道路脇でカウンターを使って何かを数えている人を見かけることがあります。この人たちは何をしているのでしょうか。
■道路脇に座ってカチカチ…「交通量調査員」とは?
交差点の歩道などでは、「カチカチ」とカウンターを使って何かを数えている人を見かけることがあります。
この人たちのことを交通量調査員と呼びますが、では、具体的に何をしているのでしょうか。
道を歩いていると、道端で椅子に座りカチカチとカウンターを押している人を見かけることがあります。
いくつものカウンターを使って何かを数えているようですが、実際には何をしているのか知らない人も多いかもしれません。
代表的なものとしては、国土交通省による全国道路・街路交通情勢調査「道路交通センサス」が挙げられます。
道路交通センサスは、5年おきに道路の計画や建設、維持修繕そのほか管理の基礎資料を得ることを目的におこなわれ「自動車起終点調査(OD調査)」と「一般交通量調査」の2種類の調査があります。
そのなかでも一般交通量調査には、車線数や車道幅員、交差点などの設置状況を調査する「道路状況調査」、特定の区間での交通量を調査する「交通量調査」、道路を走行するクルマの平均速度を調査する「旅行速度調査」という3種類が存在します。
しかし国土交通省の道路交通センサスでは、2021年秋からAIを導入するため人手による調査が廃止されましたが、今でも人の手による交通量調査がなくなったわけではありません。
現在でも、自治体などがおこなう調査で交通量調査員が活躍しています。具体的にどのようなことをしているのでしょうか。
実際に交通量調査を実施している会社の担当者は、以下のように話します。
「交通量調査は、主に新しく道路を建設する場合やどれくらいの交通量なのかを国や自治体などから依頼され、実施しています。
交差点や店舗の前、狭いところなどに座り、直進したり右左折したりしているクルマや歩行者などをひたすらカウントしています」
また、カウントの対象はクルマや歩行者のみならず、車種ごとに台数を数えているケースもあります。
計測する車種などの項目は調査によって異なりますが、一般的なのは、クルマ、バス、小型貨物、大型貨物という4項目です。
それぞれカウンターを分けて数えるため、多い場合は12項目を調査するため12個のカウンターを使うこともあります。
また、前出の担当者は交通量調査の時期について「交通量調査を実施する時期については、特に決まってはおりませんが、年末やイベント開催のタイミングなどは避けておこなうことが多いです」と話します。
■国土交通省はAI化! 今後はその余波は広がる? 人手による観測は無くなるのか?
人工知能(以下、AI)やコンピューターが発達している時代であるのにもかかわらず、交通量調査は、なぜいまだに人の手で実施されているのでしょうか。
前出の担当者は、人の手で交通量を調査する理由について、以下のように話します。
「私たちは変わらず人の手で交通量をカチカチとカウントしています。人工知能などのコンピューターを使用した場合、その機械を管理する担当者が必要になります。
また、ビデオやカメラなどの場合は、それを確認するという作業を人がおこなう必要があります。
そのため、コストという観点からみても、人の手で調査をおこなうのが一番効率が良いと考えております。
しかし、いずれAIなどの人工知能や機械の精度が高くなった場合は、すぐに導入したいと思います」
その一方で、前述の通り国土交通省は交通量調査に関して、AIを導入するため2021年秋から人手による調査を廃止しています。
コスト削減だけではなく、調査における効率の向上という点から、人の手に代わって、AIなどの情報通信技術を活用する方向性に変更されました。
国土交通省が公表している「CCTVカメラ(AI解析)の精度に関する報告」では、簡易交通量調査における自動車交通量の精度は、非混雑時でプラスマイナス10%以内の精度が確保できている区間は約7割であるといいます。
また同資料では、今後のCCTVカメラ(AI解析)の精度向上に向けた取り組みについて「新道路技術会議による研究開発」「画像データオープン化による、AI解析精度の向上」「メーカーとの精度向上に向けた技術開発等の促進」などの案を挙げています。
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ちなみに交通量調査員の給与は、ある求人の募集要項によると、勤務時間は7時から翌7時の実働16時間、日給は3万円となっています。
ほかにも、12時間勤務の場合に日給1万3000円、24時間勤務で2万6000円といった求人もあるようです。