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マツダの新型SUV「CX-60」いよいよ登場! PHEVの個性が違う!? 三菱「アウトランダー」と乗り比べ!

くるまのニュース 2022年4月9日 10時10分

PHEVシステムを搭載するマツダ新型「CX-60」の日本仕様が発表されました。2021年末に三菱新型「アウトランダー」が登場していますが、同じPHEVといってもそれぞれに異なる特徴があるようです。

■三菱とマツダから注目のPHEV登場!

 外部から充電可能なハイブリッド車である「プラグインハイブリッド車」に、三菱新型「アウトランダー」とマツダ新型「CX-60」という2車種の注目モデルが登場しました。

 2021年12月に発売された新型アウトランダーは、日本市場ではPHEV専用モデルとして投入されます。

 一方、2022年4月に新型CX-60の日本仕様が発表され、ガソリンやディーゼル48Vマイルドハイブリッド車に加えてプラグインハイブリッド車が用意されました。

 同じプラグインハイブリッド車の2車ですが、技術的な面や走りのチューニングについて違いがあります。具体的に何がどう違うのでしょうか。

 新型アウトランダーはダート専用コースや一般道で試乗、新型CX-60(プロトタイプ)はマツダ美祢自動車試験場で試乗し、幹部やエンジニアから話を聞くなどしたなかで、両車の商品特徴が浮彫りになってきたのです。

 技術面でもっとも大きな違いは、基本的な駆動方式です。

 どちらもAWD(四輪駆動車)ですが、新型アウトランダーはエンジン横置きのFF(フロントエンジン・フロント駆動)で後輪はモーター駆動となります。

 ガソリンエンジンは2.4リッター直列4気筒で最高出力98kW/最大トルク195Nm。モーターはエンジンと連動するフロントモーターが最高出力85kW/最大トルク255Nm、リアモーターが最高出力100kW/最大トルク195Nmで、バッテリーパックの電気容量は20kWhです。

 対する新型CX-60は、エンジン縦置きのFR(フロントエンジン・リア駆動)がベースで、モーターは新設計の8速オートマチックトランスミッションと組み合わせています。

 ガソリンエンジンは2.5リッター直列4気筒で最大出力141kW/最大トルク261Nm。モーターが最高出力129kW/最大トルク270Nmで、バッテリー容量は17.8kWhとしています。

 基本レイアウトの違いは、両車の走りの違いに直結します。

 具体的には、新型アウトランダーは前後輪の駆動力をつなぐプロペラシャフトがありません。そのため、後輪はモーターを独立して制御することが可能です。

これは一般的に、「e四駆」などと呼ばれるシステムですが、e四駆の多くが雪道や滑りやすい路面での安定した発進などをサポートするイメージでした。

 それが近年では、トヨタ「RAV4ハイブリッド」や「RAV4 PHV」などに見られるように、リアモーターを積極的に使う走りのレベルをさらに上げた「電動四駆車」というイメージが高まっていました。

 その上で、新型アウトランダーは「フロントモーターよりリアモーターを高出力として、リアを積極的に働かせている」(三菱エンジニア)という開発思想を持っています。

 実際、オフロードコースで強めにアクセルを踏み込むと、クルマのリアがコーナーの内側に向けて回り込むことがわかります。

 三菱の実験担当者も「『ランサーエボリューション』で培ってきた(車両運動総合制御システムの)S-AWCを最大限に活用して、三菱ならではの走りを追求してきました」といいます。

 また走行状況に応じて、NOMAL、POWER、ECO、TARMAC、GRAVEL、SNOW、MUDと7つの走行モードをドライバーが選べるのも大きな魅力です。

■新型CX-60がFRプラットフォームを採用する理由は?

 一方、新型CX-60は、直列4気筒エンジンの後方に、ふたつのクラッチを介してモーターと8速ATが組み込まれたパッケージを搭載。8速ATからドライブシャフトをリアのデファレンシャルギアを介して後輪を駆動します。

 そのため、新型アウトランダーのようにクルマをリアだけを積極的に動かすというイメージではありません。

マツダ新型「CX-60 PHEV」(プロトタイプ)

 このようなシステムをマツダが設計した最大の理由は、FRをベースとする「ラージ商品群」で部品の共有性を高めて、価格をできるだけ抑えて多様なモデルと多様なエンジンラインナップを実現させることにあります。

 今回の新型CX-60プロトタイプ試乗では、プラグインハイブリッド車のほかに、新開発の3.3リッターディーゼル48Vマイルドハイブリッドも体験しました。こちらのレイアウトもふたつのクラッチと8速ATの組み合わせとなります。

 液体によるトルクコンバーターではなく、クラッチを使った8速AT(DCT)と各種モーターが巧妙に制御されてトルクの伝達性がしっかりわかることに加えて、エンジンの低回転域から高回転域までの痛快な伸び感を楽しめました。

 また、プラグインハイブリッド車もディーゼルマイルドハイブリッド車も、エンジンをかなり後方に配置した、事実上の「フロントミッドシップ」のようなパワートレインレイアウトにより、クルマの旋回性と操縦安定性が高まっていることがわかります。

 さらに、マツダの設計思想として、人の脳とクルマが直結しているような、身体拡張能力を掲げています。例えるならば、食事の際の使う箸の先端に、人の意識が集中するような感性です。

 マツダはラージ商品群を「マツダとして次の大きなステップ」と位置付けており、そのトップバッターである新型CX-60はプラグインハイブリッド車を含めて、これまでのマツダ車と比べてハンドリングと乗り味での大幅な進化を実感できました。

 このように、新型アウトランダーと新型CX-60は、同じプラグインハイブリッド車といっても、メーカーの商品に対する位置付けや設計・開発に対する狙いの違いによって、それぞれに個性があるといえます。

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