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軽キャンパーみたいな「トイレカー」なぜ開発? 移動トイレのニーズに消防車メーカー「モリタ」が着目した訳

くるまのニュース 2022年7月2日 7時30分

消防車を手掛ける「モリタ」は、移動可能な「トイレカー」を開発・販売しています。消防車などの特殊車両メーカーがトイレカーを作ったのはなぜなのでしょうか。

■軽キャンピングカーかと思いきや「トイレカー」だった!?

 はしご車など、消防自動車の大手メーカーとして知られているモリタが「トイレカー」を販売しています。

 トイレカーとは、その名の通り、移動用トイレを搭載したクルマです。

移 動用トイレといえば、屋外イベントや建設現場でよく見かける仮設トイレがありますが、仮設トイレでは小便器と大便器が別々だったり、別に手洗い場を設置する必要があります。

 それがモリタのトイレカーは、普通のトイレのようにひとつの空間にすべてがパッケージングされているのが特徴です。

 どうして消防自動車の大手メーカーであるモリタが、トイレカーの開発や販売に乗り出したのでしょうか。

 モリタの担当者は次のようにいいます。

「これまでは災害現場の地方自治体は、国土交通省や自衛隊などの救済や援助を待っていました。

 しかし、近年は豪雨などで過去に経験のないような災害が全国各地で多発しているため、災害に対する早期対応での減災や、災害に備えるための防災への意識が全国各地の地方自治体で高まっており、我々としてはそうしたニーズを捉えた事業を進めています」

 今回、トイレカーが展示されていたのは、東京ビッグサイトで開催された「自治体・公共Week」です(2022年6月29日から7月1日)。

 スズキ「キャリイ」をベースとし、ボディサイズは全長3640mm×全幅1670mm×全高2750mm。駆動は2WDでエンジン出力が35kWの8ナンバー登録車で、普通免許で運転できます。

 これに100リットルの給水タンクと280リットルの便槽タンクを装着しており、概ね200回の使用が可能だといいます。

 標準装備は、陶器製小便器、洋式の陶器製大便器、蛇口のある手洗い場、換気扇、室内灯に加えて、車外には格納式昇降ステップや手すりがあり、価格は600万円です。

■まるでホテルのトイレ!? トイレカー内部に潜入!

 実際にトイレカーのトイレに入ってみましたが、高級なキャンピングカーに備えられるトイレに比べると”本物感”があります。

 個室なので、まるで自宅やホテルのトイレにいるような感覚でとても落ち着いた気分になりました。

落ち着ける空間が広がる「トイレカー」

 小型トイレカーのほかにも、トヨタ「タウンエース」をベースとした中型トイレカーでは様式の大便器が3式搭載され、またトヨタ「ダイナ」をベースとした大型トイレカーでは様式大便器が5式搭載となります。

 もう1点、モリタのトイレカーの特徴が、IoTシステムです。IoTとは、Internet of Thingsの略称で、日本語では「モノのインターネット化」と表現されることが多い、さまざまなモノのデータをクラウドで集めて解析する考え方です。

 トイレカー用IoTシステムでは、清水/汚水の分量、非常ボタン作動、GPSによる位置情報、バッテリー残量、空室状況、使用頻度による稼働状況、凍結対策としての外気温などのデータをクラウドで解析し、その結果を民間事業者や地方自治体がデータを参照できたり、メールで通知を受けたりできます。

 また、避難所などでの掲示板(サイネージ)でも、そうした情報を表示できるシステムになっています。

※ ※ ※

 モリタの展示ブースには、小型トイレカーのほかにも、洪水などに対応した油圧駆動式の小型排水ポンプユニットや電動式の排水ポンプ車、完全防水で持ち運びでき、3100Whの大容量リチウムイオン二次電池など、防災・減災対応の新商品が並べられていました。

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