自然の絶景のなかをクルマで走りながら、気ままに野営をするライフスタイル「オーバランド」。その世界観を完全に再現したトヨタ「ランドクルーザー79」が存在します。どのような特徴を持ったモデルなのでしょうか。
■これがリアルなカタチ! トヨタ「ランドクルーザー79」 オーバランド仕様とは?
近年、徐々に人気が高まっている「オーバランド」。その世界観を完全に再現したトヨタ「ランドクルーザー79」(ピックアップトラック)が存在します。
どのような特徴を持ったモデルなのでしょうか。
2015年に日本での販売がなくなってからも、ランクリストたちからの圧倒的な人気を誇るランドクルーザー70系。
その希少価値にプレミア価格が付いて、300系より高い車両も存在するくらいです。
世界中のオフロードで活躍するランドクルーザー70系ですが、その舞台のひとつがオーストラリア。
アウトバックと呼ばれる荒野が国土の大半を占める同国では、優れた悪路走破性を持つオフロード4WDが必要だからです。
2018年に生産されたランドクルーザー(シリーズ全体)は37.9万台でしたが、そのうち4.6万台がオーストラリアを含むオセアニアに輸出されました。この台数は、アジア諸国に輸出された総数を超えるものです。
オーストラリアといえば、昨今日本でも注目されているクルマ旅のスタイル「オーバーランド」発祥の地でもあります。
本来、遊牧民の移動のスタイルであった移動のスタイルを、クルマに合わせた現代的なスタイルにアレンジしたオーバーランド。
目を奪われる自然の絶景のなかを走りながら、気ままに野営をするライフスタイルは、多忙な現代人の心を癒やしています。
そのオーバーランドで使うクルマを「オーバーランダー」と呼びますが、昨今ではそのカスタムメニューをSUVにアレンジしたドレスアップが流行中。
日本ではトヨタ「RAV4」などをオーバーランダーにするカスタムショップが増えており、アウトドアブームの追い風もあって、短期間でユーザーの間に広がっています。
そんななか、ランドクルーザーの中古車販売・カスタムをおこなっている「フレックス・ドリーム」が、これぞホンモノのオーバーランダーというランドクルーザー79を造って話題を呼んでいます。
この79は、オーバーランドの必須アイテムといえるルーフテントを筆頭に、ルーフラック、サイドオーニングを装着。
これだけなら、よくあるスタイルですが、この車両がホンモノのオーバーランダーといえる装備は、オフロードへの備えです。
カンガルーバーと呼ばれるスチール製のバンパー&グリルガードや、ボディサイドとタイヤを障害物へのヒットから守るサイドレール、ドアシルを守るためのサイドステップも追加されています。
■ "クルマを使って楽しむ"オーバランドカスタムとは?
この79に装着されているほとんどのパーツが、オーストラリアの「ARB」というブランドのものです。
ARBは1970年代に創業されたオフロード4WDパーツ専門メーカーで、1980年代に定着した“四駆カスタム”の基本的なカタチを創造したことで知られています。
同社の製品は非常に堅牢で、ドレスアップパーツというよりは実用品。苛酷なアウトバックドライブではクルマを壊すことなく、無事帰還できるように考案されています。
同じコンセプトを持つランドクルーザーには、まさにうってつけのブランドなわけです。
これに加えて、荷台にはフレックス・ドリームがワンオフで製作したカーゴボックスを装備。
ボックスのなかにはARBのドロワーシステム(収納)やエアコンプレッサー、サブ電源システムをインストール。
膨大な量の旅の道具をシステマティックに収納できるだけでなく、オフロード走行時にさまざまなアクシデントにも対応することができます。
もちろん、サスペンションによるリフトアップも施されており、悪路走破性の向上が図られています。
ちなみに、この79の改造費は数百万円。SUVがもう1台買えるほどのお金がかかっているといいます。
フレックス・ドリーム代表取締役・藤崎智和氏によれば、この車両を製作して以来、ランドクルーザーファンからの注目度がとても高いようです。
イベントで79を展示しないと「今日はあの79はないの?」といわれることもしばしば。ところで、なぜこのような79を作ったのでしょうか。
「クルマは単なる移動の手段だけでないと思っています。
移動している道中を楽しみ、目的地においても “クルマを使って” 楽しむ。
それはまさに、オーバーランドというアクティビティと同じです。
“安全で快適に、思いっきりクルマ旅を楽しむためのクルマ”というコンセプトを具現化した1台なのです」(藤崎智和氏)
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ぬるめのオーバーランダーとはひと味もふた味も違う、フレックス・ドリームの“オーバーランダー”ランドクルーザー79。
伝統的なオフロード4WDチューニングに現代的な価値観と技術を融合した新しいカスタムとして、愛車イジリの参考にできる部分が多そうです。