トヨタが2022年3月期連結決算を発表。最終利益などが最高を更新しましたが、2023年3月期予想は減益の見通しです。何が影響しているのでしょうか。
■資材高騰1兆4500億円「過去に例がないレベル」
2022年5月11日、トヨタが2022年3月期の連結決算を発表しました。
連結販売台数は前年度比7.6%増の823万台でした。トヨタ・レクサス販売台数は前年度比4.7%増の951万2千台で、電動車の販売比率は28.4%でした。
売上高にあたる営業収益は前年度比15.3%(4兆1649億円)増の31兆3795億円、営業利益は前年度比36.3%(7979億円)増の2兆9956億円、最終利益は26.9%増の2兆8501億円となり、いずれも最高を更新しました。
営業利益率は9.5%となり、前年度から1.4ポイント改善しています。
2021年度の営業利益の増益要因としては、資材価格高騰で6400億円の減益が響いた一方、為替変動で6100億円、販売打数増加や金融事業の収益改善といった営業面の努力で8600億円などの増益があったといいます。
日本の連結販売台数は前年度比9.5%減の192万4千台、営業利益は同24%(2742億円)増の1兆4255億円でした。
北米・欧州・アジア・その他(中南米・オセアニア・アフリカ・中近東)地域でも、営業利益は増益となっています。
2023年3月期の業績見通しは、為替レートの前提をドル115円、ユーロ130円とし、連結販売台数は7.5%増の885万台に。
営業収益も5%増の33兆円としていますが、一方で営業利益は20%減の2兆4000億円、最終利益も21%減の2兆2600億円としています。
この減益は、原価改善や販売増が見込まれるものの、資材価格高騰分の1兆4500億円をカバーできないことによるものです。
オンライン会見で山本正裕経理本部本部長は、「身の丈にあった生産台数を前提としました。かつてない資材価格・物流費の上昇により減益を見込みますが、引き続き成長投資は緩めず、諸活動はぶれずに推進してまいります」と説明します。
近健太副社長は、2023年3月期の業績予想で資材高騰分を1兆4500億円と見込んでいることについて、「過去に例がないレベルです。2022年3月期の6400億円も過去で一番大きかったですが、それを超える非常に大きな影響だ」とコメントしています。
資材高騰を受けた価格転嫁の可能性については、長田准COO(チーフ・コミュニケーション・オフィサー)が「クルマを日々の足として使っているお客さまもたくさんいらっしゃいます。そのため価格を上げるのは難しい問題だと思っています。それぞれの地域と、ラインナップで(価格転嫁が)できるのか厳しいのか、きめ細かく見て決めていきたい」と話しています。