毎年春になると、進学や就職、転勤などで引っ越しをする人も多く見られる時期です。では、引っ越しの際には、クルマの使用の本拠地はいつまでに変更するべきなのでしょうか。
■使用の本拠地は15日以内に変更が義務!
年度末である3月から新年度を迎える4月は、進学や就職、転勤などで引っ越しをする人も多く見られます。
では、引っ越しの際に、クルマの使用の本拠地はいつまでに変更するべきなのでしょうか。
引っ越しをすると、自身の住所変更はもちろん、クルマを所有している場合には駐車場の契約に加え、使用の本拠地の変更手続きをする必要があります。
使用の本拠地とは、個人の場合は使用者の住所、法人の場合は営業所や企業の住所などを指しています。
使用の本拠地によって、車両を管轄する陸運局およびナンバープレートに記載される地名が異なります。
東海地方の陸運局の担当者は、使用の本拠地について「毎年支払い義務の発生する自動車税の納付書も使用の本拠地へ郵送されるため、記載の住所が正しいものであるかどうかは非常に重要です」と話します。
では、引っ越しなどで使用者の住所が変わった場合、何日以内に使用の本拠地を変更する必要があるのでしょうか。
道路運送車両法の第12条「変更登録」には、「自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない」と定められています。
つまり、引っ越しなどによって、使用者の住所が変更になった場合には、住所変更をおこなった日から15日以内に使用の本拠地も変更することが求められます。
ただ、前出の担当者は「15日以内と定められてはいるものの、期限を過ぎてしまう人も見られるのが実情です」といいます。
一体、なぜ期限を過ぎてしまう人が見られるのでしょうか。
陸運局の開庁日は、基本的に月曜から金曜の平日であり、土日・祝日は閉庁日です。
また、受付は朝8時45分から16時までが一般的です。
そのため、平日に仕事や学校などがある人にとっては、15日の間に陸運局で手続きするのは容易ではありません。
このように、平日に時間が取れない場合は、代理人に変更手続きを代行してもらうのが良いかもしれません。
使用の本拠地の変更は、使用者の署名・捺印がある委任状さえあれば、代理人でも手続きの手順に変更なく、おこなうことが可能です。
さらに、手続きの代行サービスを扱う企業に依頼することも有効といえます。
また、使用の本拠地変更の前には、使用者の住所変更や駐車場の契約、車庫証明の取得など、そもそもおこなうべき手続きが多く、時間を要してしまいがちです。
とくに、駐車場探しはクルマを利用する人にとってかなり重要です。
料金や駐車のしやすさ、自宅からの距離など、条件の良いところを見つけるのはそう簡単ではありません。
タイミングによっては、近隣の駐車場に空きがない可能性も考えられます。
そうした事態を避けるため、家探し同様に、あらかじめ引っ越しの前に近隣の月極駐車場をチェックしておいたり、事前に空き状況を確かめて契約手続きを進めておいたりするなど、クルマの置き場所の確保を計画的に進めるのが良いでしょう。
なお、使用の本拠地の変更を15日以内におこなわなかった場合には、前述の第12条の違反とみなされ、50万円以下の罰金が科される可能性があります。使用の本拠地の変更は、速やかにおこなうように心がけましょう。
■使用の本拠地変更に必要なものは?書類を忘れずに一度で手続きを完了!
では、使用の本拠地を変更するためには、どのような書類を準備するべきなのでしょうか。
変更手続きの案内は陸運局内でも受けられますが、必要書類を忘れた際、その場で交付を受けることができません。
とくに代理人が手続きをおこなう際には、あらかじめ抜けや漏れがないように書類を揃えておく必要があります。
使用の本拠地変更に必要な書類は、主に「所有者と使用者が同一の場合」と「所有者と使用者が異なる場合」で異なります。
両者共通で必要となるのが、「申請書」「手数料納付書」「変更の事実を証する書面」「自動車検査証」の4点です。加えて、代理人が申請する場合には、前述の委任状が必須となります。
申請書と手数料納付書については、当日に陸運局など手続きする機関で受け取り、記入することが可能です。
変更の事実を証する書面は、住民票や住居表示変更通知書などの書類を事前に準備しておく必要があります。
また、自動車検査証や委任状は、当日その場で作成できない書類です。忘れずに準備して持参するようにしましょう。
そしてさらに、所有者と使用者が同一の場合は「自動車保管場所証明書」のみ、所有者と使用者が異なる場合は「所有者の委任状」「使用者の住所を証する書面」「使用者の自動車保管場所証明書」「自動車損害賠償責任保険」の4点が必要になります。
自動車保管場所証明書は、自動車の保管場所をしっかりと確保できているのかを示すもので、いわゆる車庫証明のことです。
車庫証明は管轄の警察署で手続きした後に受け取る必要があるため、使用の本拠地変更より先に余裕をもって手続きをしておくほうが良いかもしれません。
また、所有者と使用者が異なる場合は、主に使用者に関連する書類を準備する必要があります。
とくに委任状については、使用者ではなく、所有者の署名・捺印が必要になるため、間違えないように注意が必要です。
また、使用者の住所を証する書面では、住民票や印鑑証明が有効となるため、あらかじめ転居先の自治体から書類を取得しておくことが必須となります。
このように、使用の本拠地を変更するための書類は事前に準備しておくことが求められるものも数点あります。
書類を忘れてしまうと、その日のうちに手続きを済ませられないおそれがあるため、確実に1日で手続きを完了させるためにも、書類の用意や記入漏れ、捺印忘れがないように気をつけましょう。
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なお、登録手数料として350円がかかります。
また、ナンバープレートの地域が変わる場合、約2000円の交付手数料も必要です。