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なぜお台場に昭和59年からの「放置車輌」がある? 異彩を放つ謎のホンダ「ライフピックアップ」の正体とは

くるまのニュース 2022年5月21日 7時30分

東京・お台場で、昭和59年に車検が切れているホンダ「ライフピックアップ」が発見されました。一体、どういうことなのでしょうか。

■とっくの昔に車検切れ?異彩を放つ「ライフピックアップ」とは

 昭和59年(1984年)に車検が切れている様子ホンダ「ライフピックアップ」がお台場で発見されました。
 
 このクルマの正体とはどのようなものなのでしょうか。

 ライフピックアップは、ホンダが1973年から1974年にかけて販売していた軽規格のピックアップトラックです。

 このライフピックアップを見てみると、ボディはサビつき、ボンネットからはピストンと見られるパーツが飛び出しています。

 タイヤは4輪とも外され、ボディを支えているのは縁石や廃タイヤです。

 さらに、ヘッドライトは片方のみしか装備されておらず、ナンバープレートもナット1個のみで辛うじて設置されている状態となっています。

 極めつけには、フロントウィンドウに昭和63年2月15日付けの「警告書」が貼られ、「放置したと見られるこの自動車等の所有者等は、市の管理上支障となっておりますので、至急この自動車等を撤去するなど適正な処理をしてください」と記されています。

 よく見ると、車両には昭和59年4月までの車検ステッカーが貼り付けてあり、とうの昔に車検切れとなっていたことが伺えます。

 このように、ピカピカなカスタムカーが並ぶなかで異彩を放つライフピックアップですが、実はこのライフピックアップは、2022年5月15日に東京・お台場で開催された「34th MOONEYES Street Car Nationals」にて展示されたものです。
 
 この展示は演出となっており、実際にはしっかりと車検を取得している車両となっています。

 展示したのは、個人オーナーの「真心商会(鹿)(@komekomeplug)」さんで、基本的にカスタムなどはすべて自身でおこなっているといいます。

 今回、放置車輌風の演出をした理由について、真心商会(鹿)さんは、「ボロさが売りなので、どうせなら昭和末期にはどこでも見ることができた放置車輌を再現してみようと思いました」と話します。

 放置車輌に近づけるカスタムは大変かと思う人も多いかもしれませんが真心商会(鹿)さんによると、「普段からこの仕様で乗ってるので、今回は荷台に粗大ゴミ積んで来て会場でタイヤとか外しただけです」とのことで、イベントのために大幅なカスタムをおこなったわけではないようです。

 その言葉通り、荷台には、年季の入ったブラウン管テレビや石油ストーブ、扇風機や一升瓶、アダルト雑誌などが積み込まれ、古き良き昭和の雰囲気が演出されています。

 積み込まれた荷物には、こだわりが込められているそうで、真心商会(鹿)さんは以下のように話します。

「設定は昭和63年の港北ニュータウンの清掃局の裏手に不法投棄された14年落ちの軽トラなのです。

 荷台に棄てられた家電製品やゴミやアダルト雑誌がその時代に合っているかどうかについては少しだけこだわりました」
 
 また、このようにこだわって製作されたライフピックアップの会場での反響について「意外と好評だったかも。放置車輌を知ってる世代には懐かしかったんだと思います」といいます。

 来場客のなかには、真心商会(鹿)さんのライフピックアップの写真を投稿している人も非常に多く、「アートですね」「クオリティ高すぎ」といった絶賛の声とともに、車内に積み込まれた荷物を見て、当時の様子を懐かしむ人も少なくありませんでした。

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