春になるとさまざまな種類の花粉が飛散し、花粉症に悩まされる人も多いでしょう。クルマにとっても花粉は厄介な存在ですが、どのような対策を講じると良いのでしょうか。
■ボディに付着した「花粉」はホコリ取りでは取りきれない?
「花粉」が多く飛び交うシーズンとなり、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった「花粉症」に悩まされている人も多いでしょう。
気象庁が2022年2月中旬に発表した「春の花粉飛散予測」によると、2022年の傾向は、九州や北陸、関東甲信では例年並み、四国や中国、近畿、東海は例年より少なめとの予想される一方、東北はやや多め、北海道は多く、とくに北海道の一部地域では前年比310%と非常に多く飛散する予想となっています。
花粉にはさまざまな種類があり、飛散時期が異なります。代表的な「スギ花粉」は2月から3月まで大量に飛散しますが、関東地方では6月上旬まで飛散量が多いといわれています。
「ヒノキ花粉」のピークは3月下旬から4月中旬あたりがピークと予想され、さらに、「イネ花粉」は地域によっては5月から夏前にかけて多く飛散するという特徴があり、長期的な花粉対策が必要となります。
そしてそんな花粉はクルマにとっても厄介な存在で、帯電した静電気の影響でボディ表面に付着してしまうのです。
クルマの花粉対策はどのようにしたら良いのでしょうか。都内の整備工場に勤務するH整備士に聞いてみました。
「クルマのボディがうっすらと白くなっているのを見かけると思いますが、それは乾燥した空気によって帯電したボディに花粉が付着している状態です。
これを放置しているとさらにこびり付いてしまうこともありますので、早めに取り除きたいところです。
カー用品店では昔ながらの毛ばたきなどさまざまなホコリ取りのグッズが販売されています。しかしこれは広い平面の花粉やホコリを取るには有効ですが、窓枠の隙間やドアノブ、ウインドウの隙間、ワイパーなどに花粉が多く残ってしまいます。
そのため、ドアや窓を開閉するときに車内に簡単に花粉が入ってしまうのです」
車内に花粉が入らないようにする対策としてもっとも有効なのが「水洗い」です。
クルマの表面だけでなく隙間に入り込んだ花粉を水で洗い流すことで、車内への侵入も抑えてくれます。
「強力なブロワーなどもボディ表面の花粉をある程度は飛ばしてくれますが、そのぶん舞い上がってしまって状況が悪化する可能性があります。
表面の汚れを洗い流すイメージでの水洗いをこまめにするほうが、付着した花粉には有効です」(H整備士)
■エアコンは「内気循環」「外気導入」どっちが効果的?
クルマのボディに付着した花粉は洗い流すことで対処するのが最善策だといいますが、それではそれ以外に注意することはあるのでしょうか。
「ボディ表面の花粉への対処だけでなく、やはり車内に花粉を持ち込まないような工夫が必要です。
乗り込む前に自分の服に付着した花粉を払い落とすのは当然ですが、かといって払いすぎたことによって静電気が発生すれば余計に花粉は落ちにくくなります。
そんなときは衣料ブラシや粘着クリーナーなどを用意しておき、乗り込む前に取り除くのが良いでしょう」(H整備士)
走行時に車内に花粉が侵入しないようにするには、窓を極力開けないように心がけるのも良いのですが、そうなると、まだ寒さが残るこの時期はエアコンを作動させることもあるでしょう。
その場合、「内気循環」と「外気導入」ではどちらが花粉対策として有効なのでしょうか。
「外気導入するということは『花粉を車内に取り込む』と勘違いされることが多いのですが、実際は内気循環のほうが車内に花粉が滞留しやすいといわれています。
最近のエアコン用フィルターは活性炭での脱臭機能や花粉やウイルスをろ過する防塵性能に優れるものも数多く出ています。
エアコンを使う場合、フィルターを介した外気導入にしておいたほうが良いでしょう」(H整備士)
ちなみに、通常は外気導入で走行し、トンネルや花粉の量が多そうな山岳地帯などを走行する場合は内気循環に切り替えて使うのも有効だそうです。
「カーエアコンのフィルターを1年以上も交換していない場合は、フィルターに花粉だけでなくカビやホコリなどがかなり溜まっている可能性もあります。
本格的なシーズンが始まる前にフィルターを新品に交換することで、かなり効果的な花粉対策にもなります」(H整備士)
カーエアコンのフィルターは、そのクルマに適合するものを選ぶ必要がありますが、インターネットで検索すれば数種類は探せます。
単価も数千円のものがほとんどですし、自分で簡単に交換することもできるので、花粉対策として新品に交換しておくのが良いでしょう。
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車内を水拭きするのも花粉対策のひとつとなるようです。
「濡らして固く絞ったウエスなどでインパネやダッシュボードを拭くだけでなく、シートの座面も拭いてください。
とくにファブリックのシートは花粉を溜め込みやすいので、濡れたウエスなどで拭き上げるとスッキリします」(H整備士)
また、暖かく着心地の良いウールなどは、繊維に花粉が絡まりやすいことから、花粉が付着しにくい素材の服を選ぶというのも効果的です。
一般的には表面がツルツルした生地や革はホコリや花粉が付着しにくく、もしくは静電気が帯電しにくい綿(コットン)や麻、絹なども花粉の付着を抑えるとされており、服装にも気を配る必要がありそうです。