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車の窓ガラスにこびりつく「水アカ」の正体は? 視界不良の危険もある!? 水アカ撃退法とは

くるまのニュース 2022年3月6日 11時50分

普段クルマをキレイに洗っているつもりでも、経年とともに窓ガラスに水アカが増えていってしまいます。水アカはなぜ発生するのでしょうか。手軽に落とす対処法などを洗車専門店スタッフに聞いてみました。

■水アカはなぜ増える? 2種類の水アカがあるってホント?

 せっかく洗車したのにスッキリしないことがありますが、よく見ると、窓ガラスにウロコ状の汚れが残っている場合があります。その正体は「水アカ」です。

 しかも水アカは普通の洗車ではなかなか落ちないのが厄介なところ。時間の経過とともに増えていき、フロントガラスだけでなくサイドガラスやリアガラスにまでこびりついてしまいます。

 この状態がひどくなると、夜の走行で対向車や後続車のヘッドライトがギラつくなど視界を妨げることもあり危険ですが、水アカはなぜできてしまうのでしょうか。

 神奈川県にある洗車専門店のスタッフA氏に話を聞いてみたところ、クルマ全般の汚れもそうですが、水アカには「水性」と「油性」があるといいます。

「一般的に多いのが水性の水アカです。通常クルマは外気に触れた状態なので、大気中に浮遊するホコリやチリなどがボディに堆積していきます。

 これに雨などの水分が加わるとある程度は流れ落ちますが、水分の蒸発とともにボディに付着してしまい、この固着した汚れが水性の水アカの正体です。

 油性の水アカはワックスやコーティング剤、グリスなどの潤滑剤に含まれる油脂が溶けて流れ出したものです。よく黒い筋状になる汚れになっているのを見ますが、油性なので通常の洗車でも落ちにくいという傾向があります」

「そして、窓ガラスなどにできるウロコ状の水アカは、じつはもっとも厄介な汚れともいえます。

 もともとは水の中に含まれるカルシウムやミネラル成分が残留し結晶化して固着してしまったものですが、クルマの場合は水性と油性が入り混じっているんです。

 お風呂の鏡が白っぽく曇ってしまうのと同じ原理で、排気ガスに含まれる一酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物、またディーゼル車の排ガスにはPM2.5といった粒子状物質といった油性の汚れが混入しているため、取れにくくなってしまうというわけです」(洗車専門店 スタッフA氏)

 単なる水性だけではなく油性まで入り混じっているということは、相反する特性を併せ持つ落としにくい汚れということ。しかもこのウロコ状の水アカは、洗車で水道水を使うたびに少しずつ増えてしまうというのです。

「こまめに洗車している人でも、カーシャンプーなどを洗い流したうえに水分を完全に拭き取るのは難しいでしょう。

 我々のような洗車専門店では、水道水の代わりに『純水』と呼ばれるミネラル分などの不純物を含まない精製水を使用したり、エアガンなどで手が届きにくいところまで入り込んだ水分を飛ばしてスピーディに拭き取りをおこなえますが、それでも完全というわけではありません。

 ある程度ウロコ状の水アカが目立ちはじめたら、その特性にあったクリーナーなどを使用して取り除くことになります」(洗車専門店 スタッフA氏)

■ガンコな水アカは専用クリーナーが有効

 軽度の水アカはカーシャンプーでも落とすことが可能ですが、ガンコなウロコ状の水アカはそう簡単に落とせません。

 どのような対処法があるのでしょうか。前出の洗車専門店のスタッフA氏は次のようにいいます。

専用クリーナーを使って落とすのが効率的

「水性の汚れはカーシャンプーでも落ちますが、油性の汚れは落ちにくい酸性の汚れです。そこでアルカリ性の汚れ落としを使うことで中和され、汚れが落としやすくなります。代表的なものだと『重曹』や『セスキ』などです。

 最近は『アルカリ性電解水』なども油性の汚れには効果があるといわれていますが、樹脂部分やゴム製品の劣化を進めてしまうのであまりおすすめできません。

 それなら台所用の洗剤のほうが使いやすいともいえます。ただ洗い残しがあると新たな水アカの原因となってしまうため、高圧洗浄機などでしっかり洗い流す必要があるという点は注意が必要です。

 またウロコ状の水アカは、水性と油性が入り混じっているアルカリ性の汚れなので、中和させて汚れを落としやすくするなら酸性の『クエン酸』などが効果的だと思います」

 家庭用のものが代用できるのは便利ですが、思ったような効果が得られない可能性もあります。

 それならいっそ、ウロコ状の水アカ落としに特化した専用クリーナーを使うほうが時間の短縮になる場合もありそうです。

「ウロコ状の水アカやこびりついた油膜などを除去するには、やはり専用クリーナーのほうが効果を感じられるでしょう」(洗車専門店 スタッフA氏)

 専用クリーナーには大きく分類すると表面の汚れを溶かす溶剤タイプと、研磨剤入りのものがあるといいますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

「状態にもよりますが、溶剤タイプは化学的な分解を促す成分が入ったもので、研磨剤入りと比較すると傷をつけないぶん窓ガラスにも優しいのですが、石油を原料としているものが主流で臭いも強いため、十分な換気をしながらの作業になります。

 また、塗装面などに付着したまま長時間放置してしまうとシミの原因になる可能性もあります。

 研磨剤入りは、その名の通り表面を薄く研磨して表面を整えるものになります。表面を研磨するのでウロコ状の水アカだけでなく古いコーティングなどを剥がすことができますが、こちらも力を入れ過ぎてしまうと、窓ガラス以外の部分にまで傷をつけてしまうこともあるので、やはり扱いは慎重にしたほうが良いでしょう」(洗車専門店 スタッフA氏)

 使い方は、通常の洗車で落ちる汚れを落としてから、専用クリーナーを付属のスポンジなどに適量塗布して、30cmから40cm四方を目安に縦横均一に擦ります。

 その際、表面についた水アカや古いコーティングが残っていないか、ところどころ水をかけてチェックしながら作業すると削りすぎを抑えられるそうです。

「表面を専用クリーナーでキレイにしたあとは、そのまま放置せずに必ずコーティングしてください。

 研磨剤入りクリーナーは目立たない傷を作って表面を整えているので、新たにコーティングして表面を保護することで、長期間クリアな視界を確保できると思います」(洗車専門店 スタッフA氏)

※ ※ ※

 ウロコ状の水アカは、通常の洗車では落ちにくいため、ついついゴシゴシと擦ってしまいがちです。

 家庭用洗剤や重曹・クエン酸などは手軽に手に入るので使いやすい反面、効果が限定的な場合があります。

 その点、専用クリーナーは効果を実感しやすくおすすめではありますが、しっかり洗い流さないと新たなシミの原因にもなることは気を付けたいポイントです。

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