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「クルマは四角くないとダメ!」流行りの丸いクルマに異議!? あまりに真四角すぎるトヨタ車3選

くるまのニュース 2022年5月13日 16時10分

曲面を活かした複雑な造形のクルマが増えるなか、あえて四角いクルマを好む人も少なくありません。流線形全盛の時代でも新車で買える四角いクルマを、トヨタ車のラインナップのなかからセレクトしてみました。

■四角くければ四角いほうがいい! 真四角すぎるトヨタ車3選

 クルマのデザインが年々複雑化しています。シャープなヘッドライトや個性的なフロントグリルを起点とし、流麗なフォルムと組み合わせることで、あらたな印象を与えるデザインが各メーカーから日々誕生しています。
 
 しかしそんな傾向に対し「いまひとつなじめない」「クルマは四角いほうがいい」という声も、SNSなどでは散見されます。
 
 そこで今回は、いさぎよいくらい「真四角」な3台を、2022年5月時点にトヨタが販売しているラインナップのなかからピックアップします。

●縦横比がほぼいっしょ!「グランエース」

 2019年11月、人気Lクラスミニバン「アルファード」のさらに上をいく大型ミニバン「グランエース」がデビューしました。

 グランエースのボディサイズは、全長5300mm×全幅1970mm×全高1990mm。アルファードのボディサイズが全長4935mm×全幅1850mm×全高1935mmですから、いかに大きいかがわかります。

 グランエースの縦横比をみてみましょう。全高(縦)1990mmに対し全幅(横)は1970mmと、ほぼ「真四角」。

 どうしてここまで真四角なのでしょう。

 実はグランエースは、海外向けの商用バン「ハイエース」(日本未発売)の車体をベースに誕生しています。

 全高や全幅分の空間効率をフルに活かし、車内へ荷物を最大限に積むには、上部を極力絞らず真四角なかたちにするのがいちばんです。

 グランエースはそれを愚直に実行したわけです。

 実際にグランエースの後部から眺めても、初めて見た人がおもわず「四角っ!」と声をあげてしまうほど。いかにも効率が高そうなことが見た目からひしひしと伝わってきます。

 日本向けグランエースには、アルファードではできない4列・8人乗り仕様を設定したり、3列・6人乗り仕様で後ろ2列に大型の専用エクゼクティブパワーシートを贅沢に配置するなど、広大な空間を乗員のために活用しています。

●日本一売れてる小型車は四角かった!「ルーミー」

 2022年4月度の新車販売ランキング(軽除く)で1位の販売台数を記録したのがトヨタのコンパクトハイトワゴン「ルーミー」です。

 搭載されるのは、軽自動車以外では最小クラスの1リッター直列3気筒ノンターボ(最高出力69ps)及びターボエンジン(最高出力98ps)の2種類。

 ハイブリッドシステムなどの補助なしに、カタログ燃費18.4km/L(2WD・ノンターボ/WLTCモード燃費)と十分な低燃費性能をマークします。

 ルーミーのボディサイズは、全長3700mm×全幅1670mm×全高1735mm。

 縦と横の比率はグランエースほどの「正方形」とはいきませんが、正面や真後ろから見るとやはり「真四角」ぶりが際立ちます。

 全長4mにも満たない小さいサイズながら、ちょっとしたミニバン並みに余裕たっぷりな室内空間は、効率を最大限に極めた真四角な形状ゆえの成果なのです。大柄な大人4人でも余裕で移動可能な広さがあります。

 車両本体価格(消費税込)は155万6500円から209万円。小さくて安いのに低燃費で、そのうえ広いのですから、コストパフォーマンスは抜群です。販売好調なことがうなずけます。

●高級車といえば四角です!「センチュリー」

 トヨタ自動車を創業した豊田佐吉氏の生誕から100年、そして明治100年を記念し1967(昭和42)年にデビューした「センチュリー」は、運転はお抱えの運転手に任せ、後席にゆったりと乗ることを主な目的とした「ショーファーカー」と呼ばれるジャンルの最高級セダンです。

 3代目となる現行型は、2018年に21年ぶりのモデルチェンジで登場。5リッターのV型8気筒エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせ、静粛性と環境性能を大幅にアップしています。車両価格は2008万円です。

 先に挙げたグランエースとルーミーの2台は、大勢の人や大量の荷物を積む効率の高さを最大限に狙った真四角さでした。

 センチュリーのボディサイズは、全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mm。地上占有面積はグランエースと同等ですが、こちらは後席の1名もしくは2名のためという、真逆の世界観を持つクルマです。

 しかしセンチュリーも同様に「四角さ」が強調されています。なぜでしょう。

 トヨタによると、3代目センチュリーはショーファーカーとしての機能、つまり「後席を上座(かみざ)に」という思想を外観に表現したと説明します。

 そのため後席後ろの柱はあまり傾斜をさせず立てられ、後席の存在感を強調する造形とされました。

 加えて、量販車ではありえないほどに塗装面を平滑な仕上げとしたり、グリルに繊細な加工を施すなどして、シンプルなボディラインながら、重厚感と控えめな華やかさを与えることに成功しています。

 四角いフォルムは、50年以上続く伝統的な高級車に相応しい落ち着いた雰囲気づくりのために必要不可欠な要素だった、という訳です。

※ ※ ※

 クルマのデザインが複雑化しているひとつの理由として、ヘッドライトのLED化が挙げられます。

 クルマのフロント部は「顔」、そしてヘッドライトは「目」と擬人化されたりしますが、大昔は大きな丸、その後も四角の形状くらいしかなかった目の部分も年々小型化が図られ、デザイン自由度が大幅に増しています。

 特に近年は小さなLEDを組み合わせ大光量が得られるようになり、その特徴を生かした造形も積極的に行われるようになりました。

 かつて1970年代から80年代にかけ、四角いライトと組み合わせる造形が四角いフォルムを生んだように、自由度が増した顔の造形に合わせ車体のフォルムも流麗になっているのが、いまのトレンドといえるでしょう。

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