クルマに関する犯罪は減少しているものの、「車上狙い」は相変わらず発生しています。車上狙いに遭わないため、またはできる限り被害を減らすため、どんな対策が必要なのでしょうか。
■人気車に被害が集中する「車上狙い」の実態
クルマに関連する2大犯罪である「車両盗難」と「車上狙い」は、ここ10年減少傾向が続いています。
これは、セキュリティの強化や防犯意識の高まりなどが功を奏していると考えられますが、それでも依然として被害に遭うクルマも存在します。
自宅の駐車場に停めておいたクルマの窓ガラスやカギが壊されて車内の貴重品が盗まれたり、外装パーツやホイール・タイヤなどが盗まれるといった被害が報告されています。
警察庁が公表した犯罪統計によると、2021年に報告された車上狙いは2万3282件と、前年度(2020年)と比較して4696件減ってはいます。
しかしそれでも単純計算で1日に約63.8件も発生しており、被害に遭いやすい犯罪であることは変わりありません。
また一般社団法人日本損害保険協会が損保会社21社を対象におこなった「自動車盗難事故実態調査」の結果によると、車上狙いによる保険金の支払いは931件と件数は減少しましたが、それとは裏腹に1件あたりの平均損害賠償金額は49万5000円と年々増額傾向にあるようです。
ちなみに被害報告が多かった地域トップ3は、大阪府、愛知県、千葉県です。
累計ではありますが、被害に遭ったクルマの年式は2011年以前が24.8%、最新の2021年式でも7.4%となっており、最新のセキュリティが施されたクルマでも油断はできません。
また、実際に車上狙いの被害に遭った車種は、トヨタ「プリウス」「ハイエース」「アルファード」と、新車販売でも人気の車種が上位にランクイン。
犯罪者にとっては人気車ほど狙い目になっており、人気車種はパーツ単体も高額で取引されていることも関係しているようです。
さらに、プリウスやハイエースといった人気車で、セキュリティ装備が少ないベースグレードが狙われやすいとの報告もあり、注意が必要です。
車上狙いだけでなく、車両窃盗にも注意を払う自動車販売店では、どのような対策を講じているのでしょうか。都内で輸入車を中心とする中古車販売店オーナーのN氏に話を聞いてみました。
「弊社は少しマニアックな輸入中古車が多いので被害はほとんどないのですが、それでも防犯対策は非常に重要視しており、警備会社との契約はもちろん、防犯カメラや振動感知式センサーなども活用しています。
弊社のようなショップでは車両の盗難が一番の被害になりますが、お客さまには駐車場での車上狙いにも十分注意していただくようにアドバイスしております」
■手間をかけずに防犯対策
車上狙いの被害に遭った人のなかで意外に多い原因が、単純な施錠のし忘れといわれています。自宅に帰ってきた安心感からロックするのを忘れ、車上狙いに遭うケースもあるようです。
また、車上狙いで真っ先に狙われるのは荷物や金目のもの。車内にバッグや小物、ちょっとした小銭を置きっ放しにしないことも重要です。
グローブボックス内に設置されることが多いETCなども、カードを入れたままにしている人も多いでしょう。安全のためにも、降車時は必ず抜き取っておくことをお勧めします。
つまり、車内に盗むものがない状態にしておくことが大切というわけです。
後付けの振動感知式盗難防止装置なども効果はありそうですが、誤作動でアラームが鳴ってしまうこともあり、思ったより人気はないと前出の中古車店店長のN氏はいいます。
「現在ではイモビライザーを純正で搭載する車種も増えていますので、盗難防止装置付きかどうかはクルマを購入する前に確認しておくと良いでしょう」
次に、車上狙いの被害に遭ったクルマの修理経験がある、埼玉県の整備工場に勤務するF整備士に聞いてみました。
車上狙いではどのような被害に遭うケースが多いのでしょうか。
「最近では一時ニュースにもなった『リレーアタック』を活用した盗難も多いようですが、それでも古典的なのはサイドウインドウを割ってドアを解錠し物色するケースです。
オープンカーではソフトトップを切られるという被害も相変わらず発生しています。
また2000年代あたりまでは後付けしたフォグランプやルーフラックなど外装品や、カーオーディオなどの盗難も多かったのですが、最近ではバッテリーを盗まれる被害も報告されています」
最近ブームのネオクラシックなどの旧車は、最新のクルマと比較して盗難防止装置が少なく狙われやすい車種。車内に盗まれそうなものを置きっ放しにしないことが大切です。
またF整備士いわく、駐車場での駐車する向きもできるだけ人目につくほうにフロントを向けると、車上狙いを抑制する効果が多少は期待できるそうです。
ハーレーダビッドソンなど高額なバイク窃盗を予防する場合は、逆に人目につかないほうが良いのだそう。
「このクルマ(バイク)は狙いにくい」と犯罪者に思わせることが重要のようです。
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最近はさまざまな犯罪も増えており、自宅の敷地内や駐車場内でも安全とはいい切れません。
まずは車内に金目のものは残さず、施錠を徹底することが大切です。
防犯グッズとして防犯カメラを購入する人が増えており、盗難や車上狙い、悪質なイタズラに対しても録画映像がのちの証拠として役立ちます。
万能とはいえませんが一定の抑止力にはなると思いますので、駐車場に目立つように設置するのも効果的かもしれません。