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クルマの「ディスプレイ」なぜ大型化? テレビ並「最大48インチ」も登場!? 大きさに限界はないのか

くるまのニュース 2022年8月2日 14時10分

昨今、クルマのディスプレイは大型化していますが、なぜ大きさが求められるのでしょうか。その背景や今後どこまで大きくなるのか、などを解説していきます。

 クルマに搭載されるディスプレイは近年大型化の一途をたどっています。
 
 ディスプレイの大型化によって、クルマの高機能化が進むなどのメリットがありますが、この先もまだまだ大きくなっていくのでしょうか。

 現代のクルマにとって必須の装備となりつつあるのが、センターコンソール上部やインパネに鎮座するディスプレイです。

 クルマのディスプレイは、カーナビで地図を表示したり、テレビやオーディオを楽しんだり、あるいはエアコンなどを操作したりすることができます。

 そんなクルマのディスプレイですが、年々大型化しています。

 クルマにおけるディスプレイの歴史をたどると、ホンダが1981年に発売した世界初のカーナビ「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」で6インチのブラウン管が搭載されたのが最初期のものと見られます。

 1990年代に入ると、GPSを用いたカーナビが続々と登場。世界初のGPS式カーナビ「CCS(カー・コミュニケーション・システム)」を搭載したユーノス「コスモ」を皮切りに、ホンダ「レジェンド」やトヨタ「クラウン」や「セルシオ」といった高級車に搭載されるようになりました。

 これらのナビのディスプレイは、基本的には7インチもしくはそれ以下のサイズとなっており、その理由は1984年にカーオーディオの国際標準規格が、ドイツの工業規格である「DIN」で定められた結果、ほとんどの車種で幅180mm×高さ50mm の「1DIN」もしくは幅180mm×高さ100mm の「2DIN」となったことに由来しています。

 2DINのスペースにディスプレイを搭載すると、7インチが限界となります。そのため、カーナビおよびクルマのディスプレイは長らく7インチ程度の時代が続きました。

 一方、2010年代に入ると、ナビの機能が複雑化したことなどからより大型のディスプレイが求められるようになります。

 また、インテリアデザインの観点からも、クルマと一体になった専用のディスプレイが登場するようになりました。

 なかでも、テスラ「モデルS」やトヨタ「プリウスPHV」のような、先進性を重視する車種では、これまでのイメージをくつがえすような大型のディスプレイを大胆に配置。

 モデルSは17インチ、プリウスPHVは11.6インチのディスプレイを、センターコンソール上に縦型に配置していますが、その様子はまるでタブレットを置いているかのように見えるほどです。

 また、レクサスの各車種や、2020年に登場したトヨタ「ハリアー」の上位グレードでは、12.3インチのディスプレイが装着されているなど、「10インチ超え」はめずらしいものではなくなりました。

■クルマのディスプレイはどこまで大きくなる?

 クルマのディスプレイを大型化するメリットはどこにあるのでしょうか。

 第一に挙げられるのは視認性の良さです。ナビによるマップの表示や、駐車時に楽しむTVなどは、ディスプレイが大きいほうがよいことは言うまでもありません。

 また、ディスプレイを大型化することで、多くの機能を持たせられるというメリットもあります。

 2010年頃のクルマには、10キーをはじめとした、非常に多くの物理ボタンを配置している車種がありましたが、物理ボタンが多くなるとセンターコンソールやインパネが煩雑なるなどデザイン上の問題が生じます。

 加えて、物理ボタンは異物の侵入などによる故障の可能性も高く、信頼性を向上させたい自動車メーカーとしては、できる限り減らしたいものでした。

 ディスプレイが大型化したことで、シフトやパーキングブレーキなどクルマの基本的機能に関わるものや、エアコンなどの使用頻度が高いもの以外の機能を、ディスプレイに集約することができるようになったのです。

 ディスプレイを大型化させると、消費電力が増したり、ディスプレイそのものの故障の可能性が大きくなったりするという課題もありましたが、液晶技術の進化などによってそうしたデメリットよりもメリットが上回ったことが、昨今のディスプレイの大型化を加速させています。

 その結果、アウディやメルセデス・ベンツのような欧州プレミアムブランドの車種や、日産「ノート」などでは、メーターパネルも液晶ディスプレイが採用されています。こうした傾向は今後も続くことが予想されています。

ホンダのEV「ホンダe」は5つのディスプレイを組み合わせている!

 では、クルマのディスプレイはどこまで大きくなるのでしょうか。

 例えば「ホンダe」では、インストルメントパネル上いっぱいにディスプレイを水平配置しています。

 実際には、サイドカメラミラーシステムを含む5つのディスプレイの集合体ですが、量産車としてはもっともディスプレイの大きい車種のひとつとなっています。

 また、キャデラック「エスカレード」では、自動車用途としては初の湾曲型OLEDディスプレイを採用しており、その大きさは38インチ超におよびます。OLEDディスプレイは高画質であるだけでなく、表示のレスポンスも早いというメリットもあり、今後多くのクルマで採用されていくと見られています。

 さらにインチ数だけでいえば、中国のベンチャーEVメーカー「Byton(バイトン)」のクルマには48インチディスプレイが与えられるなど、画面の大型化には目覚ましいものです。

 とはいえ、物理的スペースの限界やドライバーの視界の確保といった観点から、ある程度のところで限界は来るものと考えられます。

 ただし、大きなディスプレイは先進的なイメージを与えるなど、その車種やメーカーのブランディングにも貢献します。

 そのように考えると、単一の大型ディスプレイを搭載するというよりは、ホンダeのように小型のディスプレイを複数配置するというかたちの車種が増えてくると見られています。

※ ※ ※

 クルマの基本機能は、いうまでもなく「走る」「曲がる」「止まる」にありますが、技術が進歩した現代では、こうした基本機能の部分の差は限りなく少なくなっています。

 そのため、ディスプレイを活用したさまざまな補助機能は、クルマを選ぶうえで重要な要素のひとつになるでしょう。

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