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夏はエンジンオイル変えたほうが良いって本当!? 猛暑からクルマを守る賢い方法とは

くるまのニュース 2022年8月15日 11時10分

エンジンオイルには、エンジンを内部から保護・冷却・潤滑する役割があります。外気温が高くなる夏は、このエンジンオイルの管理がとくに重要になります。

■エンジンオイルが担う役割とは?

 気温が高い夏はクルマがオーバーヒートしやすい時期です。このオーバーヒート対策で真っ先に頭に浮かぶのは「冷却水(クーラント)」でしょう。

 クルマを冷やす冷却水は、エンジン外部(ウォータージャケット:冷却水の通り道)からエンジン本体を冷却しますが、もうひとつエンジンを冷やすものとして「エンジンオイル」があり、これはエンジンの内部から直接エンジン内の部品を冷却しているのです。

 そもそも、エンジンオイルにはエンジン内部の気密性を保ち、潤滑する役割があります。

 エンジンは、上部「シリンダーヘッド」(バルブ・カムシャフトなど)、中部「シリンダブロック」(ピストンなど)、下部「オイルパン」(ピストンコンロッド・クランクシャフトなど)といった大きく分けて3つのブロックで構成されており、エンジン内部の金属同士が接触する場所にエンジンオイルが供給され、それによって金属の摩耗を低減しています。

 なかでも、エンジン心臓部である中部「シリンダブロック」には燃料の爆発燃焼力をクランクシャフトへ伝える「ピストン」が存在し、「シリンダスリーブ」と呼ばれる筒に収納されています。

 シリンダスリーブとピストンは非常に高い精度ですき間(クリアランス)が設定・製造されているのですが、高速で上下運動をするピストンは、エンジンオイルがないとシリンダスリーブが摩擦で傷つき密着性が保てなくなり、エンジン出力が低下。エンジンが焼き付いてオーバーヒートの原因になるのです。

 そして、エンジン下部にはエンジンオイルの熱を最初に受け止めるオイルパンがあり、このオイルパンには燃料の爆発燃焼力を駆動装置へ伝達する「コンロッド」「クランクシャフト」という回転部品が存在します。

 この部品も1分間に何千回転という速さで高速回転運動をする部品で、冷却をしないとエンジンが焼き付いてオーバーヒートを起こしてしまいます。

 この焼き付きを防ぐため、エンジンオイルの冷却性能が不可欠となるのです。

■エンジンオイルの「粘度」が高いとどんなメリットがある?

 エンジン内部部品を保護・冷却・潤滑するエンジンオイルですが、夏場は「粘度」が重要になります。

 エンジンオイルの粘度は、一般的に「SAE(シー)」と呼ばれる「SAEアメリカ自動車技術者協会(アメリカの非営利団体)」の規格が使用されています。

エンジンオイル交換

「SAE10W-30」という規格のエンジンオイルを例として、「10W」とは冬期の外気温度に対応できる規格で「-25℃」まで対応できる種類のエンジンオイルを意味しています。「W」は「Winter」の頭文字です。

「30」とは、これがエンジンオイルの粘度を表す数字です。この「30」の数字が高いほど粘度が高くなり、反対に低いほど粘度が低くなります。

 添加物や使用状況によって異なりますが、エンジンの内部部品の保護を考えるとエンジンオイル粘度が高いと油膜が確実に形成され、高速回転走行時でもエンジンの保護や焼き付き防止に繋がります。

 夏は外気温が高く、エンジンも高温になるため、確実に油膜が形成される粘度の高いエンジンオイルが適しており、車種によって推奨されるエンジンオイルの粘度が決められているのですが、夏場はワンランク粘度が高いオイルに交換するのがおすすめです。

※ ※ ※

 粘度が高いエンジンオイルはエンジンの内部部品にかかる抵抗が増加するので、燃費性能の悪化やエンジン始動性低下などのデメリットもあります。

 使用状況やエンジンの劣化の具合などによって適したエンジンオイルが決まってくるので、粘度の高いエンジンオイルに交換する際は、カーショップや自動車整備士と相談し、適切なエンジンオイル粘度に変更すると良いでしょう。

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