価設定ローンや個人向けリースでは、契約期間終了後には車両を返却することが前提であるため、お客様さま確実に販売店に戻ってきます。

 そこで、新たな商談をおこなうことができるという点が、販売店が現金一括を嫌う本当の理由ともいえます。

 また、経歴の明らかな中古車が戻ってくる、つまり中古車販売における仕入れの場となるのも、残価設定ローンや個人向けリースの大きなメリットです」

※ ※ ※

 現金一括よりも、残価設定ローンや個人向けリースのほうが販売側のメリットが大きいのは事実なようです。

 しかし、それは単に営業担当者の歩合給が良くなるからというよりは、縮小する新車市場のなかで、顧客とのつながりを維持していきたい販売店側の切なる願いという側面が強いといえます。

 インターネット上には、「残価設定ローンや個人向けリースは、金利(手数料)が高いためだまされてはいけない」という強い表現の言説が見られることがあります。

 しかし、手数料分のメリットが得られると感じるなら、残価設定ローンや個人向けリースという選択肢は決して悪いものではありません。

 重要なのは、営業担当者の話を鵜呑みにすることなく、自分自身で契約内容をしっかり理解し、納得したうえで最適なプランを選ぶことだといえます。

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