2022年夏発売予定の限定車「GRMNヤリス」が持つ特別な性能を、GRヤリスオーナーでも体感できる「GRMNパーツ」が登場する見込みです。
■「GRMNヤリス」限定500台に対し1万人以上の予約が殺到!?
「東京オートサロン2022」で初公開され、2022年夏に発売予定の数量限定モデル「GRMNヤリス」は、限定500台に対して1万2000人から1万3000人の商談申し込みがあったそうです。
当選者には連絡があり、契約も順調に進んでいると聞きます。もちろん、キャンセルもあるため繰り上げ当選の連絡が来ている人もいるようですが、筆者(山本シンヤ)のところには、未だに連絡は来ていません。
はい、筆者もGRMNヤリスの商談申し込みをしました。
そんな話を同業者にすると「シンヤさんは絶対当たるでしょ。ひと足先に試乗もしているんだし」といわれ、少しだけ淡い期待をしましたが、GRは甘くありません。
逆をいえば、厳正な抽選がおこなわれたということです。当選しなかった人は、指を咥えて見ているだけなのか。
いや、そんなことはありません。筆者を含むGRMNヤリスの商談申し込みをした人には豊田章男社長からお手紙が送られてきており、そこにはこのように書かれています(括弧内は筆者補足)。
「近いうちにGRMNヤリスが相棒になる方は、モータースポーツでそのまま使える車両なので、是非サーキットでそのポテンシャルを感じてください。
また、残念ながらそうならなかった方も、GRMNヤリスの『走り』と『ドキドキ』を(カタログモデルの)GRヤリスで感じることのできるGRパーツ(GRMNパーツ)を販売するので、是非お楽しみください」
GRMNパーツ、どのような商品がラインアップされているのでしょうか。
開発テーマはズバリ「GRMNの開放」です。
といっても、単にGRMNヤリスのパーツを水平展開するのではなく、タイヤの違い/ボディ補強の違い/車両重量の違いなどを考慮し、GRヤリスに最適となるようプロドライバーと共にチューニングされています。
エクステリアは「カーボンボンネット」と「カーボンウイング」が用意されました。
カーボンボンネットは、軽量化はもちろん、ダクトの追加による冷却効果アップも期待できます。GRMNヤリスはカーボン柄+クリア塗装のみとなっていますが、GRヤリス用は外面ボディ同色仕様も検討中といいます。
カーボンウイングは、個人的には待望のアイテムのひとつです。
実はGRMNヤリス サーキットパッケージに装着されるフロント/サイド/リアのアンダースポイラーは、GRヤリス用GRパーツとして市販されているもので、筆者を含めた多くのGRヤリスオーナーが装着しているものの、空力バランスが若干、前寄りになるのが気になっていました。そのような空力バランスが適正化できるのは朗報といえます。
■期待値が非常に高いからこそ望みも高く
インテリアは、ウルトラスエード調のステアリング/サイドブレーキレバー、そしてシフトノブが設定されています。これはGRMNヤリスと似たデザインですが、実はステッチパターンが異なる専用品になります。
さらにレカロ製のフルバケットシートも設定。これはGRMNヤリスに装着されているシートと同形状ですが、残念なのはステッチが「赤」のみであることです。
実はGRヤリスは、先行販売の特別仕様車“First Edition(ファーストエディション)”のエモーショナル内装選択車以外だとシルバーステッチなので、インテリアコーディネイトがチグハグに。
さらにいうと、オプションでシートヒーターを選択している人は機能が使えなくなるのでご注意ください。
メカニズムの部分では、ビルシュタイン製減衰力調整式ダンパーを採用した「サスペンションキット」がラインアップされました。
GRヤリスのボディ(GRMNヤリスよりスポット溶接の数は少ない)や使用するタイヤ(ミシュラン製「パイロットスポーツ4S」)の違いを考慮した、専用セットアップになっています。
ちなみに筆者はGRMNヤリスで一般公道を走っていませんが、開発ドライバーの石浦宏明選手/大嶋和也選手に聞くと「想像しているよりは乗り心地いいですよ」と教えてくれました。
となると、このサスはどのような乗り味なのか、というのは筆者も非常に気になるところです。なおGRMNヤリスのクロスミッション&ローファイナルギアは、すでに競技用GRパーツとして設定済みです。
現時点で公表されているアイテムはこんな感じですが、2022年夏ごろにラインアップが発表される予定です。
ということは、ほかにもまだなにか用意されるということでしょうか。
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最後にGRヤリスのいちユーザーとしての要望を少しだけ。
発売から2年が経過しサードパーティからさまざまなパーツが発売されています。だからこそ、GRMNパーツは「メーカーでなければできない!!」といったアイテムをもっと期待したいところです。
例えば、パワートレイン制御のアップデートなどによる出力/トルクアップや、GRMNのボディ剛性に近づくボディ補強アイテムの設定。レクサスRC FのようにGPSを用いてサーキットのみリミッターカットが可能なデバイスや、ディスプレイオーディオを活かし、各種車両情報がチェックできるようなアプリ、などなど。
さらにいうと、単にGRMNヤリスに近づけるだけでなく、GRヤリスの良いところをさらに活かすアイテムも期待したいです。
ちなみに筆者はGRヤリスを、取材で各地のサーキットなどへ移動する際の「高速エクスプレス」としても活用しているので、走りの性能アップのために、ほかの性能(とくに快適性能)が犠牲になるのは困ります。
例えば、トランスミッションはクロスミッション&ローファイナルギアを採用するとしても、6速はノーマルモデルと同じギア比にして高速巡行の快適性を両立するのはどうでしょう。
またRZ“High performance(ハイパフォーマンス)”に標準装備される高音質なJBLオーディオをより活かすため、重量増を最小限に留める遮音パーツ設定も期待したいところ。
このように、高性能と快適性を両立するアイテムだと嬉しいです。
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では、筆者はどうするのか。
GRMNパーツのフル装着で「GRMNヤリスレプリカ」にするのはちょっと悔しいので、GRMNパーツとサードパーティのパーツを吟味しながら、唯一無二の「山本エディション」に仕上げたいと考えています。
テーマは、GRヤリスのロードカーとしての快適性や利便性(JBLオーディオやトヨタセーフティセンスなど)を損なわずに、GRMNヤリスの走りの楽しさを上手く付加することです。こちらも機会があればレポートします。