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マツダ「ロードスターRF」はATが最適!? ソフトトップとは異なる“大人仕様”のハードトップの魅力とは

くるまのニュース 2022年3月20日 11時50分

ライトウェイトスポーツとして根強い人気を誇るマツダ「ロードスター」。4代目となる現行モデルには、ソフトトップのロードスターに加え、ハードトップの「ロードスターRF」が加わりました。ロードスターRFの魅力はどのようなところにあるのでしょうか。

■ロードスターのハードトップモデル「RF」

 マツダ「ロードスター」は長きにわたって根強い人気を誇るライトウェイトスポーツです。

「人馬一体」をコンセプトとし、運転を楽しむことを第一に開発。コンパクトなオープンボディの2シーターとして世界中で愛されています。

そして4代目となる現行モデル(ND型)には、ソフトトップのロードスターに加えて、ファストバッククーペスタイルの「ロードスターRF」を設定。

 電動格納式ハードトップが装着されたロードスターRFは、ロードスターのキャラクターとどのような点が異なるのでしょうか。

 軽量かつコンパクトで、運転が楽しいモデルとして支持されるロードスターは、1989年登場の初代(NA系)から現行型の4代目(ND系)まで進化。そして、2015年の4代目のデビューから1年後の2016年にロードスターRFが登場しました。

 同車は3代目にラインナップされた電動格納式のルーフを持つ「RHT(リトラクタブルハードトップ)」の後継モデルですが、「RF」の「F」に当たる「ファストバック」(ルーフのラインを後方までなだらかに傾斜していくデザイン)が、独特の世界観を生み出しています。

 さらに、2021年12月のロードスター/ロードスターRFの一部改良では、コーナリング中に内側のリアホイールにわずかなブレーキをかけることでロールを抑える新技術「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)」を搭載するなど、さらなる熟成や改良が進んでいます。

 ロードスターRFの電動格納式リトラクタブルハードトップは、屋根を開けるとオープンエアが楽しめ、屋根を閉めるとクーペスタイルになるのが最大の特徴です。

 ただし、このハードトップを搭載することで、ソフトトップに比べて100kg近く重量がアップ。その重量増を補うべく、2リッターエンジンを搭載して全体のパワーとトルクを増強しています。

 そして2リッターエンジンを搭載したロードスターRFは、ロードスターとは違うキャラクターが与えられたのですが、そのひとつとして、購入者が選択するトランスミッションにそれぞれの特色が反映されているようです。

 ロードスター全体の販売比率ではロードスターが70%、ロードスターRFが30%となっていますが、トランスミッションの比率を見ると、ロードスターはMTが79%、ATが21%であるのに対し、ロードスターRFはMTが53%でATが47%です。

 つまりロードスターRFのクーペボディにATの組み合わせを選択するユーザーが多く、MT比率が8割にものぼるロードスターとの差が鮮明になっています。

「ロードスターでAT?」と思われる人も多いかもしれませんが、そこにはちゃんと理由があるのです。

 まずはロードスターとロードスターRFの比較から見えてくるものをチェックしてみましょう。

 ロードスターのサイズは全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm、ホイールベース2310mm、車両重量は990kgから1050kgです。

 対するロードスターRFは、全高が+10mmの1245mmとなり、車両重量は1100kgから1130kg。ちなみにMTとATの重量差は30kgとなっています。

 搭載されるパワートレインは、ロードスターが132馬力の1.5リッターガソリンエンジンで、ロードスターRFが184馬力の2リッターガソリンエンジンを搭載。排気量は+500ccの余裕と52馬力のパワー差があります。

 以前良く耳にした「パワーウェイトレシオ」は、ロードスターの7.95kg/PSに対し、ロードスターRFは6.14kg/PS。

 数値上の動力性能ではロードスターRFのほうが速いと思われますが、スペックだけでは気持ち良さは測れず、ルーフが軽いソフトトップとルーフが重量増となるハードトップで重心位置も変わるため、一概にいえない部分もあります。

 ここで、先述したロードスターとロードスターRFで選択されるトランスミッションの違いにつながってきます。

 つまり、軽さとほどほどのパワーをMTで楽しむのがロードスター、電動格納式リトラクタブルハードトップを搭載した、流麗なラインを描くボディと余裕のパワーでスムーズに走らせるのがロードスターRFといったように、ルーフ以外はほぼ一緒なのに、上手にキャラクター分けができているというわけです。

■実用性は皆無だけど他車にはない個性がある!

 インテリアにもこのキャラクター分けが反映されており、ファブリックシートも似合うロードスターに対し(レザーシートの設定もあり)、ロードスターRFは断然レザーシートが似合う、大人向けの仕様となっています。

 国産クーペというくくりでいえば、トヨタ「GR86」・スバル「BRZ」もありますが、両車は「さぁスポーツ!」といった力強さがあります。

 一方でロードスターRFにはそこまでの押し出し感はありませんが、高級ホテルの車寄せや高級ブランド店が並ぶエリアにもさっそうと乗り付けられる上品さがあり、MTの忙しいギアチェンジよりスマートなATを駆使したほうが似合います。

 だからこそロードスターRFは、ATモデルを選んで間違いがないクーペだといえます。

ルーフを開けたマツダ「ロードスターRF」

 そして、ロードスターRFのルーフは、ボタンひとつで、なおかつわずかな時間で開閉することができます。

 これはオープンカーだけどあまり目立ちたくないという人にはピッタリで、「イケオジ(イケてるオジサン)」を目指している人に最適なスペシャリティカーというわけです。

 ちなみに大人な雰囲気のロードスターRFですが、実用性を求めるのは酷な話。小物入れがシートの後ろにあったり、トランクは機内持ち込みサイズのバッグがふたつ積めますが、いま人気のミニバンやSUVに比べたら、収納スペースは何もないに等しいレベルです。

 シートのリクライニングも“多少可能”という2シーターモデルで、流行りの車中泊などもってのほかですが、それこそがロードスターRFの個性だといえます。

 何かを得るためには何かを犠牲にしなければならず、ロードスターRFの場合はそれが実用性だったというだけ。

 実用性を求めるクルマが多い現在だからこそ、その潔さこそ、クーペが魅力的に見える最大の理由だといえます。

※ ※ ※

 ロードスターRFは、いまどき珍しいほど、乗り手を選ぶクルマといえます。2シーターなので送迎するとしても1名までですし、買い物もコストコで大量に購入した食品を載せるといった使用用途は諦めたほうが良いでしょう。

 しかし、それと引き換えに美しいプロポーションと、操る楽しさを手に入れることができるモデルでもあるといえます。

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