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震度6強「福島沖地震」で大きな亀裂も16時間で「通行止め解除」の東北道 多くの人が驚いた早期復旧の理由とは

くるまのニュース 2022年3月18日 10時10分

「福島沖地震」が2022年3月16日午後11時36分に発生。その際、東北自動車道と常磐自動車道の主要高速道路において、路面に亀裂が入るなどの破損が確認され、通行止めとなりました。しかし、地震発生から十数時間で一般車が通行できる「通行止め解除」となりました。早期での復旧にはどのような取り組みがあったのでしょうか。

■3月16日「福島沖地震」で東北道、常磐道が通行止めに

 2022年3月16日午後11時36分に発生した「福島沖地震」は、最大震度6強を観測し、東北地方の高速道路10路線にて通行止めの措置が取られました。
 
 しかし、東北自動車道においては地震発生から十数時間で一般車が通行できる「通行止め解除」となりましたが、復旧作業はどのようにしておこなわれたのでしょうか。

 高速道路では計測震度4.5(震度5弱に相当します)以上の地震が発生すると、まずは「通行止めにして道路が損傷していないか?」、「段差ができていないか?」「土砂崩れなどがないか?」などの、道路の点検をおこないます。

 このたびの福島沖地震においても発生直後の午後11時36分から各所で通行止めとなりました。

 その後、通行止めとなっていた区間は次々と解除されており、3月18日午前6時現在、東北道は全線開通し、残すところは常磐自動車道の南相馬IC~新地IC(上下線)のみとなっています。こちらも18日中には開通となる予定です。

 NEXCO東日本では、公式ツイッターや公式サイト、高速道路交通情報サイト(ドラトラ)などで随時、通行止め解除などの情報を発信していますが、そのなかで多くの人が驚いた「通行止め解除」のお知らせがありました。

 路面に大きな亀裂が入り、復旧には時間が掛かるとされていた東北道下り線の国見IC~白石IC間の通行止め解除のお知らせです。

 ●3月17日午前7時45分発信

【高速道路損傷状況】

「東北道 国見IC~白石IC間(下り線)の293.7KP(白石ICから南へ約5km地点)の状況です。

 道路の復旧に時間がかかる見通しです。お客さまにはご迷惑をおかけしております」

 この際の投稿では、道路に大きな亀裂が入った写真が衝撃的で誰しも復旧にはかなりの時間が掛かると思われていました。

 しかし、損傷の状況を発信したわずか8時間後。NEXCO東日本の公式Twitterでは「通行止め解除」のお知らせが発信されたのです。

 ●3月17日午後3時44分発信

 【通行止め解除情報】(15:30時点)

「昨夜23:36から地震のため通行止めを実施しておりましたが、先ほど東北道全線解除となりました。大変ご迷惑をおかけしました。

 応急復旧での解除となっております。走行には十分お気をつけください」

 この際、亀裂が入った状態の「ビフォー」の写真と、応急復旧工事を行って亀裂がふさがれ一般車も通行可能となった「アフター」の写真が並べて投稿され、素早い通行止め解除に誰しも驚きました。

 仮復旧とはいえ、なぜ一般車が通行できる「通行止め解除」が地震発生から十数時間で可能となったのでしょうか。

 東日本高速道路株式会社の広報課に聞いてみました。

――予想外に早い通行止め解除で驚きました。どのような作業がおこなわれたのでしょうか?

 23時36分に発生した地震後の点検で、道路にクラック(亀裂)が入り、大きな損傷を受けていることがわかりました。

 まずは一刻も早くこの亀裂による溝を塞いで通行できるようにすきまを埋める作業がおこなわれました。

 応急復旧での解除となっておりますので走行には十分お気を付けください。

――復旧作業が行われたのは何時からでしたか?

 各所の点検を終えて損傷状況を確認したあと、クラック部分をふさぐ工事自体が本格化したのは17日朝7時頃です。

 地震発生から約16時間、作業開始から約8時間半で見た目は少々不格好ではありますが、仮復旧することができました。

■世界一の技術力+強い使命感とアツい気持ちが早期復旧の原動力に

――2011年3月11日に発生した東日本大震災のときにも東北道や常磐道は大きな被害を受けました。今回の福島沖地震とはどんなことが違いましたか?

 東日本大震災による損傷は東北道、常磐道ともに今回の地震による損傷をはるかに上回る規模でした。

 とくに、道路断面がずれて各所に大きな段差ができてしまったことで一般車が通行できるレベルに至るまでには時間が掛かりました。完全復旧までは約2年掛かっています。

※ ※ ※

 被害を受けた20路線、延べ854キロ区間については東北自動車道などの主要路線を中心に、3月12日早朝までには緊急車両の通行を可能とするための仮復旧(一部徐行などが必要)をおおむね完了し自衛隊の救援車両などに利用されています。

 このときも地震発生から十数時間で甚大な被害を受けた路線含め、800km以上の区間で仮復旧をほぼ完了したていました。

東北道の国見IC~白石IC間(下り)293.7キロポスト(白石ICから南へ約5km地点)の状況(画像:NEXCO東日本(東北)公式ツイッター)

――道路に亀裂が入った写真は衝撃でした。復旧には時間が掛かると思いましたが、8時間半の作業で仮復旧ができたのは、やはり土木工事においても世界一と称される日本の技術力によるものでしょうか?

 常磐道も東北道も東日本を縦断する重要な道路です。それが2本とも使えない状態ではいけないと。

 NEXCO東日本のスタッフが一丸となって、『いずれか片方でも良いのでとにかく一刻も早く復旧させなくては!』との強い使命感のもとで作業をおこなった結果だと思います。

※ ※ ※

 なお、取材した時点(17日夕方)では、東北道は全線通行止めが解除されていたものの、常磐道では常盤富岡IC~山本ICの上下線で通行止めとなっていました。

 その後、同日17時30分に常盤富岡IC~南相馬ICの通行止めが解除され、さらに、18日午前4時50分には新地IC~山元ICの上下線が解除されています。

 現在(18日午前6時30分)通行止めとなっている区間は、常磐自動車道(上下線)南相馬IC~新地ICの約23kmとなっていますが、こちらも18日中には解除の見込みです。

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