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パイオニアから全く新しいデバイス「NP1」が登場!音声で操作する新しいコネクテッドの世界とは?

くるまのニュース 2022年2月16日 18時40分

2022年2月10日、パイオニアは全く新しいコネクテッドデバイスを発表しました。同時に今後の事業戦略についても含め取材をしました。品川でおこなわれた発表会の模様をレポートします。

■パイオニアの新デバイス「NP1」とは何か?

 パイオニアが新たに発表したデバイスは「NP1(エヌピーワン)」と呼ばれるものです。「NP」とは・Next Product(ネクスト プロダクト)・Next Platform(ネクスト プラットフォーム)そして・Next Pioneer(ネクスト パイオニア)の3つの意味を持ち、本モデルはその「1号機」となります。

 同社はこの「NP1」を音声と通信による新しいドライブ体験を実現する全く新しいドライビングパートナーとして位置づけており、発表会の前半には同社の代表取締役 兼 社長執行役員である矢原史朗氏と常務執行役員の坂本雅人氏からプレゼンテーションが行われました。

 前述したように「NP1」は音声と通信をメインとして動かすいわゆる“コネクテッドデバイス”です。従来までのカーナビにも音声案内機能はあるものの、画面への表示を見るルート案内が基本となっていたことは多くの人が理解しているはずです。

 一方で車載機器の進化に伴い、ドライバーが車内で接する情報量は日々増えており、従来までの目や手による操作や確認作業が負担になっていたことが開発のきっかけだったとのことです。実際、提示された資料によれば、直接のカーナビ操作とは関係無い部分とはいえ、携帯電話使用などによる交通事故件数は毎年増加していることからも分かります。

 このことからもこのストレスを解消し、ドライバーや車両の状態を把握しつつ、今後の行動を予測することが求められます。そこで今まで以上にメインとして注目されるのが「音声」です。これを活用することでドライブに必要な情報を最適なタイミングで伝えるのが今回「NP1」に搭載される「モビリティAIプラットフォーム」と呼ばれるものなのです。

 この「NP1」に初搭載される新プラットフォームは「Piomatix(パイオマティクス)」と呼ばれます。これは音声を使い操作や検索を行うことができるもので、常時接続できる通信機能と組み合わせることで音声によるルート案内や情報提供を可能にしています。

 音声認識に関してはすでに世界でも定評のある米Cerence社の自然対話型音声認識エンジンを搭載します。これにドライビングパーソナル音声AIを組み合わせることで、クルマに最適化した音声コミュニケーションを可能にしているとのことです。

「NP1」の発表会では、常務執行役員の坂本雅人氏より細かな説明が行われました。坂本氏によれば「NP1をひと言でいうと“会話するドライビングパートナー”です。クルマの便利がこれ1つに詰まったドライブの体験がこれまでと全く違うものに変えてくれる助手席のパートナーのような存在とお考えください」とコメントしました。

 さらに「NP1は特徴ある車載器とPiomatixが連携して音声と通信で運転を新しくします。まるで助手席に優秀なパートナーがいるかのような移動体験を提供します。声で操作して音で確認、さらに通信が加わりカーライフに必要なものを1つに、そしてもっと便利になります」と新しいカーライフを提供するデバイスであることを語りました。

■「NP1」ではどんな事が可能になる?音声とAIが可能にした4大機能とは

 では具体的に「NP1」で一体何ができるのでしょうか。

「NP1」のCMに出演する藤本美貴さん(左)と千原ジュニアさん(右)

 パッと見た最初の印象はデザイン性にも優れる新型のドライブレコーダーに感じた「NP1」ですが、前出した坂本氏によれば、・スマート音声ナビ・クラウドドライブレコーダー・クルマWi-Fi・OTAによるサービスを追加できる「もっとカーライフ++(プラスプラス)」の4つの機能がメインとなります。

 これにプラスしておすすめの使い方や新機能の追加情報、目的地検索・案内・録画映像の確認、「NP1」自体の設定などがより便利に行えるスマートフォン専用アプリ「My NP1」が用意されています。

 今回の発表会はオンラインだけでなく、感染予防にも厳しく配慮した環境で開催されましたが、自動車メディアだけでなく、テレビ局や新聞、経済誌などのメディアからも多く参加していました。理由として冒頭と商品説明の後にも登壇した、矢原氏から発表される同社の今後について説明があることがわかっていたからです。

 矢原氏は2019年12月に入社されて、翌年の1月1日付けで代表取締役 兼 社長執行役員に就任していますが、就任後からの事業運営に関しての安定化を目指した具体的な話(パイオニア再生プラン)などが語られました。

 そして今回「NP1」に搭載されたモビリティAIプラットフォームである「Piomatix」をベースにパートナー企業と共に成長していくことが新生パイオニアの姿であることをアピールしました。

 すでに同社は2021年3月期に2期連続で黒字達成しており、矢原氏によれば「社内の再建ステージは完了し、これからは成長投資ステージに入る」とコメント。“パイオニア愛”のある、外部からの新しい人材とプロパー社員と共に切磋琢磨しているそうです。

 同時に「NP1」の事業化を担う「NP事業本部」をはじめ「SaaS Technology Center」や「サウンド事業統括グループ」などを新設しているとのことで今後のパイオニアの動きに期待がかかります。

 また矢原氏は再度の登壇時にはPiomatixをNP事業部以外でも活用した製品を市場に導入していくことを明言。日本を皮切りに北米や欧州、アジアなどの世界戦略も視野に入れたものです。

 さらに驚いたのは「NP1」は4輪車だけではなく2輪車向けのプロダクトも開発している点です。矢原氏は「2輪車ユーザー向けのプロダクトでは音声インターフェイスという特徴を持つPiomatixを活用し、これまでにないようなすごい商品を開発中です」とコメントしました。

 最後にターゲットとして見ている市場に関しても国内の新車500万台というより、国内保有台数である800万台、さらに言えば世界の保有台数約15億台を見据えているそうです。それもこの数字は4輪だけのもので、2輪に関しては世界最大市場のであるインドを含む7億台という巨大マーケットもビジネスのターゲットとして考えているそうです。

 盛り上がった発表会の最後(後半)には「NP1」のCMに出演する千原ジュニアさんと藤本美貴さんが登壇しトークショーが行われました。

 実際、体験してもらった2人からはCM撮影時のこぼれ話のほか、使ってみた感想なども出ていましたが、個人的に記憶に残ったのは千原ジュニアさんが「旧車に乗っているので、最新の機能が付いていない。でもNP1を付ければかなりクルマが進化する」といった趣旨のコメントでした。

 まさに旧車を含めたユーザーへの訴求としても的を射ており、クルマ好きの千原ジュニアさんならではのコメントに思わず頷いてしまいました。

 またトークショーの前には質疑応答が行われましたが、その中で「この商品が出ることでカロッツェリアブランドのカーナビは無くなってしまうのか?」といった質問がありましたが、それに関してはハッキリ否定、それぞれが独自のポジションで進化していくとのことなので現在のカロッツェリアファンは心配しなくて良さそうです。

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