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「燃費に良いハズ…」 いまや定番の「アイドリングストップ機能」 なぜあえて「オフ」に出来るのか

くるまのニュース 2022年6月22日 7時10分

近年のクルマには、さまざまな燃費改善装置が組み込まれています。そのなかでもいまや定番化しているのが「アイドリングストップ機能」です。不必要な燃料消費や排気ガス、騒音を防ぐための機能で、最近のクルマには基本装備されていることがほとんどです。そんな便利な機能であるにも関わらず、なぜスイッチをオフにできるのでしょうか。

■アイドリングストップってどんな機能?

 クルマの停車時のアイドリングは燃料を消費するだけで、当然、燃費には悪影響を及ぼします。

 そこで、停車中にエンジンを停止することによって余計な燃料消費を抑え、燃費を向上させる役割を果たすのが、クルマの「アイドリングストップ」機能です。
 
 そんな便利な機能であるにも関わらず、なぜスイッチでオフにできるのでしょうか。

 アイドリングストップとは、主に信号待ちなどの停車時にアイドリングを自動で停止する機構でブレーキペダルを踏んで停止するとエンジンが止まり、一定時間が経過する、もしくはブレーキペダルを離すと再始動する仕組みとなっています。

 なかには、減速中に約8km/hほどの微速度になった時点でアイドリングストップが作動するモデルもあります。

 そんなアイドリングストップですが、モデルの多くはスイッチによって、オン/オフが切り替えられるようになっています。なぜ、アイドリングストップをオフにする機能がついているのでしょうか。

 国産メーカーの広報担当者は、アイドリングストップのオフスイッチについて「お客さまのニーズに応えるため、人によって自由に選択できるようにしています」と話します。

 というのも、メリットばかりのように思えるアイドリングストップですが、場合によってはデメリットになり得ることもあります。

 アイドリングストップは、前述したように停車中に自動的に作動するため、例えば、街中の信号待ちや交差点での右折待ち、高速道路の渋滞などで頻繁に作動してしまいます。

このアイドリングストップが作動する度に、エンジンを再始動するためにセルモーターが稼働し、バッテリーの電力が消費されます。

 そのため、前出の担当者によると「いちいちエンジンが再始動するのが煩わしい」「バッテリーの寿命を延ばしたい」などの考えから、アイドリングストップをオフにしているのだといいます。

 また、ホンダの広報担当者は、アイドリングストップ機能のオフスイッチについて、以下のように話します。

「アイドリングストップ中は冷暖房機能が停止し、送風機能のみが作動します。

 そのため冷暖房機能を停止させたくないときのために、アイドリングストップシステムをオフにできるボタンを準備し、選択できるようにしています。

 とくに冬季・夏季においては、信号待ちなどでの送風温度の変化を避けたい人に需要があると考えます」

 家庭用のエアコンの場合、コンセントから電力を供給して稼働します。

 しかし、ガソリン車のカーエアコンの場合はクルマのバッテリーだけでは電力を補えないため、ほとんどの場合はエンジンの動力を使用して稼働しています。

 そのため、エンジンが止まることによってエアコンのコンプレッサーが機能しなくなり、夏場などに冷風を送風することができなくなります。

 しかし、アイドリングストップをオフにすることで、常時エアコンを正常に使用して冷風を送風することができます。

 渋滞中などの、あまりにも頻繁にエンジンのオン/オフがある場合は、エンジンを始動する際の燃料が節約できるため、エンジンをかけたままのほうがガソリンの消費を抑えられるかもしれません。

 また、アイドリングストップ機能をオフにすることで、エンジン始動のためのセルモーターが回る回数も減るため、セルモーターの寿命も延びるというメリットも考えられます。

 燃費を向上させてガソリン代の節約にもなり、排気ガスを抑えることで地球環境への負担も減らすことができるアイドリングストップですが、スイッチの場所はクルマによって、ステアリングの奥やセンターコンソールに配置されるなど異なるようです。

 そんなアイドリングストップ機能付きのクルマは、大型12Vバッテリーの採用や、バッテリーをふたつ積むことでセルモーターを使う頻度が増えることに対応しています。

 しかし、それでもアイドリングストップが頻繁に作動することは、バッテリーの寿命の短縮化につながってしまいます。

 そういった点から、SNSでは「ガソリンの節約よりも、バッテリー代のほうが高くつく」「アイドリングストップ用のバッテリー高いよな」といったユーザーの意見も見受けられます。

※ ※ ※

 自動車メーカーは常に新しい技術を開発し、より良いクルマ作りに努めていますが、アイドリングストップのように状況や好みによっては不必要な機能に関しては、ユーザーにある程度の選択肢を残しているのです。

 その選択肢として用意されたアイドリングストップのオフ機能ですが、「毎回スイッチを押すのがわずらわしい」と思っている人のために、サードパーティメーカーからはモデル専用の「アイドリングストップキャンセラー」が販売されています。

 これを取り付けることによって、エンジンをかけるたびに毎回スイッチを押す必要がなくなるため、気になる人は取り付けてみてもいいかもしれません。

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