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救急車「到着できない!」譲らない車が原因で緊急事態!? 「知らんぷり」SNSで指摘も?一般車両の取るべき対応とは

くるまのニュース 2022年7月11日 7時10分

最近では、救急車の走行時にある問題が発生しており、SNSでは度々話題となっています。どういった問題が発生しているのでしょうか。

■救急車が非常事態!? な問題とは

 街中では、「ピーポー」とサイレンを鳴らして走行する救急車を見かけることがあります。
 
 救急車は言うまでもなく、傷病者を病院など医療施設まで搬送するための緊急を要する車両です。
 
 そんななか、救急車の走行時にある問題が発生しているといいます。どういった問題が起きているのでしょうか。

 総務省消防庁が発表している「令和3年版 救急・救助の現状」資料によると、2020年の救急出動件数は593万5694人。

 前年2019年の約664万人と比べると減少しているものの、年間約600万人の人が救急車を必要としています。(※消防防災ヘリコプターを含む)

 消防庁の資料では、「救急自動車は約 5.3 秒に1回の割合で出動し、国民の 24 人に1人が搬送されたことになる」と説明しています。

 救急車などの緊急車両が走行する際は「優先通行権」をもっており、緊急の用務のために出動しているときは、道路交通法の一部が免除され、一般の車両よりも比較的スムーズに走行できるようになっています。

 その一方で一般車両の場合は、緊急車両が通る際の避譲について、交差点またはその付近、もしくはこうした以外の場所であっても救急車両が接近してきた際は、道路の左側に寄って進路を譲る必要があります。

 これは道路交通法第40条にて規定されており、マナーではなく義務として守らなくていけません。

 そんななか、最近は緊急車両の病院までの到着時間が伸びているといいます。

 前述資料内の「救急自動車による現場到着所要時間及び病院収容所要時間」では、2020年中の現場到着所要時間(入電から現場に到着するまでに要した時間)は全国平均で8.9分。

 病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は、全国平均で約40.6 分となっています。

 過去と比べても2015年では現場到着所要時間は8.6分/病院収容所要時間は39.4分、前年2019年は8.7分/39.5分となっており、推移を見る限り伸びていることが分かります。

 特に救急車の場合は、命の危険が伴うため、現場までの到着する時間などが伸びることは大きな問題といえます。

 そんななか、こうした緊急車両の到着が時間が追伸傾向にある要因のひとつには「道を譲ってくれない一般車両が多い」ことがあげられており、SNSでは度々話題にあがっています。

 ユーザーからは、「人もクルマも自転車も緊急自動車には道を譲りましょう!」「平然と救急車を追い抜いていったり、気づいていないふりをするクルマがいる」「譲らない光景よく目にする」といった声が。

 最近では、「助けたいんです」と救急車を運転するユーザーの悲痛な叫びが大きな話題となりました。

 では、こうした問題は実際に発生しているのでしょうか。これについて、東京消防庁に話を聞きました。

■東京消防庁の回答は?

 担当者に「緊急車両走行時に一般車両が譲ってくれないなど感じたことはありますか?」と質問したところ、「平素から一般車両のドライバーの方には緊急車両に道を譲って頂いており、当庁の消防活動へのご理解ご協力に感謝しております」と回答。

 その一方で、緊急車両を走行する際の注意していることについては以下のように話しています。

「東京都内は繁華街や幹線道路を有する地域など、道路状況が複雑で交通量も非常に多いため、交差点へ進入する際などは特に注意して運行しています。

 当庁では、安全、確実に災害現場や傷病者宅へ到着することを目的に、赤信号交差点などへ進入する際、交差点内の安全確認を確実に実施するため、一時停止をした後に交差点を通過するよう、組織として取り組んでいます。

 そのため、交差点で一時停止している間、一般車両や歩行者の方にお待ち頂く場合があるかと思いますが、引き続きご理解ご協力をお願いいたします」

東京消防庁はどう回答? (画像はイメージ)

 東京都の場合、とくに都市部は交通量も多いことから、一般車両も十分な注意が必要といえます。

 では改めて、一般車両は緊急車両が近づいてきた際どのように対応するのが良いのでしょうか。

 これについて前出の担当者は以下のように話します。

「道路交通法に基づき、交差点を避け、道路の左側に寄るという避譲方法を実施していただくようご協力お願いします。

 また交通状況に応じて当庁の緊急車両からサイレンとともに拡声器により一般車両へ避譲方法を案内しておりますので、ご協力をお願いします」

※ ※ ※

 最近では車内のメーターにて緊急車両が接近してきた際に知らせるシステムが備わっている場合があります。

 例えば通信技術を使った運転支援システムの「ITS コネクト」。

 このシステムの「緊急車両存在通知」という機能には、サイレンを鳴らしている緊急車両が存在する場合にブザー音がなり、自車両に対するおおよその方向、距離、緊急車両の進行方向を表示してくれます。

 これにより救急車が見えにくい、騒音でサイレンが聞こえにくいなどの状況でも存在を知ることが可能となります。

 このようなクルマの機能が進化していることで、より緊急車両について一般車両も対応しやすくなったといえます。

 最近は暑い日が続き、東京消防庁の公式SNSでも「救急車の出動率が98%を超えています」と声があげられ、非常編成した救急車30台を含む305台で運用しているとの投稿も見られます。

 こうした事情も踏まえ、緊急車両が近づいた際の対応を心がけるよう意識することは大切です。

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