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トヨタも悩む「主力モデル」長納期化問題! 販売店の状況は? 営業「歩合」はどうなる?

くるまのニュース 2022年7月24日 18時10分

最近、自動車業界で問題化されている新車の「長納期化」ですが、 なかでもトヨタは主力モデルが生産体制や一部改良などの影響により受注停止となっているトヨタの販売店ではどのような状況なのでしょうか。

■主力車種が受注停止? 苦悩するトヨタ販売店の実情とは

 昨今の新車の長納期化は、ユーザーはもちろん販売店やそこで働く従業員へも大きな影響を与えています。
 
 そのなかで、主力車種の多くが受注停止もしくは長納期となっているトヨタ系販売店は、どのような事態となっているのでしょうか。

 コロナ感染の拡大並びに世界的な半導体部品不足により、慢性化している新車の長納期化は、新車購入を検討しているユーザーなどさまざまな人に影響を与えています。

 例えば、新車の納期が3か月から6か月、車種によっては1年待ちもめずらしくなくなった現在では、納期を優先するユーザーは中古車市場へと流れるようになりました。

 そのため、中古車価格は全体的に高騰し、状態の良い個体は新車と同等以上の価格となっています。つまり、中古車のメリットは「安い」ことではなく、「早く納車されること」へと変化しつつあります。

 一方、クルマを販売する販売店側も、長引く長納期化の影響とは無縁ではありません。そのなかでも、新車の長納期化の影響を受けているのはトヨタ系販売店です。

 2022年7月現在、主力となる車種の多くが「詳しくは販売店にお問い合わせください」となっているほか、注文可能な車種でも従来よりも長い納期予定となっています。

 販売店のビジネスの根幹を成すのは、いうまでもなく新車の販売ですが、販売できるクルマがほとんどないというのが現状です。

 新車を購入する際、発注時にいくらかの手付金(申込金)を支払う場合はありますが、大部分は納車直前までに支払うことになるのが一般的です。

 それはつまり、販売店にとっては、納車の目処が立たない限りは現金を得ることができないことを意味します。

 大企業であっても、人件費や地代家賃などの支払いに充てる現金(運転資金)に余裕がない場合も少なくありません。

 納車が進まず現金が得られないからといって、給与や家賃、諸経費の支払いを滞らせるわけにはいかないため、現在多くの販売会社が資金繰りに頭を悩ませているといいます。

 加えて、現場の従業員にも影響が見られるようです。販売会社の営業担当者は、基本給に加えて販売実績に応じた歩合給が用意されているのが一般的ですが、歩合が確定するのは受注時ではなく納車時となっている場合がほとんどです。

 つまり、納車の遅延は、営業担当者個人の収入の遅延へもつながることになります。

 このように、新車の長納期化はユーザーのみならず、販売会社へも大きな影響を与えているようです。

■歩合への影響は少ないが… 営業マンもやはり人…

 新車の長納期化における販売会社や営業担当者への影響について、トヨタ系販売店関係者は次のように話します。

「ありがたいことに、納車が進まないなかでも多くのご注文をいただくことができています。

 また、既存のお客さまへの対応などもあるため、そういう意味では『仕事がない』という状況ではありません。

 最近では、ご注文されるお客さまに対し、納期が不安定であることを入念に説明するようにしているため、長納期化についてもある程度はご理解いただけると思います。

 しかし、やはり一定のクレームをいただくことも事実です。ただ、新車の長納期化については、販売店レベルではどうしようもないというのが正直なところです」

 実際、インターネット上では、相次ぐ納期の遅延に対して、販売店を非難する言葉も見られます。ただ、個々の販売店や営業担当者の努力でできることは限られているのが現状です。

営業マンへの「歩合」に影響は出ているのか?

 一方、各営業担当者の歩合給について、前述とは別の販売店担当者はそれほど深刻な影響はないといい、次のように話しています。

「販売会社によっても異なりますが、当社では新車販売における歩合は数千円となっています。

 新車価格に応じた歩合としていないのは、歩合のためにお客さまの意に沿わない高価格車を押し売りするようなことがないようにするためです。

 一般的な営業担当者であれば、これまでも月に3台程度の販売(納車)が平均的な数値であるため、現在問題となっている新車の長納期化によって、各営業担当者の生活に大きな支障が出ることは少ないと思われます。

 とはいえ、営業担当者のなかには若手スタッフも多く、歩合給を期待している場合も少なくありません。

 また、販売店レベルではどうしようもないことに対するクレームが続けばモチベーションも下がり、最悪の場合、退職してしまう可能性もあります。

 そういった意味では、新車の長納期化が販売店に与える影響が見られるのは、これからなのかもしれません」

※ ※ ※

  昨今の新車の長納期化は、新型コロナウィルスやウクライナ危機などに端を発するものです。

 現状では待つしかないというのが実際のところであり、販売店の営業担当者へクレームを入れても事態は進展しないということは、われわれも理解しておかなければなりません。

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