2020年2月、当時のグループPSAジャパンが、ドイツブランド「オペル」の日本再参入を発表しました。当初のスケジュールは2021年内とされていましたが、2022年にずれ、そして今回また再延期されたようです。一体なにがあったのでしょうか。
■3月1日ステランティスジャパン誕生 だがオペルについて言及はなし
「ヴィータ」や「オメガ」など、かつてヒットモデルが登場したオペルが日本市場から撤退したのは2006年のこと。
それからおよそ15年。2020年2月18日に、当時プジョー、シトロエン、DSのブランドを展開していたグループPSAジャパンがオペルの日本市場への再参入を発表し、話題となりました。
その発表の際には、2021年内には立ち上げるとされ、日本で最初に導入するモデルも発表されました。
それがBセグメントハッチバックの「コルサ」およびEVの「コルサe」、BセグメントSUVの「モッカ」「モッカe」、そしてCセグメントSUVの「グランドランド」の3車種です。
ちなみにコルサは、以前日本で展開されていた際にはヴィータという車名でしたが、今回は日本でも欧州名と同じコルサの車名で登場する予定でした。
さらにMPVの「コンボ」やCセグメントハッチバックの「アストラ」など、モデルレンジは随時拡大予定となっていました。
2021年8月にはオペルの日本語サイトもオープン、準備万端整ったようにも見えましたが、その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響もありオペルの上陸は延期、日本導入は2022年中とされました。
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2022年3月1日、アバルト/アルファ ロメオ/フィアット/ジープ/フィアットプロフェッショナルを展開していたFCAジャパンと、プジョー/シトロエン/DSを展開していたグループPSAジャパンの両社が統合、「ステランティスジャパン」が誕生しました。
そのステランティスジャパン誕生の記者発表の場では、社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏からオペル日本展開の件についてひと言も触れられませんでした。
■「オペルブランドの2022年日本導入はない」
またステランティスジャパン社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏は「現在PHEVの6モデルとBEVの4モデルの計10モデルの電動車を用意していますが、2022年中に新たにPHEVを7モデル、BEVを2モデルの電動車ラインナップを揃え、電動化の未来を切り拓いてまいります」とコメントしましたが、その新規導入する電動車のなかにオペルのEV「コルサe」や「モッカe」に対する言及はありませんでした。
オペルブランドの日本導入は、2022年内におこなわれるのでしょうか。
ステランティスジャパンの関係者に話を聞くと、「2022年内にはオペルの日本導入はありません」といいます。
「世界的な半導体不足は2022年も続いたままで、さらに原油価格の高止まりなどもあり、輸送費などもかなり高騰している状況です。ステランティスジャパンとしては、まずは既存の8つのブランドにより注力していくという考えです」とのことでした。
FCAジャパンとグループPSAジャパンが統合し、8つものブランドが揃って誕生したステランティスジャパン。
その8ブランドのなかには、Aセグメントのフィアット「500」からEセグメントの「DS9」まで、ボディ形状もハッチバックからセダン、ステーションワゴン、MPV、SUVまで、さまざまな車種が揃っています。さらにいえば、ジープ「グラディエータ」というピックアップトラック、フィアット「デュカート」という商用車まで用意しています。
さらにカジュアルブランドからプレミアムブランド、スポーティブランドまで、多くの個性的なブランドを持つのがステランティスジャパンの強みでもあります。
そんななか、オペルというブランドをどこにポジショニングさせるのかということも今後の課題といえます。
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2022年内の再参入は白紙となりましたが、今後オペルブランド日本導入それ自体の話がなくなるかといえば、その可能性は少ないのではないでしょうか。すでにオペル・ディーラー網の整備などがおこなわれているという話もありますし、オペル日本語サイトでも「近日発売予定」という言葉が並んでいます。
ただしロシアのウクライナ侵攻やそれに伴うエネルギー高騰などもあり、とくに欧州は今後予断を許さない状況でもあります。今後の動向に注目したいところです。