トヨタの人気クロカン4WD「ランドクルーザープラド」で車中泊はできるのでしょうか。7人乗りと5人乗りでその条件は異なるといいます。
■5人乗り仕様は低い床面で荷室容量を確保するが荷室長は短かった
トヨタは2022年8月1日、クロスカントリー型四輪駆動車「ランドクルーザープラド」のエクステリアに艶消しブラックの装飾を加えた特別仕様車「Matt Black Edition(マットブラックエディション)」を設定しました。
アウトドア派から根強い支持を集め続けるランドクルーザープラドですが、車中泊を行うことはできるのでしょうか。
ランドクルーザープラドには現在、5人乗り仕様と7人乗り仕様の2タイプが設定されています。
それぞれ2.8リッターディーゼルターボエンジン(204ps/500Nm)と、2.7リッターガソリンエンジン(163ps/246Nm)の2タイプから選択可能となっていて、ともに6速ATと組み合わされます。
ボディサイズは全長4825mm×全幅1885mm×全高1850mmで、ホイールベース2790mmと余裕たっぷりです。
ランドクルーザープラドで車中泊をしたい場合には、荷室を拡大して「寝床」を確保することになります。
ただし5人乗りと7人乗りでは、セカンドシート(2列目)の収納方法が異なり、それによって就寝できるかどうかの差ができてしまうのです。その違いについて比べてみましょう。
まず5人乗り仕様の場合、セカンドシートを前倒し荷室拡大する際にはまず座面が前に起こされ、その後に背もたれを前倒しする「ダブルフォールディング」機構を用います。
これにより、荷室側から低い床面が連続して現れます。
定員時の荷室容量621リットルに対し、2名乗車時には1151リットルと大容量が確保されます。
定員乗車時の荷室長(リアシートからバックドアまでの距離)が855mmなのに対し、後席を前倒しした2名乗車時の荷室長(リアシート座面部からバックドアまでの距離)は1680mmです(荷室数値はすべてトヨタ社内測定値、以下同)。
荷室容量としては十分以上にありますが、こと車中泊の視点で考えると、身長170cm級の人が縦に寝ようとしてもちょっとスペースが足らないことが数値の面からもわかります。
■7人乗り仕様なら2メートルに及ぶ最大荷室長が確保できる
対する7人乗り仕様のセカンドシートは5人乗り仕様よりシンプルで、背もたれを前倒しするのみとなっています。
サードシート(3列目)も同様に前倒ししますが、同時に座面が床側へ潜り込み格納される構造となっていて、フラットな荷室の床面が現れます。
なお上級グレードでは、サードシートの前倒しは荷室側もしくはリアドア側にあるスイッチ操作による電動格納式で、ヘッドレストも自動可倒する便利な仕組みとなっています。
荷室容量は、7名定員時で104リットルとミニマム。5名乗車時には553リットル、2名乗車時で974リットルまで拡大しますが、5人乗り仕様に比べると全体に床面が高い分、容量の面では不利に働きます。
さて気になる7人乗り仕様の荷室長ですが、フロントシートを前端までスライドさせた状態で、シートの背からバックドア面までの距離は2070mmを確保します。
フロントシートを後端まで下げ、かつリクライニングした状態でも1830mmとなっています。
5人乗り仕様は最大でも1680mmでしたが、この差はセカンドシート座面と背もたれ分の厚みがマイナスになっていることから生じています。
ただ2070mmから1830mmまで確保される7人乗り仕様の荷室長ですが、フロントシートとセカンドシート間の足元空間があるため、イコール床面の長さというわけではありません。
とはいえ5人乗り仕様とは違い、身長170cm級の人でも寝ることができる寝床はじゅうぶんに確保されます。
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ただしランドクルーザープラド 7人乗り仕様の荷室床面を実際に見てみると、左右や前後シートとの境い目にすき間や段差、空間が生じるほか、前方に向かい床面に傾斜角度がついています。
ランドクルーザープラドで車中泊を考えているなら、それらを補正できて快適な寝床を生み出すキャンプ用のエアマットは必須アイテムとなります。
また床面の傾斜角が気になるようなら、足元側にマットを追加するなどして補正するとさらに快適度はあがりそうです。
荷室幅は最大1395mmが確保されるので、就寝環境さえ整えれば大人2名の就寝も可能となっています。
なおセカンドシートは4:2:4分割式なので、片側だけ前倒しすることも可能です。