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ドライバーと一緒に“育つ”デバイスを公道インプレッション!パイオニア「NP1」の未来予想図に感動!

くるまのニュース 2022年2月18日 17時40分

2022年2月10日、パイオニアが発表した“スゴイ”車載デバイス「NP1」を早速インプレしてみました。その実力はいかに・・・。

■パイオニアの「NP1」はファーストタッチだけでもワクワクの予感

 2022年2月10日の発表会の後に開催された「NP1」の体験試乗。準備されたデモカーはパイオニアのエンジニアが運転する形で取材陣は助手席他から体験するスタイルになりました。発表会レポートではあまり触れなかった「NP1」ですが、短時間ながら機能面に絞って解説します。

「NP1」は幅118mm×高さ36mm×奥行き96mmのコンパクトボディ。取り付け車種によって見え方は違ってきますが、この中に後述する4大機能を搭載しているというから驚きです。

 さらに装着時の見栄えも重視したデザイン性に優れるのも特徴です。ドライバー側から見えるのは後方&車内用カメラとスピーカー、そして音声発話に反応するライトバーですが、家庭用で流行りのスマートスピーカーを彷彿させるデザインはさすがスピーカーが祖業であるパイオニアの実力を見た感じです。

 取り付け位置に関しても車種によりますが、「さすが」と思ったのが左ハンドル車への取り付けも想定されていること。本体を取り付けキットから外して左右反転させることで元々本体右側にあった操作ボタンを左側にセットすることができます。この辺のユーザービリティもしっかり確保している点は見事です。

 また電源に関しても12V/24V向けのシガーライター電源ケーブルが付属しているので、取り付け自体は簡単に行えますが、「駐車監視機能」を使う場合にはオプションの専用電源ケーブル「NP-BD001(4400円)」が必要になります。

「画面の無いカーナビ」と報道されている「NP1」ですが、目的地検索からルート案内まですべてを音声で行う対話型のカーナビです。

 常時通信接続されていることで、音声で「NP1」と最初に話しかけると、ポンという音と共にスタンバイ状態になります。この時感じたのはレスポンスの良さです。音声コマンドで動かすデバイスの場合、比較的1テンポ遅れて反応するものが多いのですが、「NP1」の場合は非常に早いです。

 筆者的にはいわゆる「ウェイクアップワード」が「NP1」だけに限られているのが少し残念です。実際、Amazonの「Alexa」も数種類しか設定されておらず、自分好みの単語は設定できないのですが、短時間ながら使っていく内に「相棒感」のような親しみが湧いてきたことからも今後のアップデートに期待したい所です。

 通信を使うことで案内するルートの品質は非常に好感が持てました。元々カロッツェリアのサイバーナビに搭載されている「スーパールート探索」と同様のシステムにより、これまでパイオニアが蓄積してきた膨大なプローブ情報を利用できます。

 それでも画面が無いことに心配する人も多いはずです。問題は「音声でどう案内してくれるのか」という点がポイントになりますが、これが中々、ツボを得た案内です。

 地図が無いことで一体今、どこを走っているのか、このまま走り続けて良いのか、など悩む部分は発生しますが、「NP1」の場合、これらに対して非常に親切かつわかりやすく案内してくれます。同社が言う「助手席側から案内してくれる」という説明も結構納得できるものです。

 個人的に良いと感じたのは、今走っている道は「何という道路(名称)なのか」というのをタイミング良く案内してくれる点でした。走り慣れない道路に入った時「○○通りです」と言ってくれたり、「3つ先に信号を右です」といった案内は走行中の不安を払拭してくれるものです。

 また「やばい!案内聞き逃した」という時でも「NP1もう一回言って!」と発話するだけでもう一度案内してくれるなど、とにかく押しつけがましくなく、それでいて的確な案内には好感が持てました。

 ユニークというか、これも好感触だったのが「NP1」側から「○○しますか?」聞かれた際、普通は「ハイ」と答えれば済む所、パイオニアの女性エンジニアの方が「お願いっ!」と答えてもしっかり反応した点です。「ハイ」って意外と機械的というか味気ないものですが、こういう部分でも「NP1」に親近感が湧いてきます。

 それでもナビなのでどうしても地図が欲しい、という人には最後に専用アプリ「My NP1」について解説していますので、ぜひそちらを読んでください。

「NP1」には前方と後方&室内用に2つのカメラを搭載します。スペック的にも1920×1080ピクセルのフルHD画質(200万画素)ですし、昨今ではトレンドのひとつでもあるSONY製のCMOSセンサー「STARVIS」や暗闇でも鮮明に記録できる「ナイトサイト」も搭載。基本的な能力は十分と言えます。

 そしてこのドラレコ機能の最大の特徴は万が一やドライバーが手動操作で録画したイベント映像は通信を介してクラウド側に保存される点です。

「NP1」本体側にはmicroSDカードスロットが搭載されており、標準で32GBのカードも付属されます。ただ肝心な時にSDカードに記録されていなかったら意味がありません。その悩みを解決するのがこのクラウド録画というわけです。

 クラウドへ録画された映像はすぐにスマホに通知されますし、スマホ側から確認することができます。またオプションの専用電源ケーブルを接続すれば駐車監視機能も行えますので、クルマから離れていても衝撃を感知してから前後カメラで10秒間録画、これもクラウドに保存しスマホに通知してくれる優れものです。

 これらを含めた操作に関しても「NP1」らしく音声でコントロールができます。「NP1写真撮って(前方のみ)」「NP1録画して(前後)」と発話するだけで操作前7秒と操作後8秒の記録がクラウドとSDカード両方に記録されますので、利便性の面でも非常に優れていると言えるでしょう。

■音声とAIが可能にした4大機能を実際の公道で体験してみた!

