ついつい抜くのを忘れ、車内に差したままにしがちな「ETCカード」。実はETCカードは熱に弱いとされており、夏場の場合には故障の恐れが高まるようです。
■ETCカードは熱に弱い!真夏の車内では壊れることも
ETCカードを差したままエンジンを切ると、ETC車載器から「ETCカードが残っています」などというアナウンスが大音量で流れます。
それでもついつい抜き忘れてしまったり、面倒なので敢えて差しっぱなしにしている人もいますが、暑い日に差したままにしておくと変形、故障し、使えなくなる恐れがあります。
ETCカードの耐熱性能について、ETC車載器メーカーの担当者は、以下のように話します。
「ETCカードはプラスチックでできていることがほとんどであり、熱に弱いため、約50度を越えるとETCカードが変形してしまうおそれがあります。
変形したETCカードをETC車載器に入れっぱなしにすると、読み取り不良になってしまったり、無線が出なくなり、出力パワーが小さくなり、アンテナ通信ができなくなります。
そのため、私どもはもちろん、そのほかのメーカーでも『ETCカードの抜き忘れにはご注意ください』といった注意喚起をおこなっております」
ETCカードは、一般的なクレジットカードと同様に、高温環境での保管を想定して作られていません。
カード内に埋め込まれている「ICチップ」部分はとくに熱に弱く、動作保証温度は45度から50度前後とされています。
それ以上の高温になると、熱収縮によりICチップと電極の接合部が壊れてしまうことがあり、そうなるとETCカードを入れても正しい動作をしなくなる恐れがあるのです。
一方、ETC車載器については、車内の設置を想定して設計されているため、ある程度の高温でも耐えられます。
しかし、猛暑における車内温度は非常に高温になる場合があり、いくら高温でも耐えられる設計になっていたとしても、故障や劣化に繋がるおそれがあります。
JAF(日本自動車連盟)のテストでは、白いボディからのミニバンにおいて車内平均気温47度、車内最高温度52度、ダッシュボード最高温度79度という結果が出ていおり、黒いボディカラーでは5度から6度高いという結果になりました。
このテスト結果が示す通り、真夏の車内にはエアコンを作動させないと非常に高温となります。
置き場所によっては、ETCカードのICチップの動作保証温度となる45度前後も軽々と超えてしまうのです。
前出の担当者によると「とくにダッシュボードに置くタイプの車載器や、フロントガラスに貼り付けるタイプのものは、夏になるとすぐ高温になってしまうため、一定の温度を越えるとETCカード、ひいては車載器の故障や劣化に繋がる可能性もあります」といいます。
■夏場にETCカードや車載器の故障を防ぐにはどうしたらいい?
ETCカードやETC車載器を、猛暑による劣化や故障から守るにはどうしたらよいのでしょうか。
前出の担当者は、対策方法について次のように話しています。
「ETCカードについては、熱の対策をするというよりも、毎回忘れずに抜き取ることに尽きます。
ETCカードの抜き忘れをなくすために、カードを毎回財布にしまうなど、習慣化していくことを意識していってもらえればと思います」
ETCカードは車内に置いておくことは推奨されず、一般財団法人ITSサービス高度化機構が運営する「ETC総合情報ポータブルサイト」でも、「ETCカードはクルマを降りる際に必ず抜き取ってください」と明記されています。
これは、故障だけでなく盗難のリスクも考慮された話となり、とあるクレジットカードカード会社の担当者は、「ETCカードを車内に置くことが習慣化しているなかで、盗難被害にあった場合には利用者側の『重大な過失』にあたる可能性もあり、補填対象外と扱われる可能性もあります」と話しています。
一方でETC車載器を猛暑による故障から守るためにはどうすれば良いのでしょうか。
前述のように車載器は設置場所を十分考慮することが大切です。
フロントガラスやダッシュボードに設置するのではなく、運転席足元、コンソールボックスやグローブボックスのなかなどが望ましいといえます。
これは、直射日光を避け、熱がたまりにくい場所ということに加えて、人目に付きづらい場所ということからという理由が挙げられます。
また、このような背景もあり、新車の純正ETC車載器はそのような場所に設置されています。
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ETCカードが故障した場合には、基本的に再発行が必要です。
しかし、再発行となると手間も掛かり、場合によっては手数料が生じることもあります。
そうならないためにもETCカード、は忘れずに抜き取る習慣をつけましょう。