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フルモデルチェンジが原因!? 方向転換したら歴史に幕を下ろすことになった車3選

くるまのニュース 2022年4月1日 6時10分

過去にどれほど高い人気を誇っていたクルマでも、販売台数の低迷が続けば消える運命にあります。そこで、フルモデルチェンジしたら人気を失い、歴史に幕を下ろすことになったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

■フルモデルチェンジで方向転換したら消えることになったクルマたち

 2022年3月31日に、日産「シーマ」と「フーガ」が今夏に生産を終了するという報道がありました。1988年に初代シーマが登場した時には好景気という背景から、高級車ながらヒット作となり、まさにバブルを象徴するクルマでした。

 このシーマのようにかつて高い人気を誇っていたクルマでも、代を重ねるとニーズの変化もあり、人気が下落してしまうことは珍しくありません。

 そして、メーカーは存続させる再度フルモデルチェンジをおこなうかの判断に迫られ、消えていったクルマも数多く存在します。

 また、フルモデルチェンジの際に大きく舵を切ったため、人気とならなかったクルマもありました。

 そこで、フルモデルチェンジしたら人気を失い、歴史に幕を下ろすことになったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「CR-X デルソル」

優れた走りを実現していながらもコンセプトの変更は受け入れられなかった「CR-X デルソル」

 ホンダは1983年に、同社初のFFライトウェイトスポーツカー「バラードスポーツCR-X」を発売しました。

 ファストバッククーペのボディはデザインも秀逸で、軽量な車体とパワフルなエンジンの組み合わせによって優れた走りを実現しました。

 その後、1987年には2代目にフルモデルチェンジ。車名を「CR-X」に改めつつも、スタイリングや軽量コンパクトなFFスポーツカーというコンセプトを初代から継承していました。

 そして、大きく方向転換したのが、1992年発売の3代目です。再度車名を「CR-X デルソル(delSol)」に改め、ボディもタルガトップのオープン2シーターへと変貌を遂げました。

 グレード構成はルーフの開閉機構によって大きく2タイプに分かれ、ひとつはルーフを手動で脱着する標準モデルで、もうひとつは新開発された電動ルーフの「トランストップ」です。

 トランストップはルーフ部分が自動でトランクに格納される非常にユニークなギミックを採用しており、オープンにする時にはトランクリッドが上昇してそこからアームが伸び、リッド内にルーフを引き込んで下降するという機構でした。

 プラットフォームは5代目「シビック」と共通ながらオープン化に伴って強化され、トップグレードの「SiR」には最高出力170馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒VTECエンジンを搭載。路面追従性に優れた4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションと相まって、当時のFF車のなかでもトップクラスに入る走行性能を誇りました。

 しかし、従来のCR-Xから大きくイメージチェンジを図ったことは不評で、CR-X デルソルはヒットすることなく1998年に生産を終了。この代をもってCR-Xは消滅してしまいました。

●トヨタ7代目「セリカ」

シャープなフォルムのFFスポーツカーながら、ニーズの変化には抗えなかった7代目「セリカ」

 トヨタは1970年に、若者でも手が届く大衆向けスペシャリティカーとして初代「セリカ」を発売しました。スタイリッシュなフォルムの2ドアノッチバッククーペ(後に3ドアハッチバックの「リフトバック」を追加)ボディに、高性能なDOHCエンジン車を設定するなどによって、人気を博しました。

 その後、大きな転換期となったのが1985年に発売された4代目で、駆動方式がFRからFFとなり、さらに1986年には高性能なターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせたトップグレードの「GT-FOUR」が登場し、世界ラリー選手権で活躍するなど、セリカはハイパフォーマンスなスポーツカーへとイメージチェンジが図られました。

 この4代目セリカのハイパフォーマンスカー戦略は6代目まで継承されましたが、1999年にデビューした7代目は大きくコンセプトが変わり、全グレードがFFの2WDのみとされ、エンジンもすべて自然吸気にスイッチされました。

 ボディは3ドハッチバッククーペのみで、空気を切り裂くようなウエッジシェイプのボディに、ボディサイドの立体的な造形によって、スポーツカーらしいシャープなフォルムへと一新。

 エンジンは全グレードとも1.8リッター直列4気筒自然吸気で、トップグレードの「SS-II」には最高出力190馬力を発揮する高回転・高出力な「2ZZ-GE型」を搭載。トランスミッションは6速MT(SS-II)、5速MT、4速ATが設定されました。

 また、足まわりはフロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンを採用した4輪独立懸架とされ、SS-IIには「スーパーストラットサスペンション」搭載車を設定。1トン少々の軽量な車体と相まって、ハンドリング性能は高く評価されました。

 しかし、すでにクーペに対するニーズは低下しており、7代目セリカの販売台数は低迷してしまい、2006年に生産を終了。セリカの長い歴史に終止符が打たれました。

●日産3代目「プリメーラ」

アグレッシブなデザインの内外装に賛否が分かれた感があった3代目「プリメーラ」

 日産は1990年に、新時代のスポーティFFセダンである初代「プリメーラ」を発売。セダンとしての基本性能が高く、新開発のフロントマルチリンクサスペンションによる優れたハンドリングに、スタイリッシュなフォルムという相乗効果で、日本だけでなく欧州でもヒット作になりました。

 その後1995年に、初代のスタイリングやコンセプトをキープした2代目が登場。初代には及びませんでしたが、スマッシュヒットを記録しました。

 そして、2002年には、内外装のデザインを大きく変えた3代目が発売されました。

 外観はそれまでの比較的オーソドックスなセダンフォルムから、ウエッジシェイプで流麗なシルエットのクーペスタイルへと変貌。2代目から継承されたステーションワゴンも、リアハッチを極端に寝かしたスポーティなフォルムとなりました。

 また、内装も従来は奇をてらわないデザインでしたが、3代目では丸型3連のセンターメーターを採用。コンソールには空調やオーディオ、ナビのスイッチを配置したテーブル状のパネルを設置し、直感的な操作を可能とするなど、先進的かつアグレッシブなレイアウトとされました。

 エンジンは1.8リッター、2リッター、2.5リッターの直列4気筒DOHC自然吸気で、2001年には最高出力204馬力を誇る2リッターの「SR20VE型」と6速MTを組み合わせた高性能な「20V」シリーズが加わりました。

 3代目プリメーラは欧州では高評価を得ましたが、日本では2代目までのような人気を獲得できず、2005年に生産を終了し、プリメーラは消滅しました。

※ ※ ※

 フルモデルチェンジで大きく変わることは、ある意味「賭け」という部分もあります。

 ただし、変わること自体はさらなる高みを目指しておこなわれているので、それ自体は悪いことではありません。

 自動車メーカーは5年後、10年後も考慮して新型車の企画をおこなうといいますが、ニーズの変化やタイミングを見誤ると、ヒットにつながらないこともあるでしょう。まさに新型車開発の難しいところです。

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