クルマのヘッドライトは非常に重要なパーツのひとつであり、ライトの色については「白色」とされています。かつては黄色も認められていましたが、なぜ黄色は禁止となったのでしょうか。
■クルマのヘッドライトは白のみ! どうして黄色は禁止になった?
夜道やトンネル内で周囲を照らすヘッドライトは、クルマにとって非常に重要なパーツのひとつであり、ライトの色については「白色」とされています。
かつては黄色も認められていましたが、なぜ黄色は禁止となったのでしょうか。
クルマのヘッドライトは、夜間やトンネル内などの暗い場所において周囲を照らしたり、自車の存在を周囲に知らせたりする役割を持っており、クルマにとって重要なパーツのひとつです。
そんなヘッドライトですが、道路運送車両の保安基準第32条第2項では「走行用前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認できるものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」とされています。
また、同様に第5項には「すれ違い用前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」と定められています。
ヘッドライトは、重要なパーツのひとつであるからこそ、このようにしっかりと基準が設けられているのです。
なお、「走行用前照灯」はハイビーム、「すれ違い用前照灯」はロービームを指しており、色については「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第42条において、両者ともに「白色であること」とされています。
一方で、街中を走行していると黄色のヘッドライトのクルマも見受けられます。「白色」と定められているはずですが、黄色のヘッドライトを装着していても法令上の問題はないのでしょうか。
実は、「道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」の第29条には、「2005年12月31日以前に製作された自動車については」という前置きのもと、ハイビーム・ロービームの色について「白色又は淡黄色」と記されています。
ここからわかるように、年式の古いクルマには、もとから黄色のヘッドライトの装着が認められています。実際に、街中で黄色のヘッドライトを装着しているクルマには現行型モデルは見られないはずです。
では、かつては装着できた黄色のヘッドライトが現在装着できなくなった背景には、どのような理由があるのでしょうか。
国土交通省自動車局の担当者は、黄色のヘッドライトが廃止になった理由について、以下のように説明します。
「世界中から輸入されることの多いクルマは、『国際基準で統一したほうが良い』ということから、2006年に国際連合で『クルマのヘッドライトは白色で統一する』というように決められました」
国際的に見ると、ヘッドライトにはもともと白色を採用している国が多く、輸出入が多いクルマは、そうした基準に合わせたほうが合理的だとの見方があったことがうかがえます。
さらに、ほかにも「ウィンカーとの区別がつきにくい」「運転者の視認性をさらに向上させるため」といった理由によって、ウィンカーはオレンジ、ヘッドライトは白、というような明確な色の棲みわけがされたようです。
■明るすぎる「白色」が問題に? 今後検討されるかも?
もともとクルマのヘッドライトには、「ハロゲンランプ」や「HID」の活用が多く見られましたが、2007年からは、新たに「LED」も活用されるようになりました。
LEDは消費電力が少ないうえに、発熱も少なく、ハロゲンランプやHIDに比べて、寿命も非常に長いため、新車で購入してからの交換頻度が少なく済ませられます。
特徴として、ライトの色が白色になっており、まさに今後のクルマのライトとしてベストな選択といえそうです。
その一方で、「明るすぎる」という声も挙げられているようです。前出の国土交通省担当者は、LEDについて「LEDは明るすぎることが問題になっているので、今後また国際基準で話し合うかもしれません」といいます。
SNSを見てみると「LEDヘッドライトまぶしすぎる…そんなに明るさいらない」「クルマのLED明るすぎてバイク乗りにはしんどいです…」「対向車がLEDだとまぶしすぎるよね」といった声も見られ、走行中に視界を妨害されていると感じている人もいるようです。
黄色のヘッドライトの弱点を克服したかのように見えるLEDですが、LEDにはLEDの弱点とも呼べる部分も見られます。
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なお、同じモデルであっても、生産のタイミングによって黄色のヘッドライトの装着がOKな車両と、NGな車両が存在しています。
初年度登録が2006年1月のクルマでは、黄色のヘッドライトを装着できないため、要注意といえるでしょう。