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マジ「萌えキュン」な小型車「S3」登場!? 50万円以下で買えた「宏光MINIEV」がライバル? 「北京ジープ」と違う「かわいいクルマ」とは

くるまのニュース 2022年5月5日 19時10分

激安EVとして知られる上汽通用五菱「宏光MINIEV」に強力なライバルが現れました。それは北汽製造「S3」ですが、そのルックスはまさに萌えキュンなデザインでした。

■宏光MINIEVに強力ライバル現る?

 2020年8月に発売された上汽通用五菱「宏光MINIEV」は50万円以下(当時)という激安価格とで話題となりました。
 
 2021年の累計販売台数は42万6484台を記録し、ランキングではテスラ「モデル3」などを抑えて2位の座に輝いています。(ちなみに1位は日産「シルフィ」)
 
 その凄まじい人気に黙っていられなかったのが、「北京ジープ」でも有名な中国の自動車メーカー「北京汽車」です。

 テスラを抑え、2021年の中国でもっとも売れた電気自動車の称号を手に入れた宏光MINIEV。
 もちろんその価格の安さ(登場時約46万5000円)も人気の一因ですが、ここまで価格を下げても犠牲にされていない品質の良さが話題となり、中国に一大ブームを巻き起こしました。

 宏光MINIEVを製造・販売する上汽通用五菱は、上海汽車とアメリカのゼネラルモータース(中国語名:通用汽車)などが設立した合弁会社です。

 上汽通用五菱は、以前から小型バンとしての「宏光」シリーズを販売しており、すでにその時代から人気の車種でした。

 2010年に最初のモデル「宏光」がローンチされて以来、より大型の「宏光S1」や、SUVの「宏光S3」、「宏光PLUS」などの派生車種が展開中。2017年と2018年の2年間は販売台数50万台以上を記録し、小型ミニバン部門のみならず、中国で販売されている全乗用車のなかでも販売台数首位の座に君臨しました。

 その後は台数を減らしながらも、依然として販売好調なミニバンであることは確かであり、2021年では25万5922台を販売し、乗用車年間販売台数ランキングでは9位に位置しています。
 元の車種が培ってきた評判もこの格安EVへの爆発的人気に少なからず影響していることでしょう。

 ウナギのぼりの勢いで超小型EV市場を独占している宏光MINIEVですが、ここにきて新たなライバルが発売を控えていることがわかりました。それが、北京汽車製造廠(BAW)の「S3」です。

 北京「BJ212(通称:北京ジープ)」は、ソ連のGAZ-69という軍用車をベースに1966年から量産が始まりました。

 当時はれっきとした中国人民解放軍向けの軍用車でしたが、1971年からは国外へ民間向けモデルを輸出開始、1987年には当時の「四駆ブーム」にあやかって日本での販売を試みた日本の輸入車販売店が5台ほど試験的に輸入したこともありました。

 北京汽車製造廠の今に至る歴史はあまりにも複雑なので一部割愛しますが、簡単に説明すると、国営メーカーの「北京汽車集団(北汽集団、BAIC)」と、今回取り上げている「北京汽車製造廠(北汽製造、BAW)」はまったくの別会社です。

 どちらも1958年に設立された中国人民解放軍の自動車工場に端を発しており、一時期は両者とも資本関係にありましたが、2016年に北汽集団は保有する北汽製造の株の売却、これを以って北汽製造は国営メーカーの傘から外れることになりました。

 北汽集団は現在国内6位の規模を誇る自動車会社で、積極的に電気自動車の開発をおこなっています。

 一方で、北汽製造は長らくBJ212の近代化改修モデルを販売し続けたり、そのほかのオフロードモデルに注力していたりと、「新能源車(日本語:新エネルギー車)」に関して遅れを取っていた印象でした。それがこのたびようやく本気を出し始めたというわけです。

■北汽製造のS3は宏光MINIEVに勝負挑める?

 今回発表された北汽製造のS3はデザインからして、すでに宏光MINIEVをかなり意識していることがわかります。

 パステルカラーにホワイトを合わせたツートンカラーでポップな印象を持たせており、ヘッドライトもレトロチックに角張ったものとなっています。

 ボディサイズも全長3151mm×全幅1498mm×全高1585mmとなっており、宏光MINIEVの全長2917mm×全幅1493mm×全高1621mmと非常に近い印象を与えます。

 ちなみに搭載されているモーターは浙江方正電機製のTZ160X020という出力20kWのモーターですが、これも宏光MINIEVが搭載しているものと同一になります。

 一方で、内装を見てみると異なる点がいくつかあることに気がつきます。

 まず、宏光MINIEVはメーター部に7インチディスプレイを配置していますが、S3はふたつの10.25インチディスプレイがダッシュボードに置かれており、この点においてはS3のほうが優れているといえるでしょう。

 一方で、前席の間に設置されているセンターコンソールはS3のほうが突出したデザインになっているせいで若干狭い印象を与えるだけでなく、内装のクオリティ自体も宏光MINIEVより出来が悪いように見えます。

売れる理由は「価格の安さ」と「性能の高さ」 激安EVとして知られる五菱「宏光MINI EV」(撮影:加藤ヒロト)

 宏光MINIEVと真っ向から勝負するつもりでいるS3ですが、宏光MINIEVの最大の武器「経済性」ではどうでしょうか。

 価格はまだ正式に発表されていないものの、現地メディアでは宏光MINIEVと同じ価格帯の3万元(約58万5000円)から5万元(約97万5000円)になると報じられています。

 とくに価格面はもっとも重要視すべき要素のひとつであり、宏光MINIEVが販売当初の2万8800元(約56万2000円)から現在では3万2800元(約63万9000円)にまで値上がりしていることを考慮すると、少なくとも真っ当な勝負はできるのではないでしょうか。

 また、北汽製造はS3に加え、異なるフロントマスクを持つ5ドアモデル「S5」の登場も予告しています。

「宏光 MINIEVのようなコンパクト5ドアが欲しい」と考えていた層にはうってつけの選択肢になるかもしれません。

 中国においてこのような超小型EVはすでにレッドオーシャン市場になりつつあります。

 宏光MINIEVの登場以前から似たようなモデルはいくつか販売されていましたが、この低価格とクオリティを持つものは宏光MINIEVしか存在せず、ここまで人気になった以上は、他社がここから盛り返すのはかなり難しい挑戦といえます。

 とくに宏光MINIEV登場以降、「奇瑞 QQアイスクリーム」や「東風風光MINIEV」など、宏光 MINIEVに似せたモデルが続々と登場しているものの、どれも大元のモデルには敵わない印象です。

 北汽製造が満を持して送り出すS3が他社の二の舞になるのか、はたまた宏光MINIEVを打ち負かす存在になるのかは、すぐにわかることとなるでしょう。

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