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クルマの「ウイング」意味は? 巨大なほど速くなる? ど迫力GTウイングのメリット・デメリット

くるまのニュース 2022年3月1日 7時10分

スポーティなクルマやレースマシンなどには通称「GTウイング」というモノが取り付けられています。装着することで速くなるのでしょうか。また大きさは速度に関係しているのでしょうか。

■GTウイングを取り付けるとスピードは速くなる?

 クルマのカスタム、チューニングのひとつとしてボディ後方に「ウイング」や「スポイラー」を装着することがあります。
 
 スポーティなクルマでは純正で装着されていることもありますが、実際に装着の有無で速くなるのでしょうか。

 ウイングやスポイラーは、厳密には仕組みは異なるもののどちらも空気の流れを用いてダウンフォース(地面にクルマを押し付ける力)を発生させるパーツです。

 とくに、レースマシンなどに装着されるウイングから「GTウイング」と呼ばれることもあります。

 では、GTウイングを装着することによってさらにスピードが速くなるのでしょうか。

 スポーツカー向けのエアロパーツメーカーの担当者は、GTウイングについて次のように話します。

「GTウイングをクルマに装着することによって、必ずスピードが速くなるわけではなく、むしろスピード自体は、ウイングの重量や空気抵抗によって遅くなります。

 ですが、レースやサーキットで走行する際には、タイム短縮の効果が得られる可能性があります。

 その理由として、GTウイングを装着することによってダウンフォースが発生し、コーナーでの安定性や高速で走行した際のブレーキ時に車体が安定することが挙げられます」

 ダウンフォースとは、走行する際に空気の流れによって生じる、クルマが地面に押し付けられる力のことです。

 この力が働くことによって、より地面と接地するため、高速走行時の車体の浮きを抑制することができます。

 それにより、レースやサーキットなどでの速いスピードでも遠心力が小さくなり、コーナリングが安定します。

 このことから、GTウイングはレースやサーキットなどにおいて、タイムをより縮めるための大きな役割を果たしていることが予想されます。

 一方で、レースやサーキットで活躍するスポーツカーに装着されているGTウイングにはさまざまな大きさのものがありますが、大きければ大きいほどスピードが速くなるのでしょうか。

 前出の担当者は、GTウイングの大きさとスピードの関係性について「大きければ大きいほど速度が上がるということはあまり考えられません」といいます。

 理由として、GTウイングが大きければ大きいほど、受ける風の量も大きくなり、さらに重量も増すことから、最高速度自体が遅くなることが考えられます。

 そのため、前述したようなダウンフォースの効果を十分に獲得するためには、用途に応じた形状やサイズのものを取り付けることが理想的です。

■公道でもGTウイングの効果を得られるの?

 空力を利用するGTウイングですか、一般道でも効果は得られるのでしょうか。

 前出の担当者は、一般道GTウイングの効果について以下のように話します。

「一般道で走行するレベルの速度ではGTウイングの効果を得ることは難しいと考えられます。

 実際、GTウイングのダウンフォースの効果は、100km/h以上のスピードでの走行で実感できるのではないかと思います」

 しかし、基本的に一般道では60km/h、高速道では100km/hと定められています(区分や区域により異なる)。

 つまり、一般路や高速道においては、GTウイングの最大のメリットであるダウンフォースの効果を得ることは難しいということがわかります。

モータースポーツに参戦するマシンには欠かせない「GTウイング」(画像:スーパー耐久シリーズに参戦するスバル「SUBARU BRZ」)

 一方GTウイングは装着することで、見た目の印象が大きく変わることもあり、ドレスアップパーツとしてかっこよくすることを目的に取り付けている人もいるようです。

 実際に、前出の担当者はGTウイングの製作について「性能はもちろん、見た目のかっこよさやインパクトも大切にして製作しています」と話しています。

※ ※ ※

 そんなGTウイングですが、公道で走行する場合には、幅や取付方法を定めた保安基準を満たさなければ、車検に適合することはできません。

 公道で走行するクルマでも、見た目をかっこよくドレスアップしたいと考える人は、しっかりと道路運送車両法の保安基準を確認したうえで、取り付ける必要があるでしょう。

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