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徐行は「何キロならOK?」 曖昧な「直ちに止まれる速度」 標識無くともすべき場所とは

くるまのニュース 2022年3月12日 11時10分

普段、街中などで見かける「徐行」の標識。実際にはどのくらい速度を落とせば良いのでしょうか。また徐行の標識が無くても必須な場所とはどこなのでしょうか。

■そもそも徐行ってなに?忘れがちな徐行の目安とは

 道路を走行していると「徐行」と書かれた標識を目にすることがあります。

 徐行は教習所でも習う項目ですが、しっかりとルールを把握できていない人もいるかもしれません。
 
 意外と忘れがちな徐行のルールはどのようになっているのでしょうか。

 道路を走行していると、一時停止の「止まれ」に加え、「50」「30」と書かれた速度制限など、さまざまな標識を目にすることがあります。
 
 これらの標識は、道路を利用するすべての人が安全かつ円滑に通行するために重要な存在です。

 自動車教習所に通った経験のある人であれば馴染みがあるかもしれませんが、そんな標識のひとつに「徐行」と書かれたものがあります。

 この徐行については、自動車教習所などで強く指導された記憶があるという人も少なくないでしょう。

 歩行者であればあまり意識することはないかもしれませんが、徐行の標識は自動車や自転車にとって大切な役割を担っています。

 道路交通法第42条では徐行について、「道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない」とされています。

 そもそも徐行とは、「直ちに止まれる速度で走行すること」を指しています。

 法律では具体的な速度が定められていませんが、首都圏の警察署の交通安全課の担当者は「10km/h以下の速度を目安に走行し、周囲の安全を確認しながら、慎重な運転を心がけてください」と話します。

 また、自動車教習所で教習の際に使用する教本には徐行について「ブレーキをかけてから車が停止するまでの距離が1m以内の速度」との表記があり、具体的な速度にかかわらず、1m以内に停止できなければいけないということがうかがえます。

 このことからもわかるように、徐行の標識が設置されている場所は、“より慎重に走行する必要がある場所”であり、例えば見通しの悪い交差点や道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂などが挙げられます。

 これらの場所では、周囲の状況を瞬時に把握することが難しく、普段に比べて慎重な運転が求められます。

 徐行の標識はこうした場所に設置されていることによって、徐行そのものはもちろん、運転者の安全運転に対する意識も促しているといえます。

■標識がなくても徐行が必須な場所も?

 そんな徐行の標識ですが、実は徐行をするべきすべての場所に設置されているわけではありません。

 そのため、標識がなくても適切に徐行できるよう、自身で徐行のルールを把握しておくことが求められます。

 では、徐行をするべき場所には、どういった場所が挙げられるのでしょうか。

 徐行については、前述した道路交通法第42条に加え、18条・31条・34条・71条などに記載があります。

 例えば、第18条では「歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するとき」が徐行をするべき場合とされており、歩行者の安全を守るため、歩行者との間に距離を保つことも求められています。

 第31条は、路面電車と関連しており、「路面電車に乗降する者の安全を図るため設けられた安全地帯があるとき、又は当該路面電車に乗降する者がいない場合において当該路面電車の左側に当該路面電車から1.5m以上の間隔を保つことができるときは、徐行して当該路面電車の左側を通過することができる」とされています。

 また第34条では、とくに多くの運転者が意識する必要がある右左折の徐行について、「あらかじめその前からできる限り道路の左側・右側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側・右側端に沿つて徐行しなければならない」と記されています。

 つまり、右左折の際には徐行は必須となっていますが、前出の担当者によると「右左折の際の徐行について、忘れがちになっている運転者がとくに多く見られる」といいます。

 交差点内は、複数台のクルマが行き交う場所であるうえに、横断歩道も設置されている場合が多いため、万が一に備えての徐行は必須となります。複数台の後続車がいると、焦って曲がろうとしてしまう運転者もいるかもしれませんが、徐行を念頭において安全な速度で通行するようにしましょう。

最近では「徐行」以外に「SLOW」と併記されている標識も存在

 さらに、第71条では「身体障害者用の車椅子が通行しているとき」「目が見えない者がつえを携え、若しくは盲導犬を連れて通行しているとき」など、身体に障がいを抱える人の通行を想定した規定が設けられています。

 加えて、「ぬかるみ又は水たまりを通行するとき」「監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているとき」「停車している通学通園バスの側方を通過するとき」なども徐行が義務となっており、さまざまなケースでの危険性が考慮されています。

 なお、徐行の義務がある場所において徐行をしなかった場合には「徐行違反」として、違反点数2点、普通車では7000円の反則金が科せられます。

 徐行をおこなうべき場所をしっかりと把握し、適切に走行するように心がけましょう。

※ ※ ※

 ちなみに、2017年7月からは「徐行」とともに「SLOW」という文字が記載された徐行の標識が設置されています。

 海外から移住してくる人や観光客に対して、徐行のルールを遵守してもらえるよう、国土交通省がおこなっている取り組みです。

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