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これがVW初のスーパーカー! 20年前に数々の世界速度記録を樹立した「W12ナルド」とは?

くるまのニュース 2022年3月4日 20時10分

いまから20年前の2002年2月、イタリア・ナルドサーキットで、VWのコンセプトスーパーカーが当時の7つの世界速度記録を樹立しました。

 フォルクスワーゲン(VW)の米国子会社、VWアメリカは2022年2月24日、20年前の2002年のこの日、イタリア・ナルドサーキットで世界速度記録を更新したスーパーカーを振り返るリリースを発表しました。

 W型エンジンと聞いて思い浮かべるスーパーカーは、2005年に市販化されたブガッティ「ヴェイロン」です。

 ヴェイロンは8リッターW型16気筒クワッドターボ(4ターボ)エンジンを搭載。そのエンジンは1000馬力・1250Nmというとてつもない性能を発揮、0−100km/hは2.5秒、最高速度407km/hというパフォーマンスを誇る、歴史に残るスーパースポーツカーでした。

 VW独自のW型エンジンを搭載した初めてのスーパーカーは、じつはヴェイロンではないといいます。ヴェイロン登場の8年前、1997年に開催された東京モーターショーで世界初公開されたVW「W12コンセプトクーペ」でした。

 W12コンセプトクーペは、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインした空力的なスタイリングを持ったモデルで、VWから最高級のラグジュアリーモデルやパフォーマンスモデルへの道を切り開きました。

 このW12コンセプトクーペは、コンパクトで軽量な2.8リッター「VR6」エンジン2基を共通のクランクシャフトで結合した5.6リッターW型12気筒エンジンを搭載、VWのシンクロ4WDと6速シーケンシャルトランスミッションが組み合わされ、414馬力を発生していました。

 このコンセプトモデルは量産化、市販化には至りませんでしたが、コンセプトモデルとしてはヒット作となり各国でのモーターショーで人気を集め、1998年のジュネーブショーではロードスターモデルも発表されました。

 その3年後の2001年、VWは南イタリアのナルド・リング(全長約12.5km)でW12コンセプトクーペによる24時間耐久のスピード記録に挑戦することを発表しました。W12エンジンは排気量を6リッターに拡大、最高出力は591馬力にアップされ、車両重量は約1200kgと軽量化されました。

■2002年2月23日に7つの世界記録を樹立

 2001年10月、W12コンセプトクーペは4402マイル(約7084km)の走行で平均時速183.5マイル(約295.31km/h)を記録、当時の世界記録を塗り替えました。

20年前、数々の世界速度記録を達成したVWのスーパーカー「W12ナルド」

 VWグループのW型エンジンの実走行による初のトライアルであることを考えると、これも驚異的な偉業でしたが、W12コンセプトクーペはさらに進化を続けます。

 4か月後の2002年2月23日、「W12ナルド」がさらに24時間耐久のスピード記録にチャレンジ。結果、4809マイル(約7739km)の走行で平均時速200.6マイル(約322.83km/h)という記録を打ち立てました。これは当時の7つの世界記録と12の国際クラス記録を樹立したことになります。

 W型エンジン搭載車はまだ市販化されておらず、その耐久性には当時、疑問を持たれていたようですが、このチャレンジにより高い耐久性が証明されました。

 その後、1998年にVWグループになったばかりのハイブランド、ブガッティから2005年に「ヴェイロン」が登場、W16エンジンを搭載しました。その後W型エンジン(W12=W型12気筒)はVW「フェートン」や「トゥアレグ」、アウディ「A8」やベントレー「コンチネンタルGT」「コンチネンタル フライングスパー」などに搭載されています。

※ ※ ※

 このW型エンジンは、1993年から2002年までVWAGのCEOを務めたフェルディナント・ピエヒ博士の発想で開発されました。

 当時のVW車に幅広く用いられ、そのコンパクトさから「ゴルフ」にも搭載されていたV型6気筒「VR6」エンジンをふたつ組み合わせ、「V+V=W」と名付けられたこの発想は、じつは1997年に東京から名古屋に走る新幹線の中で誕生したといいます。

 当時VWのパワートレイン開発担当者だったカール・ハインツ・ノイマン氏と会話していたピエヒCEOは、封筒を手に取り、頭の中にあったW型エンジンのアイデアをスケッチしたそうです。

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