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トヨタ「C-HR」はSUVの皮を被ったクーペだった!? 悪路よりもスポーツ走行! 斬新スタイルの魅力とは

くるまのニュース 2022年3月19日 7時30分

クーペスタイルを採用するSUVとして人気を得たトヨタ「C-HR」。スタイリッシュなデザインがゆえに居住性が犠牲になっているといわれますが、そんなC-HRの本当の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

■斬新なクーペSUVスタイルが特徴のトヨタ「C-HR」

 新型コロナ禍の影響で半導体不足が解消されておらず、そのため新車の製造がストップするなど、納期遅れが発生しています。

 その影響は中古車市場にも及んでおり、すぐに乗れる中古車を購入する人が増加。人気車などはオークションの落札価格も跳ね上がるというプチバブルに近い状態になっています。

 ブームとなっているSUVも、中古車であれば出費を抑えて乗ることが可能ですが、新車気分も味わいたいとなると、登場からあまり年数が経っていないモデルを狙うのが良いでしょう。

 そんな条件にピタリと当てはまるのが、トヨタ「C-HR」です。

 C-HRは、コンパクトかつクーペに近いスタイリッシュなデザインのSUVとして2016年12月にデビューし、2017年の年間登録台数ランキング(日本自動車販売協会連合会)ではSUVジャンルのトップを記録するほどの人気を獲得しました。

 昨今はほかの新型車の勢いに押され気味ですが、それでも、誰が見てもかっこいいと思わせる斬新なスタイリングは健在です。

 C-HRとは一体どんなモデルなのでしょうか。その魅力に迫ります。

 2014年のパリモーターショーや2015年のフランクフルトモーターショーなど海外ショーでコンパクトクロスオーバーのコンセプトモデルとして発表。

 まるでフルエアロを身に着けたような張り出したオーバーフェンダーや、クーペのように後方に向かって絞り込まれた美しいラインなどコンセプトカーらしい斬新なデザインで登場しました。

 2016年のジュネーブモーターショーでは、コンセプトそのままのアグレッシブなスタイルの市販モデルがお披露目され、「トヨタの世界戦略SUV」として100か国以上に展開されることが明らかになっています。

 C-HRは、「RAV4」(SUVらしさ)と「プリウス」(HVなど優れた環境性能)と「86」(スポーティさ)をミックスさせたクロスオーバーSUVとして、1.8リッター+モーターのハイブリッド(2WD)と1.2リッターターボ(2WD/4WD)という2種類のパワートレインを採用。

 全長4385-4390mm×全幅1795mm×全高1550-1565mmと多少ワイドながらも取り回しやすいサイズ。最小回転半径は5.2mとハッチバック並の取り回しの良さを実現しました。

 また、2015年にフルモデルチェンジした「プリウス」から搭載が始まった「TNGA」プラットフォームを採用し、フロントに新開発のマクファーソンストラット式、リアにダブルウィッシュボーン式サスペンションを搭載。フロントに大型スタビライザーを装備するなど、まるでスポーツカーのような開発過程を経ているのも特徴です。

 2019年のマイナーチェンジでは、フロントのエアインテークを拡大したり、シーケンシャルウインカーを採用するなどの変更に加え、1.2リッターターボ(2WD)には6速MT(iMT)モデルも追加。

 さらにスポーツグレード「GRスポーツ」がラインナップに加わっています。

■ほかのSUVではありえない!? サーキットで走りを鍛えたC-HR

 多くの人がSUVに求めるのは、高い最低地上高がもたらす悪路走破性や、ワゴンに近い居住性と積載性でしょう。しかし巷の評判では、C-HRはこのあたりがどうもウィークポイントのようです。

 まずスタイリッシュなエクステリアデザインを優先した結果、後部座席の居住性が犠牲になっており、足元は狭くサイドウインドウも狭いことから開放感を感じにくく、上に絞り込まれたボディで頭上空間も圧迫感があります。

トヨタ「C-HR」(2019年マイナーチェンジ)

 リアゲートの角度もクーペ並みに寝ている関係で背の高い荷物も積みにくく、SUVの「U(ユーティリティ)」の部分はあまり得意ではないようです。

 しかし、これこそがC-HRがほかのSUVと違う特徴的な部分だといえ、背の低さは重心の低さや高速域での風の抵抗を減らしてくれます。

 SUVの「S(スポーツ)」の部分にかなり力が入っており、世界的にも有名なドイツ・ニュルブルクリンクサーキットをはじめ数々の道での走行テストを繰り返し、ハンドリングや足まわりのチューニングを実施。

 本格的な悪路走破性よりも、オンロードでスポーティに走ることを目的としたスペシャリティカーといえます。

 通常のクーペは車高が低いモデルが多く、乗降性は良くありません。その点C-HRは最低地上高が140-155mmとそれほど高くはない割に全高は1550-1565mmとトールワゴン並み。

 しかも流行りのSUVのスタイリングを持ちつつ、ハイブリッドモデルなら25.8km/L(WLTCモード)もの低燃費を実現しており、「SUVの皮を被ったクーペ」だと思えばこれほどオイシイ存在はありません。

 ターボモデルには「iMT」と呼ばれる発進時にエンストを軽減する発進アシスト機能やシフトダウン時に自動でブリッピングしてくれる機能を備えた「インテリジェントマニュアルトランスミッション」を装備。

 C-HRはコンパクトSUVに分類されていますが、その正体はFF化された5代目か6代目「レビン/トレノ」に近い感覚で乗るのが正解といえそうです。

 そう考えると、鍛えられた足回りは「スーパーストラット」を彷彿とさせますし、ここに現代のクルマに求められる燃費性能などを実現するパワートレインを組み合わせたと考えれば、C-HRの立ち位置が明確になるでしょう。

 ほかのSUVでは感じられにくい「運転する楽しさ」を持っていることも、クロスオーバーSUVとしての魅力のひとつといえそうです。

 そう考えれば、リアのドアノブをCピラーに配置してリアドアを「隠しトビラ」のようにしたのも納得。本来は2ドア(3ドア)で出したかったのかもしれません。

 発売当初に激売れしたC-HRは、程度の良い中古車がたくさん出回っています。

 ターボエンジンでも優れた環境性能を誇り、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車搭載されるなど、十分な装備を備えました。

 しかも派手なボディカラーも多く、人との差別化もしやすいなど、中古車市場では有数の「狙い目」モデルといえます。

 ちなみに現在の中古車相場では、2016年から2019年までの初期モデルなら150万円前後、マイナーチェンジ後の現行モデルも180万円前後からが相場です。

 新車で購入するとコミコミ300万円前後になることを考えると、C-HRの中古車はかなりお得に購入できるといえそうです。

※ ※ ※

 C-HRは常に多人数乗車するファミリー向けではありませんが、実際、車内はクーペより広くて快適ですし、SUV感も欲しいし運転も楽しみたいという人にはマッチするモデルだと思います。

 キャラクター的には乗る人を選ぶモデルかもしれませんが、逆にそれがユニークな個に感じられるのではないでしょうか。

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