2022年8月11日に富士スピードウェイにてクルマのイベント「FUEL FEST」が開催されました。そこの一角にはアメリカのパトカーが数多く集まっていました、なぜなのでしょうか。
■日本の公道を走れる? アメリカのパトカーたち
2022年8月11日に国外でも開催実績のある「FUEL FEST」が、富士スピードウェイで開催されました。
これらは実際にアメリカで使われていたパトカーだといいます。なぜ日本にアメリカのパトカーが存在しているのでしょうか。
FUEL FESTはチューニングカーやエキゾチックカー、パフォーマンスカー、スーパーカーが集まり、カーショーやレース、音楽などを楽しめるイベント。
その収益の一部は、映画「ワイルド・スピード」に出演していたことで有名なPaul Walker氏によって設立された災害の被災者を支援する非営利団体「Reach Out World Wide」に寄付されます。
日本の「車好き」や「ワイルドスピード好き」が集結した本イベントの一角には、フォード「クラウンビクトリア」やフォード「エクスプローラー」、トヨタ「シエナ」、トヨタ「タンドラ」の警察車両が集結していました。
このクルマたちは、アメリカで実際に活躍したパトカーを輸入したもの、もしくは再現したものです。
日本で実際に活躍したパトカーやそれを再現し日本の公道を走らせることは、赤色灯の使用や点灯が道路運送車両法によって厳しく規制されているためできません。
集結したパトカーたちを実際に輸入・改造・販売したのは、埼玉県にある「ビーピーコーポレーション」だといい、同社の山口氏は次のように話しています。
「これらのパトカーはアメリカで払い下げになったパトカーを実際に買い付けたものや日本に並行輸入されたノーマルの個体を警察車両で実際に使われているパーツを用いて改造したものです。
アメリカでは払い下げになったパトカーをそのまま走らせることは、偽装パトカーになってしまうのではしれませんが、日本ではそれに該当しないので、走らせることができます。
価格はクラウンビクトリアのようなセダンタイプでだいたい150〜250万円、フォードエクスプローラーのようなSUVで350万から450万円ほどかかります。
実際にパトカーを輸入するのにはさまざまな苦労があります。まず実際にアメリカでパトカーとして使われていたので、内外装ともにボロボロです。
それを何処まで直すかはオーナーによって個人差があります。またフラッシャーやサイレンなどのパーツは取り外されていることもあるので、それらのパーツを再び集めて設置することもあります」
■トヨタ「タンドラパトカー」アメリカではどう使われる? 米国パトカー仕様の見分け方とは
また、アメリカで実際に警察車両として活躍したエクスプローラーのパトカーを所有するオーナーのA氏に、警察車両と通常のクルマの違いについて聞いてみました。
「フォードの場合はポリスインターセプターというグレードがパトカーになります。
通常のクルマと違うのは、外装パーツのフラッシャーやプッシュバーなどの装備はもちろんですが、SUVでもパトランプ設置のためにルーフレールがありません。
また、車内ではさまざまな装備をセンターに乗せるために、シフトレバーがコラム化している点、通常レザーシートしか設定がないクルマでも耐久性のためにファブリックシートを設定している点などが違います。
車両によっては『人権がないシート』と呼ばれる樹脂製のシートを、犯罪者が乗る後部座席に設定しているものもあります」
そのほかに内装では、物々しい鉄格子などが設置してあり、いかにも警察車両感を醸し出していました。
また、トヨタが北米市場で展開していタンドラやシエナなどのパトカーもいました。
これらの現地における使用用途について、タンドラのオーナー・B氏は次のように語っています。
「アメリカでは、アメリカのメーカーのパトカー以外にも、タンドラやシエナ、カムリといった日本メーカーのクルマもパトカーとして多くのアメリカ法執行機関にて採用されています。
用途はさまざまで今回のタンドラパトカーは司法省に属する逃亡犯や令状逮捕を執行する『U.S.Marshals』仕様として再現しています。
お宅訪問時に抵抗された場合、速やかに執行できる機材が荷台に搭載されています。シエナであれば、囚人輸送を含め幅広い機関に採用されています」
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日本で走るアメリカのパトカーたちは、アメリカ国内ではそのままの姿では走れず日本なら走れるという奇妙な運命を持ったクルマたちでした。
また、アメリカの警察だからといってアメリカのクルマだけでなく、機関によっては日本のクルマだったりミニバンだったりさまざまなクルマをパトカーとして使うようです。