「NP1」はカロッツェリアのサイバーナビや、車載用Wi-Fiルーターである「DCT-WR100D」同様、車内向けインターネット接続サービスである「docomo in Car Connect」にも対応します。料金としては550円/日、1650円/月、1万3200円/年のプランが別途かかりますが必要な時に専用アプリから簡単に申し込むことができる点が便利です。

ドライバー側はカメラとマイク、車外の人はアプリを使って情報を共有することができる「ドライブコール」

 昨今ではサブスクリプションによる音楽&映像配信サービスの活用も増えているのでこれがあれば使い放題になりますので日々のドライブもさらに楽しくなります。

「NP1」のメリットを最も感じることができ、将来性も含め期待できるのがこの機能です。「NP1」はクラウドと接続することで常に進化します。

 昨今話題となっているOTA(オーバー・ジ・エアー)により、各種アップデートに対応します。発売段階では運転や位置、そして地図を組み合わせて自車位置周辺の情報を案内してくれる「ドライブトピック」は面白いアプローチと言えます。取材段階では全国約7600箇所の情報が収録されているそうですが、こちらもOTAにより増えていくことは間違いありません。

 そしてもうひとつ注目したいのが「ドライブコール」という全く新しい機能です。

 後述する専用アプリ「My NP1」に予めお互いの連絡先を登録しておくことで、ドライバー側はカメラとマイク、車外の人はアプリを使って情報を共有することができます。

 一例としてはNP1側からの映像や位置情報をスマホ側にリアルタイムで送ることでスマホ側のユーザーはそれを見ながら道案内やアドバイスなどを送ることもできます。双方向なので「NP1」側から「○○さんにドライブコール」と呼びかけてもいいし、その逆も可能です。またこれを活用することで運転が心配な家族、特に初心者や昨今話題になっている高齢者ドライバーなどをリアルタイムに見守ることができるなど使い方は大きく拡がります。

 OTAによるアップデートは「NP1」を日々、進化させる重要な機能ですが、すでに2020年春にはAmazonの音声アシスタントである「Alexa(アレクサ)」にも対応予定という点も見逃せません。

 また、「NP1」は単体での使用がメインとなっていますが、専用スマホアプリである「My NP1」の実力には驚かされました。

 AppleのiOS、GoogleのAndroid OS両方に対応するこのアプリはカスタマイズも含めた各種設定や前述したクラウドに録画された映像の再生やスマホへのダウンロードに対応する優れものです。

 その中で特にこれはスゴイ!と感じたのが搭載される「地図画面」です。この地図を使うことで目的地設定やルートの確認、地点登録を行うことができるのですが、何よりも地図画面の作り込みに驚いたのです。

 基本は音声案内だけで現状でも十分ですが、「My NP1」を使うと補助的に方向や距離を表示するいわゆる「ターンバイターン」型になります。分岐点に近づくとリアルな地図表示に切り替わりますが、そもそもカーナビのように地図表示も可能なのです。

 前述したように音声による案内だけではどうしても心配という人もいると思いますが、この「My NP1」を使えば,その心配も解消されます。

 何より、このアプリの地図画面の作り込みが凄すぎで、誤解を恐れずに言うとカロッツェリアのカーナビと同じ位、見やすく高精細なのです。もちろん渋滞情報などもしっかり表示されます。褒めすぎ、と言われるかもしれませんが、このアプリで「NP1」の魅力がさらに高まったことは言うまでもないでしょう。

「NP1」はパイオニアが開発し今後展開していくモビリティAIプラットフォームである「Piomatix」を搭載することで進化していくデバイスです。OTAにより自社だけでなく、他企業とのコラボレーションもすでにスタートしています。

 気になる価格ですが、ベーシックプランが通信+サービス利用料1年分付で6万5780円(税込)、バリュープランが通信+サービス利用料3年分付で9万3500円(税込)と、バリュープランの方が、長く使う場合は少しお得(3960円)になります。

 これに前述した「車載Wi-Fi」を組み合わせることで完成しますが、プランに関してはユーザーの使い方次第で選ぶと良いでしょう。

 気になる取り付けに関しては自分で取り付けも可能ですが、パイオニアは「NP1出張取り付け」というサービスを開始しました。エリア等は徐々に拡がるはずですが、プロによる確実な取り付けは安心感があります。また国産車(レクサス除く)と輸入車に合わせて固定料金制になっている点も安心です。

 最後にまとめとしては、「NP1」はまだ生まれたばかりのデバイスなので未知数という印象もあるかもしれません。ただ、これからOTAやクラウド、さらにAIによりドライバーに寄り添うことで、まるで子供の成長を見るように使うことができると期待しています。

 そんな「NP1」に惚れてしまった筆者は発表会の当日にオンラインでオーダーを入れました。もちろん「自腹」ですよ(笑)。

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