Infoseek 楽天

「ローダウン」は最低地上高9cmまで下げてOK!? ただし故障やトラブルに繋がる場合も! 定番カスタムが引き起こすクルマへの影響とは

くるまのニュース 2022年8月30日 7時10分

クルマの最低地上高(車高)を下げるカスタムのことをローダウンといいますが、ローダウンをおこなうとクルマにどのような影響があるのでしょうか。カスタムの方法やメリット・デメリットなどを紹介します。

■最低地上高は9cmまで下げてOK! ローダウンの影響とは

 公道を走るクルマは、国土交通省によって「最低地上高」が定められており、カスタマイズ等によってローダウンする際もこの基準に従うのが必須となります。

 国土交通省が定める「道路運送車両保安基準の細目を定める告知〈第3節〉第163条」では、「全面における地上高は9cm以上」と規定されています。

 では、ローダウンをするならばどのような点に注意すべきで、車検に適合するにはどのような状態であるべきなのでしょうか。メリットやデメリットを含め紹介します。

 車の最低地上高を下げて車体底部と地面との距離を近付けることを「ローダウン」と言います。車高を上げる「リフトアップ」と言うカスタムがありますが、それとは逆の行為です。

 ローダウンのメリットは、重心を下げることでコーナリング時の走行安定性を向上させることができることです。サーキット走行までとはいかなくとも高速道路のインターチェンジなどの旋回でも違いを体感することができます。

 またローダウンをするとフェンダーとタイヤの隙間や地面と車体の隙間が少なくなり、地を這うようなどっしり感や鋭さが強調されます。人によっては走行の安定性よりも、外観をより自分好みに近づけるためにローダウンをおこなうオーナーもいます。

 しかし、ローダウンにはデメリットもあります。

 まず懸念されるのは乗り心地の悪化です。ローダウンすると純正よりも上下のストローク範囲が減少してしまうため、スプリングレート(スプリングの硬さ)も上げなければなくなります。

 純正の硬さのままにするとショックアブソーバの底付きやタイヤハウス内での車体との干渉といった問題が出るため、減少したストローク範囲に対応した硬いバネに交換する必要があるためです。

 また乗り心地以外でも、最低地上高が下がれば、日常使用に影響が出る可能性があります。特に段差の乗り越える際や駐車時に、車の外装パーツやマフラーなどを段差や輪止めに接触させて損傷させてしまうリスクが上がります。

 さらに車高が下がればロアアーム等の足回りパーツからブッシュ類、ドライブシャフト・ステアリングラックブーツ等への負荷も変わり、寿命を縮めてしまうこともあります。

■車高を下げるにはどうしたらいい? 最低地上高以外に注意すべき点とは

 では実際にローダウンするにはどのような方法があるのでしょうか。

 主な方法としては、「ダウンサスを使用する」「車高調整式サスペンション(以下車高調)に取り替える」「エアサスペンションに取り替える」の3種類があります。

ローダウンにはさまざまな方法がある

「ダウンサスを使用する」場合は、サスペンションのスプリングを「ダウンサス」とよばれる全長の短いタイプに交換します。

 車高のダウン幅はスプリングの長さが短くなればその分下がりますので、ローダウンが可能です。

「車高調に取り替える」場合は、「車高調」とよばれるサスペンションユニットを純正品から丸ごと換装します。

 現在は新品でも10万円前後から導入できることから、最もポピュラーな方法になりつつあります。車高調の中にもさまざまタイプがあり、「ネジ式車高調」「Cリング式車高調」「全長調整式車高調」などがあります。

 車高を下げてもショックアブソーバのストローク量に影響を及ぼさない特徴を持つ「全長調整式車高調」がローダウンユーザーに好まれる傾向にあります。

「エアサスペンションに取り替える」場合は、エアサスと言われる、空気が入ったシリンダーを活用した構造を持つサスペンションユニットに純正品から換装します。

 ダウンサスや車高調は金属スプリングですが、エアサスは空気をスプリングの代わりに使用するため、調整範囲内でスプリングの長さを自在にコントロールすることができます。

 駐車している際はスプリングを短くする要領で車高を下げ、移動する時はスプリングを長くして車高を上げるといった使い方もできます。

 しかし導入コストが高額となるため、ローダウンをおこなうユーザーの中でも少数派です。

※ ※ ※

 法的な観点で「ローダウンはどこまで許されるのか」というと道路運送車両の保安基準を満たせば問題はありません。

 保安基準内では「自動車の地上高(全面)は、9cm以上であること」と記載されており、基本的には最低地上高が9cmになるまでは、下げても良いと言えます。

 ただし、最低地上高をクリアしても、一部車種では反射板や灯火類などの高さが基準以下となってしまい不適合となる恐れもあります。さらに近年の新型車に広く標準装備される「衝突被害軽減ブレーキ」などの先進運転支援機能(ADAS)についても、極端に車高を下げた場合には動作の正確性にも影響を及ぼす可能性があるので、念のため注意が必要です。

 なお最低地上高の測定箇所として、対象外となる箇所については、「タイヤと連動して上下するブレーキ・ドラムの下端、緩衝装置のうちのロア・アーム等の下端」、「自由度を有するゴム製の部品」「マッド・ガード、エアダム・スカート、エア・カット・フラップ等であって樹脂製のもの」と定められています。

※ ※ ※

 ローダウンは車の運動特性をスポーティに変えられたり、ドレスアップの観点で人によってはとても満足感を得られるカスタムです。

 しかし、ローダウンの特性を理解していなかったり、ルールを知らなかったりすると、車に乗るのが嫌になったり車検に通らなくなり不正改造車として取締りの対象になるのも事実です。

 ローダウンを正しく理解して、自分に合ったカスタムを楽しんでいきましょう。

この記事の関連ニュース