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トヨタが新型「超極上ミニバン」を開発!? 動くオフィス仕様が突如出現!「水素グランエース」が意外な場所に出没したワケ

くるまのニュース 2022年3月23日 17時10分

トヨタは水素の価値を広める一環として「FCVグランエース」を制作していますが、今回新たに2号車が制作されたといいます。どのような特徴があるのでしょうか。

■FCVで仕事が捗る!? 振動&匂いが無いというのは素晴らしいこと?

 2022年3月19日・20日とスーパー耐久シリーズ2022の開幕戦となる鈴鹿大会が開催されました。
 
 レースの現場では各チームともに「勝負に勝つ」ためにさまざまな準備をしていますが、そのなかに謎のトヨタ「グランエース」が置かれていましたが、どのようなクルマなのでしょうか。

 2022年のスーパー耐久の目玉は、2021年から引き続き参戦するトヨタ「カローラ」に水素エンジンを搭載した車両が参戦しています。

 さらに今シーズンからはトヨタ「GR86」とスバル「SUBARU BRZ」がカーボンニュートラル燃料を使って参戦するなど、単純なモータースポーツではなくカーボンニュートラルの実証に向けた実験の場ともなっているのです。

 そうしたなかで、鈴鹿サーキットのパドックに1台の黒いボディカラーにゴールドのラインが引かれたグランエースが置かれていました。

 一見、チーム関係者の移動車両のように思えますが、このグランエースはトヨタの燃料電池車(FCV)「ミライ」のユニットを用いた「FCVグランエース」だといいます。

 FCVグランエースは、2021年1月に開催された箱根駅伝にサプライズで登場し話題となりましたが、そのクルマは白いボディカラーにゴールドのラインが引かれたものでした。

 箱根駅伝で登場したグランエースは、後席がオフィス仕様に改造されたもので、運転席と後席をパーティションで区切り、その部分に大型モニターを設置。

 さらに対面式の3座キャプテンシートが配置され、高性能Wi-Fiを繋ぐことでオンライン会議がおこなえるという代物でした。

 しかし、今回置かれていた黒いグランエースはさらなる進化を遂げていると、開発担当者は次のように語っています。

ーー今回、1号車に続き2号車を制作した経緯を教えて下さい。

 前回の1号車(白いグランエース)で色々な人に使ってもらい『水素の価値』を広めるという意味で使っていただいた結果、色々とご評価頂いた部分もあるのでそれを活かすということもあり2号車の制作に至りました。

ーー1号車と2号車の違いはどのような部分でしょうか。

 メカニカルな部分ではユニットは基本的に1号車と同じでミライのものを使っています。

 細かな部分では、重量に合わせてステアリングやブレーキ、ECUの部品を一部変更しています。

 エクステリアはノーマルのグランエースにゴールドのラインがある以外は変わりなく、1号車と2号車では色が違うだけです。

 対してインテリアでは、1号車がひとつ空間(3座キャプテンシート)だけだったのに対して、今回はふたつの空間を提供しています。

 後席の部分では1号車と同じ用に前席とのパーティションに大型モニターを設置して、2座のキャプテンシートに座ることで移動しながらオンライン会議や仕事が出来るように設定して制作しました。

 荷室の部分は、片側側面にキャビネットもう一方の側面に折りたたみデスクとモニターを搭載し、真ん中に簡易チェアを配置しています。

 全体的に落ち着いた色合いのある木目を使った高級感のある家具で統一しました。

ーー後席空間と荷室空間の役割や特徴を教えて下さい。

 後席空間で狙った部分としては、オフィスにいるより快適なオンライン会議が出来るようにという部分を意識しました。

 移動しながらのオンライン会議はもちろん、キャプテンシートをリクライニングさせることで仮眠なども出来ます。

 また荷室部分を活用した空間は、停車時の使用を想定して制作していますが、ふたつの役割があります。

 ひとつは荷室として多くの荷物が載せられるというもの、もうひとつは『構想スペース』として『リラックス&イノベーション』のスペースに出来ないかということで位置付けました。

■1号車、2号車が出来たなら…3号車は? 今後の展開はどうなるのか

 スーパー耐久シリーズの開幕戦にひっそりと置かれたFCVグランエースですが、モータースポーツの場に置かれたのは初めてではありません。

 2021年のスーパー耐久シリーズの第3戦となる富士24時間レースにて、水素エンジンのカローラを参戦させるだけでなく、「水素社会を実践してみる」というミッションにより、FCVグランエース(1号車)と「FCVハイエース(300系)」のキッチンカー、ミライの3台がパドック周りの電源を供給していました。

 そうした背景もあり、2022年シリーズの開幕戦に2号車を持ってくることになったようです。

 では、1号車、2号車の今後はどうなるのでしょうか。前出の担当者は次のように述べています。

ーー2号車が出来たことで1号車はどうなるのでしょうか。

 しばらくの間は1号車と2号車を使い続けます。実証実験ということもあり、色々な人に色々なシチュエーションで使用してもらうためにもう少し台数があってもいいのではないかと思っています。

ーーということは、3号車が制作される可能性もありますか。

 そうですね。1号車、2号車でさまざまなお声を頂いているので、それをタイムリーに具現化していくためにはその要望にあった仕様が出来る可能性はあります。

 ただし、たくさん制作すればいいということではなく、『水素の価値を早く、広く広めるため』にこういったクルマは具現化していければいいと思います。

※ ※ ※

後席空間は移動しながらのオンライン会議が可能! 荷室空間は停車時に構想スペースとして活用される

 今回、実際に後席空間や荷室空間を使用して感じることは、エンジン搭載車であれば感じる振動や匂いが無いということをより覚えたことです。

 普段であれば振動や匂いは当たり前ですが、FCVだからこそ細かなストレスから開放されるという部分では環境以外にも仕事が捗る要因になるといえます。

 さらに、排気ガスが出ないためテールゲートを開けた状態でリラックス&イノベーションが出来るため、仕事以外にも屋外活動での拠点として活用することも出来そうです。

※ ※ ※

 トヨタはモータースポーツを通じて水素の価値を実証しており、レースでは「つくる」「はこぶ」「つかう」というテーマで水素社会の実現に向けた取り組みをおこなっています。

 その一方で実際のユーザーに身近な出来事になりつつある「オンライン会議」といった部分でも水素を活用することで、認知拡大に繋がりまた一歩水素社会の到来が早くなるかもしれません。

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