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VWのプラグインハイブリッド「パサートGTE」が激進化! 新型になって向上した実用性とは

くるまのニュース 2022年4月12日 19時10分

2022年4月にマイナーチェンジを果たして誕生したVWのプラグインハイブリッド、新型「パサートGTEヴァリアント」ですが、どこが進化したのでしょうか。モータージャーナリスト岡本幸一郎さんのレポートです。

■従来よりバッテリー容量30%増加で EV走行距離が57kmに

 2021年4月にモデルチェンジした現行型パサートヴァリアントに、プラグインハイブリッドモデル新型「パサートGTEヴァリアント」が加わりました。

 最大のポイントは、バッテリー容量が従来型に比べて30%も増えて13.0kWhになり、WLTPモードでのEV航続可能距離が57kmに伸びたことです。

 これにより、走行時に二酸化炭素を排出することなく日常生活をこなせる領域が拡大しました。

 内外装デザインや先進運転支援系の装備も新型パサートと同様に新しくなり、そこにC字型のLEDデイタイムランニングライトやブルーのブレーキキャリパーなど、GTE専用のアイテムが与えられています。充電口がフロントグリルに設定されているのも特徴です。

 質感が高いのもパサートヴァリアントならでは。広々とした車内空間の随所に青のアクセントが配されているのもGTEの特徴です。上級の「アドバンス」には、チタンブラック色のナパレザーのスポーツコンフォートシートや、ヘッドアップディスプレイ、カラー調整機能の付いたアンビエントライトなどが標準装備されるほか、電動パノラマスライディングルーフをオプションで選択することもできます。

 荷室容量は通常時483リッターから最大1613リッター。驚異的な広さを誇るパサートヴァリアントのガソリン車に比べると、搭載する電池のぶん数値としては小さくなっていますが、それでも広くて使いやすいことには変わりありません。

 パワートレインはこれまでと同じく最高出力が156馬力(115kW)、最大トルクが250Nmの1.4リッターTSIガソリンエンジン。エンジンとトランスミッションの6速DSG(DCT)の間に、同116馬力(85kW)と330Nmのモーターが組み合わされています。

 イグニッションをオンにすると、デフォルトの走行モードは「Eモード」が選択され、バッテリーが残っていれば、そのままエンジンを始動させることなく、330Nmのトルクを発揮するモーターにより、しずしずと力強く走り出します。そしてそのまま日本の制限速度内であればどこでもカバーできるほど、不満のない加速が高い車速まで維持されます。

「ハイブリッドモード」では、モーターとエンジンを効率よく使って走行しつつ、回生エネルギーからバッテリーを充電します。低速走行をモーターが担当し、車速が高まるとエンジンが主体となり、アクセルペダルを踏み増すとモーターがアシストしてより力強い加速が得られます。ブレーキフィールの違和感が小さいことも特徴のひとつです。

 また、デジタルコクピットのディスプレイ上でバッテリーをどれぐらい残しておきたいのかを選択しておくと、それに合わせて、状況に合わせて設定した充電量に達するまで賢く充電してくれるという新しい試みもナイスアイデアです。

 その充電の仕方についても、停車時や極低速走行時などエンジンが回っていると騒々しく感じるであろうシチュエーションではそうせず、車速がある程度高まってから充電し始めるなど、クレバーな制御となっていることにも感心しました。

■半導体不足の影響で、2022年に日本導入は50台のみ

 走行モード「GTEモード」を選択するとエレクトリックブーストが発動し、モーターとエンジンの両方のパワーがドッキングして、より鋭く力強い加速フィールを味わうことができます。

 この瞬発力ある走りはなかなか快感です。

VW「パサートGTEヴァリアント」の走り

 デュアルクラッチトランスミッションのDSGの強みで、走りにはダイレクト感もあります。

 ともすると飛び出し感を覚えるほどですが、DSGの乗り味に慣れ親しんできたVWユーザーにとっては、むしろこれぐらいでないと物足りなく感じられるのではないかと思います。

 上級グレード「アドバンス」には、アダプティブシャシーコントロール「DCC」や、電子制御ディファレンシャルロック「XDS」といった装備が標準で搭載されます。

 DCCは、路面をしなやかに捉えながらもバネ上の揺れを抑えてくれるので、車内は常に快適に保たれます。スポーツモードを選択すると、その延長上でダンパーの設定が変わり、快適さを損なうことなくハンドリングの俊敏性が高まります。

 XDSは内輪のグリップ不足を検知すると、適宜ブレーキをかけて空転を抑えトラクションを回復させてくれるので、車速域や路面状況を問わずパサートらしい正確なハンドリングに一役買っています。

 最小回転半径が5.4mと、この車格のFF車としては小回りが利くのも特徴です。

 もちろん、部分的な自動運転を実現した先進運転支援装備や、最先端を行くインフォテイメントシステムついても、最新のVW車らしく非常に充実しているのも強みです。

 WLTCモード燃費の公表値は、15.9km/L(市街地11.7km/L、郊外16.8km/L、高速18.1km/L)と驚くほどではないものの、取材時に房総半島をぐるっと回ってみた感触では、実燃費はなかなか良好な印象を受けたこともお伝えしておきましょう。

 価格は634万5000円から683万8000円で、もちろん補助金も得られます。

 ただし、半導体不足等の影響で、2022年の供給量は約50台にとどまり、以降の受注分は来年以降の出荷となる見込みとのこと。この実直的で利便性に優れ先進的なニューモデルに興味のある人は、少々急いだほうがよさそうです。

VW「パサートGTEヴァリアント」の充電リッド

Volkswagen Passat GTE Variant ADVANCE
フォルクスワーゲン パサートGTEヴァリアント アドバンス
・車両価格(消費税込):683万8000円
・全長:4785mm
・全幅:1830mm
・全高:1510mm
・ホイールベース:2790mm
・エンジン形式:直列4気筒ターボ
・排気量:1394cc
・駆動方式:FF
・変速機:6速DSG(DCT)
・エンジン最高出力:156ps/5000−6000rpm
・エンジン最大トルク:250Nm/1550−3500rpm
・モーター最高出力:116ps
・モーター最大トルク:330Nm
・車両重量:1770kg
・WLTCモードハイブリッド燃費:15.9km/L
・充電電力使用時走行距離:57km
・タイヤサイズ:235/45R18

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