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珍しい「有料道路の定期券」なぜ存在? 六甲の夜景スポットや「関西の奥座敷」を結ぶルートの横顔

くるまのニュース 2022年8月15日 14時10分

定期券を設定している有料道路が兵庫県にあります。一般的に定期券は電車や路線バスを頻繁に利用する人を対象に販売されていますが、なぜそれが有料道路にもあるのでしょうか。

■定期券を設定している芦有ドライブウェイ

「定期券」で通れる有料道路が兵庫県にあるといいます。電車や路線バスで使うことの多い定期券が、なぜ有料道路に設定されているのでしょうか。

 有料道路を頻繁に利用する場合、通行料金をその都度支払うこともできますが、路線によっては回数券を利用する方法もあります。

 有料道路の回数券は11枚や50枚、100枚といったまとまった数が一綴りとして販売されており、その都度支払う場合に比べて割引されているのが一般的です。

 しかし、回数券ともに定期券も販売しているのが、兵庫県にある有料道路「芦有(ろゆう)ドライブウェイ」です。

 芦有ドライブウェイは、兵庫県南部の芦屋市の市街地と、「関西の奥座敷」として知られる有馬温泉(神戸市北区)を南北に結ぶ長さ10.7kmの有料道路です。

 1961年に開通。現在はNEXCO西日本などが出資する芦有ドライブウェイ株式会社が運営しています。

 道路は六甲の山の中を走る制限40km/hのドライブコースで、途中には夜景スポットとして知られる東六甲展望台、バーベキューが楽しめる「奥池あそびの広場」などのスポットが点在します。

■定期券が設定されている理由は?

 全線(芦屋~宝殿~有馬)の普通車の通行料金は、片道950円、往復1400円です。

 回数券は、10回分の金額で買える12回券と、普通車のみ5回分の金額で買える6回券の2種類が用意されています。普通車の全線12回券は9500円、全線6回券は4750円です。

 料金の区間は、全線のほか、途中の宝殿発着も設定されています。また、奥池や展望台などで引き返して同じゲートを出入りする場合は、区間利用の料金となります。例えば普通車の場合、芦屋から宝殿までは片道420円、芦屋から入り芦屋から出る場合も420円です。

芦屋市内にある奥池(画像:写真AC)

 定期券は、正確には「通行定期券」と呼ばれ、期間は1・3・6か月の3種類を設定。全線・普通車の場合、1か月は9200円、3か月は2万7400円、6か月は5万4700円です。

 芦有ドライブウェイの全線を半年間使い続ける場合、月12回(概ね週3回)以上だと6か月定期券が得という計算になります(片道を1回として計算)。

 しかしこのような有料のドライブコースを頻繁に利用する需要はあるのでしょうか。定期券を設定している理由について、芦有ドライブウェイの担当者は次のように説明します。

「定期券は、奥池地区にお住まいの方で利用している方がいらっしゃいます」

 芦屋市の奥池地区は、芦有ドライブウェイの芦屋~宝殿間、六甲山の中腹に広がる高級住宅地です。芦有ドライブウェイの開通とともに開発が始まった地区であり、クルマでここへ行くには芦有ドライブウェイを必ず通る必要があります。路線バスも走っていますが、マイカーだと通行料金を払うことになるのです。

 定期券は、「タクシーなどの営業用車両(緑ナンバー・黒ナンバー)はお断りしている」といいますが、それ以外の、通勤や日常の買い物などで頻繁に利用する人は誰でも購入できます。

 そして券は、人ではなく車番に対して発行されます。料金所の有人レーンで、係員が紙の定期券と車番を確認しているということです(ICカード定期券の導入計画も進行中)。

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