新車ディーラーの営業マンとスムーズに交渉するためには事前にアポを取り、自身の情報を伝えたほうが結果的にメリットを得られるといいます。なぜでしょうか。
■買う意思があるのにフラッと新車ディーラーへ訪れるのは「時間のムダ」でしかない!?
新車を手に入れるのは楽しみでも、営業マンとの交渉は苦手だと感じる人は多いはずです。新車の商談を成功させるにはどうしたらよいのでしょうか。
新車ディーラーの営業マンは「実は事前にアポイントを取って商談したほうが有利なんです」とこっそり教えてくれました。しかも自身の情報も、あらかじめ伝えてしまったほうが良いのだといいます。
新車購入から代替え車の下取り、乗り始めてからのメンテナンスまですべてを任せることができるのが新車ディーラーです。
「このクルマをこのお店で買いたい」と思える新車ディーラーに出会った時には、どんどん話をしていきたいところ。
ではどのように商談を進めていけば良いのでしょう。
関東近県の新車ディーラー営業スタッフAさんはこう教えてくれました。
「新車ディーラーで商談をする場合、スピーディーに話を進めたいのならアポイントを取ると良いでしょう」
ちょっと意外な気もしますが、このひと手間が重要なことだといいます。
「もちろんフラッと立ち寄っても全く問題ありません。むしろ大歓迎です。
例えば展示車を見たり、カタログをもらいに行くためにわざわざアポイントを取って行く必要はなく、何より行くかどうかは自分次第ですから、定休日以外であればいつでも気軽に行くのが良いでしょう」とも話します。
しかし一方で、明確に購入意思があるのにフラッと飛び込みで行くのは、もったいないことだともAさんはいいます。
「フラッと立ち寄る飛び込みの来店では、自分の求めているものがすべて揃うとは限りません。
営業スタッフが不在だったり、接客中で対応できる営業スタッフがいないこともあります」
せっかく訪問したのに待たされたり再訪問せざるを得ないようでは、貴重な時間が無駄になってしまいます。
また、乗りたかった試乗車がそのお店にないこともあるといいます。
「すべてのクルマが試乗車として全店舗に置いてあるわけではありません。
1台の試乗車を同じ販売店グループ内の近隣数店舗で共有したり、同車種でもグレードやボディカラー、エンジン種類などが違うモデルを各店舗ごとに分散させていることもよくあることです。
カタログ写真などではニュアンスが伝わりにくいボディカラーを実車で確認したり、ハイブリッドとガソリン車を乗り比べてみたいなどを事前に伝えると、希望の試乗車を他店舗から取り寄せることも可能です」
最近はお店のホームページに試乗車や展示車情報が載っていることもありますが、それが最新の情報でないことや、突発的に代車などで貸し出されているケースもあり得るとAさんはいいます。
アポイントを取る際には、こうした希望もあらかじめ確認しておくのが良いでしょう。
■アポを取ると「無駄な時間が省けて合理的!」その理由とは
とはいえ、こちらからアポイントを取って買う気満々で訪問したりしたら、うまい具合に言いくるめられたりしないかな…と不安を感じる人もいるはずです。
そんな問いに対し、前出の営業スタッフAさんは意外な効果があるといいます。
「アポイントをとることで商談時間を大幅に短縮できて、しかもお客さんにも有利な商談が合理的にできます」
どういうことでしょうか。
営業スタッフが商談に入ると、まず来店客からさまざまな情報を聞き出して情報を得ようとします。
お客が来店した目的や意向を探りながら話を進めていくことになるため、それだけ時間もかかります。
購入意思のない冷やかし客なのか、あるいは半年以内、3か月以内に欲しいのか。
それともいますぐではないけれど、車検の切れる1年後に買いたい客なのか。
営業マンはまず、購入に関するお客の有効な情報をじっくりと探り出していきます。
しかしクルマに限らず営業マンを相手にするとき、客がつい身構えてしまい不安になるのもこの「根掘り葉掘りと聞き出す長い時間」なのです。
この時間こそが「商談はなんだか苦手」と思わせる最大の理由です。
Aさんも不安解消のために雑談を交えるといいますが、それゆえさらに時間も長くなる…そんな悪循環があるのです。
事前にアポイントを取ってからの来店であればどうでしょう。
明確な購入意思があることや、ライバル車と迷っていること、購入時期が近いこと(明確な時期が決まっていること)を伝えることも可能です。
対応する営業スタッフが探りを入れる時間など、商談に入るまでの無駄な(そして不安な)時間を大幅に減らすことができるというワケです。
なるほど営業スタッフの立場で考えてみると、買うか買わないかはっきりしないお客を相手にするよりも、明確に購入意思があると伝われば、よりいっそう力が入るのは納得できます。
そしてAさんはこっそり教えてくれました。
「購入時期が明確なら上司にプッシュしやすくなるので、値引き交渉などの条件も引き出しやすい環境になります」
事前のアポだけで、ずいぶんと合理的な商談ができそうです。
さらにここ1年くらい、半導体不足などの影響を受けて新車の納期も不透明な状況が続いています。
Aさんも、以前は車検の時期の数ヶ月前に買い替えを検討してもらうケースが多かったといいますが、それがかなわない事例が増えていると警鐘を鳴らします。
いざ商談が進んでみたら、欲しい車種が「1年待ち」ということもたびたびあり、購入計画自体の見直しを強いられることも非常に多いようです。
事前の情報さえあれば、営業スタッフも代案を準備したりして商談に挑むことができるので、その意味でもアポイントは重要になってきます。
※ ※ ※
新車ディーラーへ訪問するのに適した曜日や時間はあるのでしょうか。
Aさんは「一般論として」と前置きしながらこういいます。
「平日は週末に比べて来店客は少なく、ショールームも比較的静かです。その中でも、午前中は修理・点検の目的で来店するお客が多く、夕方は預けていたクルマを引き取る来店が集中します。
平日なら、午後の早い時間が落ち着いて話ができる時間帯といえるでしょう」
ただし平日には定休日が設定されているうえ、営業スタッフも混み合う週末を避け平日に休みを取ることが多いという点は注意が必要です。
Aさんも「書類手続きなど平日しかできない日常業務をこなすため営業スタッフみずから外出するケースもあり、むしろ土日よりアポイントが取りづらかったり、商談時間をあまり確保できないこともある」といいます。
仕事は土日が休みという人が、平日にわざわざ有給休暇を取ってまでアポイントを取るメリットはあまりないかもしれません。