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「あ、オービス?」 見間違える「Nシステム」は何する機械? 見分け方はある? 役割の違いとは

くるまのニュース 2022年7月16日 9時10分

道路には「オービス」や「Nシステム」といった装置が設置されています。見た目が似ていることもあり、区別がつきにくいとされているふたつの装置ですが、その役割にはどのような違いがあるのでしょうか。

■「オービス」と「Nシステム」よく聞くけど違いは?

 高速道路だけでなく、一般道路にも設置が見られる「オービス」や「Nシステム」。
 
 見た目が似ていることもあり、区別がつきにくいとされているふたつの装置ですが、その役割にはどのような違いがあるのでしょうか。

 クルマを運転する人であれば、オービスやNシステムという名前を聞いたことがあるという人も少なくないでしょう。

 ふたつの装置は見た目がやや似ており、ぱっと通り過ぎただけでは見分けがつかないということもあります。

 SNSでは、これらの装置について「Nシステムをオービスと勘違いしてる人多すぎ」「Nシステムとオービスの役割わかってない人が多いよね」といった声が挙げられており、見た目はもちろん、役割についても区別できていない人が多い様子がうかがえます。
 
 では、オービスとNシステムにはどのような違いがあるのでしょうか。

 そもそもオービスとNシステムは、どちらも警察が設置しているものになっており、首都圏の警察署交通安全課の担当者によると「おもに高速道路や幹線道路など、交通量が多いところに設置している」とのことで、設置場所に大きな違いはないようです。

 オービスは、正式名称を「速度違反自動取締装置」といいます。

 その名の通り、速度違反の取り締まりを目的とした装置で、速度制限に対して、一定の速度超過をおこなったクルマを自動的に撮影し、記録を残す仕組みになっています。

 従来、速度違反の取り締まりは、道路の路肩などで警察官が速度を測定し、その場で違反車両を止めて取り締まる方式でおこなわれていましたが、道路の幅を狭めてしまうことや人員を要すること、時間帯によっては取り締まりが難しいことなどが問題となっていました。

 オービスでは、スペースや人員を要しないうえに、時間帯に関係なく違反車両を記録できるため、これまでの速度違反の取り締まりの弱点を克服した画期的な装置といえます。

 また、オービスの役割は実際の取り締まりだけにとどまらず、「オービスがあるから速度を落とさなくては!」と、ユーザーに速度制限の厳守を意識させるという役割も担っています。

 一方のNシステムは、正式名称を「自動車ナンバー自動読取装置」といい、常時、走行している車両のナンバーを記録している装置です。

 前出の担当者は、Nシステムの役割について以下のように説明します。

「Nシステムでは、通過するクルマすべてを対象として、ナンバープレートを読み取って記録しています。

 記録された情報は、凶悪事件に関わっているクルマを捜索したり、犯罪・犯人探しの捜査で使用されています」

 このように、役割そのものに大きな違いがあるオービスとNシステムですが、前出の担当者は、ユーザーからの認識について以下のように話します。

「オービスを通過する際には、“速度制限の取り締まり”という概念から、急ブレーキで速度を落とそうとしてしまう人が多く見られます。

 それ自体も危険な行為なのですが、Nシステムとの見分けがついておらず、Nシステムの通過時にも急ブレーキを踏んでしまう人がいるようです。

 後続車との事故につながる恐れもある危険な行為であるため、速度を守ることはもちろん、オービス手前での不要な急ブレーキはおこなわないようにしてください」

■オービスはどんどん多様化! レーダー探知機では反応しないものも?

 取り締まりや速度厳守を呼びかける役割をもつオービスですが、現在では、いくつかのモデルが活用されています。

 かつて主流となっていたのが「レーダー式」のオービスです。道路の上からレーダーを照射する仕組みになっており、F型の支柱に取り付けられているのが一般的です。

 車線の数と同数が設置されているうえに、常にレーダーを照射しているため、市販の「レーダー探知機」で感知しやすく、ドライバーがオービスの存在を認識しやすいという特徴があります。

 フィルムに記録するタイプとなっているため、記録できる枚数には制限があり、管理の大変さから、最近では数が減ってきているのが実情です。

 そして、現在レーダー式に代わって多く見られるのが「Hシステム」タイプのオービスです。

 レーダー式と仕組みは似ていますが、レーダーの照射パターンが複雑で、レーダー探知機に感知されにくいという特性があります。

 さらに、デジタル撮影となっており、撮影したデータがそのまま警察に転送されるため、フィルム切れといった弱点も改善されています。

 また、「LHシステム」も現在設置数が多いオービスとして挙げられます。

 LHシステムは、「ループコイル式」とHシムテムが組み合わされたタイプのオービスとなっており、速度の計測は地中に埋められた「ループコイル」というセンサーによっておこなわれますが、カメラはHシステム同様にデジタル撮影となっています。

 ループコイルはレーダーを照射しないため、LHシステムはレーダー探知機には基本的に反応しないという特徴をもっています。

 カメラの見た目がNシステムと類似しているため、Nシステムと区別がつきにくいオービスともいえます。

こちらは速度超過したクルマを撮影する通称「オービス」

 さらに、最近増えているのが「移動式オービス」です。その名の通り、前述した4タイプとは異なり、移動式で設置できるオービスとなっています。

 小型のオービスにて計測をおこなっており、レーダーを照射しているものの、運転者から意識されにくいという特性があります。

 このほかにも、おもに生活道路で多く見られる「iM」と呼ばれる移動式の小型オービスや、前述した「ループコイル式」も活用が見られます。

 さまざまな種類が展開されているオービスですが、どのタイプであっても撮影された画像は、車種やナンバーはもちろん、運転者の顔が認識できるほど精度が高いものとなっています。

※ ※ ※

 オービスが設置されている道路の手前には、「自動速度取締機設置区間」などと表示された看板が設置されているのが一般的です。

 これによって、事前にオービスの存在を周知し、ユーザーが減速を意識できるようになっています。

 運転者は、周囲の交通の安全と円滑のために、制限速度を守った運転をおこなわなくてはいけません。

 万が一、速度超過をしてしまった場合には、後日自宅に出頭を要請する通知が届くため、通知の指示にしっかりと従って手続きをおこないましょう。

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