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ノッポ車増えた駐車場の「全高1550mm問題」 SUV全盛期で施設側も対応に追われる? 2mまで対応施設も登場!

くるまのニュース 2022年2月22日 11時10分

最近のクルマは室内空間を確保するために全高が高いものも多くなっています。一方で機械式駐車場では「全高1550mm」という制限を設けられていることが少なくありません。この「全高1550mm」問題はどのような状況なのでしょうか。

■SUV&ミニバンが全盛の時代の弊害?「1550mm問題」とは

 都市部に多く見られる機械式駐車場ですが、「全高1550mm」という制限が設けられていることが少なくありません。
 
 しかし、SUVやミニバンが全盛となっている昨今では、この数値は過去のものとなりつつあるようです。

 世界有数の人口密度を誇ることで知られる日本の都市部では、駐車場の確保が大きな問題となります。

 そこで、日本では古くから「機械式駐車場」という独自の駐車システムが発達しました。

 機械式駐車場には、大規模商業施設に設置されている大型のものから、住居向けの2層式のコンパクトなものまで大小さまざまな種類が存在します。

 機械式駐車場の歴史は古く、日本では1962年1月に日本橋高島屋で初めて採用されて以降、高度経済成長、そしてモータリゼーションの波に乗って日本の都市部各地へと広がりました。

 欧米各国と比べて、都市部への人口集中が極端な日本において、土地を有効活用できる機械式駐車場はまさに願ったりかなったりの存在でした。

 しかし、近年機械式駐車場について、「1550mm問題」あるいは「ハイルーフ車問題」と呼ばれる問題が発生しているといいます。

 機械式駐車場の種類によって入庫可能なサイズは異なりますが、全高については1550mmの制限を設けている場所は少なくありません。

 これ以上の全高を持つクルマについては、「ミドルルーフ車」あるいは「ハイルーフ車」と呼ばれ、専用のスペースへ入庫するか、機械式駐車場の利用を断られることがあります。

 セダンやクーペのほとんどが全高1550mm以下のため、入庫に際して全高が問題となることはありません。

 しかし、近年トレンドとなっているSUVや、ファミリー層に人気のミニバン、あるいは軽スーパーハイトワゴンなどは、全高1550mmよりも高くなることも珍しくありません。

 実際に、日本自動車販売協会連合会が発表した2021年の新車販売台数ランキング上位のなかで、全高が1550mmを超えるグレードが存在するのは、「ヤリスクロス(1590mm)」、「ルーミー(1735mm)」、「カローラクロス(1620mm)」、「アルファード(1935mm)」、「ライズ(1620mm)」、「ハリアー(1660mm)」、「ヴォクシー(1895mm)」、「フリード(1710mm)」と全高1550mmを超えるものがかなり多く見受けられます。

 かつてのセダンやクーペが全盛だった頃をベースとした基準となる全高1550mmですが、セダンやクーペが下火となり、それに変わって居住性に優れるSUVやミニバンが人気となった昨今では、その基準がもはや意味を成さないものとなっています。

■新規施設はハイルーフ対応が標準も、既存施設が課題に

 SUVに関しては、単なる流行り廃りではなく、今後の自動車業界においては、もはやクルマの基本形といってもよいほどの存在となっています。

 そのため、近年新設される大規模商業施設などの機械式駐車場では、ハイルーフ車の入庫台数をできるだけ多くするという方針が採られているようです。

 例えば、2018年に開業した日比谷ミッドタウン(東京都千代田区)には、平面式と機械式合わせて約200台の駐車場が用意されていますが、どちらも全高2000mmまでのクルマに対応しています。

 乗用車では、純正の状態で全高2000mmを超えるクルマはほとんど存在しないため、事実上ほぼすべてのクルマが駐車できることになります。

 駐車場の開発・運営をおこなう日本駐車場開発の担当者は「個人の保有車両でハイルーフ車が増えていることは事実であり(ハイルーフの駐車が可能な)平面式駐車場のニーズは高まっています」と話します。

 さらに、「普通車サイズの機械式駐車場を導入済みのビルオーナーに対して、ハイルーフ対応のものへとリニューアルする提案も進めている」と話すように、駐車場側でも時代の変化に即した対応をおこなっていることがうかがえます。

自宅マンションの機械式駐車場が全高1550mmで購入出来るクルマに制限がある人も少なくない

 一方で、機械式駐車場のリニューアルには多額の費用と時間が必要となる場合も多く、二の足を踏むビルオーナーも少なくないようです。

※ ※ ※

 かつてはホンダ「オデッセイ」がミニバンでありながら1550mm以下の全高であることをアピールしたり、メルセデス・ベンツ「Bクラス」の日本仕様車がサスペンションを調整するなどして全高を1550mm以下におさえたりするなど、メーカー側も「1550mm」という数字を強く意識していた時代がありました。

 しかし、昨今のユーザーニーズはむしろ居住性の高いハイルーフ車であり、あえて1550mm以下の全高に設定することはあまりないようです。

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