ガソリンを自分のクルマで給油する際、ノズルを給油口に何気なく入れて給油している人も多いでしょう。しかし給油は、ノズルの「差し込み方」によって危険な吹きこぼれが発生するケースもあるといいます。
■「ノズルは奥まで」は間違い?
ガソリンスタンドは、フルサービスとセルフ式があります。
セルフ式は24時間営業が多いことから、利用しているというユーザーも多いかもしれません。
しかし自身で給油することから、トラブルも起きているといいます。
給油は特別難しい操作はなく、給油ノズルをクルマの給油口に差し込み、レバーを引いて、指定した量になると自動で給油がストップする仕組みとなっています。
このようにセルフ式給油は、簡単な操作であることからドライバーは当たり前にできるという人も多いと思いますが、多くの場合セルフ式給油をする際の説明書きには「ノズルを奥まで差し込んで給油する」と書かれていることがあります。
しかし、この給油ノズルの入れ方に関して、車種によってはガソリンが吹きこぼれてしまうケースがあるといいます。
石油連盟や日本ガソリン計 量機工業会など計4団体が2006年におこなった「ガソリン吹きこぼれに関する実態調査」によると、調査したセルフ式ガソリンスタンドの95.5%で、過去1年間に吹きこぼれがあったことが分かっています。
吹きこぼれの推定原因(複数回答)としては、「給油方法、注意事項についての周知不足」(97.6%)が最も多く、次に「給油ノズルと自動車の燃料タンクや給油口の形状等との関係」(79.5%)が続きます。
そしてこの「給油ノズルと自動車の燃料タンクや給油口の形状等との関係」とした回答のうち、最も多かったのは、「オートストッパーが頻繁に作動した」(複数回答で61.6%)でした。
こうした状況を受け、消防庁ほか関係団体は、2006年11月に給油ノズルとクルマの給油管の差し込み状況に関する調査を実施。
協力の得られた日産車、三菱車計19台の給油口に各種給油ノズルを差し込み、どこまで差し込めるか、また容易に差し込めるかどうかを確認しています。
給油ノズルは、バネとホースとメーカーが違う7種類を用意。車種もコンパクトカーからミニバンまでさまざまなモデルをそろえました。
結果、ノズルを差し込める深さは、大きく分けて「深い」「やや深い」「中間」「中間(バネ)」「やや浅い」「浅い」の6段階がありました。
このように車種や給油ノズルの種類などによって一概にはいえませんが、ノズルを奥まで差し込むことが常に正しいとはいえないと考えられます。
調査資料では、このような検証結果を踏まえて以下のような対策が提案されています。
(1)給油ノズルを止まるところまで確実に差し込む
(2)給油ノズルのレバーを止まるところまで確実に引く
(3)自動的に給油が止まったらそれ以上の給油はしない
(4)給油後は給油ノズルを確実に元の位置に戻す
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SNSなどでは、給油の方法について、「クルマによっては比較的早い段階でオートストップがかかっちゃうことがある 」「私の場合ノズルを奥まで入れると給油できないので少し浮かせて給油しています」などの意見も見られます。
多くの場合、給油ノズルを奥まで差し込むことが推奨されていますが、クルマによってはオートストップが作動しないトラブルや、ガソリンの吹きこぼれが発生してしまうケースもあるといえます。
ガソリンは気温がマイナス40℃でも気化し、小さな火源でも爆発的に燃焼する性質があり、思わぬ火源によって引火してしまう危険性があります。
このため、給油時には吹きこぼれのないよう十分な注意を払う必要があるといえるでしょう。