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未発売のトヨタSUV「TJクルーザー」まで売っていた!? 納車・返金されない被害続出! 悪徳な新車販売店の見分け方

くるまのニュース 2022年2月14日 7時10分

新車を購入する際にメーカー系ディーラー以外の販売店で購入することも可能です。しかし、なかには悪徳な販売店も存在するといいます。どのようなポイントを気をつければいいのでしょうか。

■メーカー系ディーラー以外でも新車は買える?

 多くの人が新車を買う際には、メーカー系新車ディーラーを訪れると思います。
 
 実際には国産車を中心に一部の高級車などを除いて、ほとんどの新車はディーラー以外の自動車販売店(俗に「モータース屋」と呼ばれます)でも買うことができます。
 
 そうしたなかで、未発表・未発売のクルマにも関わらず、いかにも販売しているような表現を使っている販売店があるといいます。

 ディーラーからモータース屋へは「業者販売(略:業販)」という方法で一般客に販売するより安い値段で卸されて、お客に納車されます。

 価格は、ディーラーからモータース屋への卸価格が一律で決まっているわけではないので、一概にどちらが安いとはいえません。

 しかし新車保証(5年間10万キロなど)などクルマに付帯する保証はもちろん付くうえ、モータース屋を通して購入してもリコールなどの案内はディーラーから届く仕組みとなっています。

 そのため近くに新車ディーラーがない地域に住んでいる人にとっては、6か月点検や12カ月点検などの法定点検を含めて対応するモータース屋もあり、便利な存在であることは間違いありません。

 このようなモータース屋はほとんどが善良で信頼できる店であり、20年から30年以上の営業実績がある店もたくさんありますが、なかには悪徳な店も存在します。

 長野市にある「デュナミスレーシング」というモータース屋も1995年創業の歴史があり、長野県内の日産ディーラーでトップセールスマンだったO社長が独立して開業しました。

 かつてはクルマ好きが集まる賑やかなお店で、チューニングカーやドリフトマシンの製作でも有名でしたが、2000年以降にだんだんと経営が危うくなってきたといいます。

 当時5人いた整備士が次々と辞めていき、北陸信越運輸局認証の看板(認証工場)は掲げているものの、実際は登録された整備士が整備をすることはなく、お客から依頼された整備のほとんどはガソリンスタンドや周囲のチューニングショップ、整備工場などに丸投げしている状態となりました。

 そうしたなかで、この1、2年はお客が新車代の全額を支払ったのにも関わらず、納車がされないというトラブルが絶えなかったといいます。

 また、返金を願い出てもすんなりいかず、500万円近い金額が1年以上返金されていないケースも多々あったようです。

 2021年12月末からデュナミスレーシングのO社長とは連絡が取れなくなった購入者が続出。

 長野県内を中心に被害を訴える人達が警察署に被害相談に出向いています。

 被害者は100名以上。被害総額は4億円以上との話もあるようです(なかには、納車や返金を完了した人もいます)

■購入前に確認を! 怪しい「モータース屋」はどこをチェックする?

 納車トラブルの被害に遭っている人の多くは、デュナミスレーシングでこれまでクルマを買って問題なく納車されてきた人からの紹介で買っています。

 家族や親せき、親しい友人や会社の上司など、身近で信頼できる人からの紹介で、しかもクルマは安くて無料サービスも豊富となれば、とても魅力的です。

 しかし実際はとんでもない自転車操業で詐欺まがいのさまざまな悪事が露呈しています。

 これらの被害実態を50名以上の関係者から提供された情報や、ディーラーへの取材をもとにまとめてみました。

 残念ながらデュナミスレーシング以外にもこのような店は存在します。

 怪しい店を見分ける事前のチェックポイントとしても確認をお勧めします。(以下の内容に当てはまるからといってすべてのモータース屋が危険というわけではありません。)

 1)信販会社のローンを扱っていない。支払いは現金のみ対応

 信販会社のローンを扱えるかどうかは、過去に金融事故などがなくその店が信頼に足るかどうかも関わります。

 また、「支払いは現金のみ、お金は銀行で借りてきてね。そのほうが金利も安い」など勧める店は「自転車操業」の傾向が強いので注意が必要です。

 2)理由もなく納車に時間が掛かる

「お金を全額支払ったのに納車されず、自動車税の納付通知書だけが届いた」というケースもありました。

 クルマはディーラーに届いていて登録も済ませて車検証もできているのに、デュナミスレーシングからディーラーへの入金がおこなわれていなかったケースも。運よく納車された人も入金後、半年から1年以上待たされることが多かったようです。

 3)クチコミの評価が低い

 飲食店などと違って、自動車販売店のクチコミは探しにくいかもしれませんがGoogleで検索するとデュナミスレーシングのクチコミが出てきます。

 今回の件が発覚する前から被害を訴える書き込みもあります。地域のインターネット掲示板の書き込みも参考にすると良いでしょう。

 4)新車として売っているが実は「新古車」?

 新古車とは、登録済みの未使用車のことを指し最近では「届出済未使用車」ともいわれています。

 ディーラーがこれらを「新車」と偽って一般客に販売することはありませんが、業販としてモータース屋に卸すことは珍しくありません。

 デュナミスレーシングでは、「注文したオプションがついてない」「上級グレードのナビの代金を払っているのに納車されたナビは最低グレードだった」などの事例が相次いでいます。

 つまり、これらはお客の注文を反映した新車ではなく、ディーラーで自社登録されていた新古車の可能性が高いといえます。

クルマは家の次に高い買い物とされることもあるので、購入する販売店も事前に確認しておきたいところ(写真:被害者提供)

 5)市販未定のクルマを価格付で販売?

 2020年6月に出されたチラシには、発売の噂しかなかったトヨタ「TJクルーザー」が370万円から470万円という価格で掲載されていました。

 そのほかにも4WD設定がない車種なのに4WDの値引き価格が掲示されていた例も過去にありました。

 6)なぜか、他県のディーラーに発注?

 モータース屋が遠方のディーラーから新車を業販される例は珍しくありませんが、デュナミスレーシングでは過去のトラブルを理由に長野県内のディーラーから敬遠されていたため、新潟、東京、埼玉など県外のディーラーに発注されることが多くありました。

 また発注先のディーラーを教えてもらえない客も多かったそうです。(実際には注文してないことを知られないため)

 7)車検証の所有者名義がディーラー名

 現金一括で購入しているのに納車されたクルマの車検証は「所有者」名義が(客の了承なしに)「●●長野」のようにディーラーになっているケースが数多くあるようです。

「名義は必ず私の名前で」とお願いしたにもかかわらずディーラー名義のままで納車されたケースもあったようです。

※ ※ ※

 今回のデュナミスレーシングに関して、被害者はいまだに「被害届」すら受理されていない状況だといいます。

 そのようななか、2022年2月8日には長野県警による家宅捜索も始まりました。これをきっかけに捜査が大きく進展することに期待したいところです。

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