東京都内では、車両放置違反のクルマのレッカー移動が減少しているようです。その理由はいくつかあるようなのですが、一体なぜなのでしょうか。
■放置駐車違反が減ってレッカー移動も減少!?
駐車場やコインパーキングなどではなく、路上に駐車しているクルマを見かけることがありますが、駐車場所によっては「駐車禁止」となることがあります。
駐車禁止はふたつあり、運転手が乗車していてもクルマを停めてはいけない場所で停車させると「駐停車違反」、運転手がクルマから離れた状態で路上駐車すると「放置駐車違反」で取り締まられることになります。
そんな駐車禁止に関して、以前は東京都内でもよく見かけた「違反車両のレッカー移動」が、最近は減っているようです。なぜなのでしょうか。
レッカー移動減少の理由はいくつかあるといわれていますが、なかでも、2007年に可決された道路交通法改正案によって指定車両保管機関制度が廃止され、一部の都道府県ではレッカー移動が民間に業務委託され、違反車両を保管する担当警察署の数が大幅に減ったことが大きいとされています。
また、最近のクルマは、衝撃が加わると大きな警報音が鳴るなどさまざまな防犯装置が備わっており、さらにレッカー移動時に車両の破損などが発生した場合、移動させた業者や警察に対して損害賠償が請求されかねないため、これらのような事態を暗に回避するためともいわれています。
加えて、2006年に導入された駐車監視員制度の導入により、放置駐車違反が減少していることが挙げられます。
駐車監視員は、モスグリーンの制服を着て2人組で行動している、いわゆる「緑のおじさん」のことです。
この駐車監視員の取り締まりによって放置駐車違反自体が減り、その結果レッカー移動も減少したというわけです。
■駐車監視員は警察官じゃない!? 一体何者なの?
駐車監視員は、あくまでその地域の警察署長から業務委託された民間法人に所属している人であり、警察官ではありません。
しかし、放置車両の確認に従事している間は「みなし公務員」として扱われ、反抗する運転手から暴行や脅迫を受けた場合は「公務執行妨害罪」が成立します。
とくに都市部の路上に設置された「時間制駐車区間」(パーキングメーターやパーキングチケットなどで利用できる短時間の路上駐車スペース)では、時間超過した車両はないか駐車監視員が巡回。少しでも時間をオーバーしていると、放置駐車として「放置車両確認標章」を貼り付けていくわけです。
しかし、ここで我々ドライバーが対抗できる手段があります。
駐車監視員は放置駐車しか取り締まる権限がありません。つまり、車中に乗員がいる場合や、運転手がそばにいてすぐにクルマを動かせる状態は取り締まれないのです(それを取り締まれるのは駐停車違反の権限を持つ警察だけ)。
諸事情により路上に駐車する場合は、最低1名はクルマのそば(または車中)に残れば放置駐車違反には該当しないことになります。
逆に、クルマから離れて駐車した場合は、短時間でも放置車両となることから、やはりきちんと駐車場に駐車するべきです。
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ちなみに、駐車監視員が放置車両に貼り付けるのは「放置車両確認標章」で、違反を確認した時刻や場所が記載されているのみ。つまり反則金などの納付書ではありません。
真面目な人はすぐに最寄りの警察署に出頭し、いわゆる青切符を切られて反則金を納付すると違反点数が加算されます。
しかし、放置車両確認標章が貼られても出頭しないでいると、後日「放置車両違反金納付書」が郵送されます(反則金は同額ですが、郵送代などが上乗せされています)。
これを期日内に支払うと違反点数は加点されません。すぐに警察に出頭せずに、違反金納付書を待つほうが得策ともいえます。