ホンダの中国における合弁会社のひとつ「東風ホンダ」は、ホンダ「ヴェゼル」の姉妹車となる2代目新型「XR-V」を2022年8月28日に発売しました。新型XR-Vはどのようなクルマなのでしょうか。
■「ヴェゼル」の中国専売仕様「XR-V」、ポップなデザインの2代目を販売開始!
2022年8月28日、ホンダの中国における合弁会社のひとつ「東風ホンダ」は、ホンダ「ヴェゼル」の姉妹車となる2代目新型「XR-V」を発売しました。
2代目となった新型XR-Vはどのようなクルマなのでしょうか。
2013年に登場したホンダのコンパクトSUV・ヴェゼルは、日本のみならず、世界中でさまざまな名前で販売されている世界戦略SUVです。
北米や欧州では「HR-V」(北米の現行は別車種)ですが、中国では「広汽ホンダ(広州汽車との合弁会社)」が販売する本家「ヴェゼル」に加え、「東風ホンダ(東風汽車との合弁会社)」からは姉妹車「XR-V」などが販売されています。
ホンダやトヨタなど中国に複数の合弁会社を持っている自動車メーカーは、それぞれの会社で別のデザインと車名を与え、同じクルマを姉妹車の関係でリリースすることが一般的となっています。
これ以外にも、中国市場では「インスパイア/アコード」、「シビック/インテグラ」、「エンヴィクス/クライダー」、「CR-V/ブリーズ」、「UR-V/アヴァンシア」、「ライフ/フィット」、「エリシオン/オデッセイ」、「e:NS1/e:NP1」などを、それぞれ東風ホンダ/広汽ホンダで展開しています。
2代目へと移行した新型XR-Vは、日本などで既に販売されている2代目ヴェゼルがベース。
ただし、そのベースとなる2代目ヴェゼルが中国ではまだ発表されていないため、姉妹車が先に2代目へと移行するというレアなケースになります。
フロントはヴェゼルと違い、よりスポーティーな印象を与えるクローム装飾付きのグリルが目を引きます。
水平基調の下部グリルでは一部に波長風の装飾を施したり、新色となるホットオレンジを設定したりと、遊び心ある雰囲気を漂わせています。
ホンダはここ数年、中国では「90後」と呼ばれる1990年代以降に生まれた若い世代へのアピールを積極的にすすめており、ポップな外装のみならず、最新のコネクテッド機能などを搭載することにより、若い世代の購買意欲を刺激する狙いがあります。
今回の新型XR-Vは元となるヴェゼルと対を成すような存在となっています。
発表を控える新型ヴェゼルには、日本と同じシンプルで落ち着いたデザイン、ボディカラーも一般的なクルマで見るような選択肢を用意することでしょう。
対して、新型XR-Vでは印象をガラリと変えさせる専用グリルや、インテリアにおけるオレンジ色のアクセントなど、姉妹車同士でキャラクターを明確に分けているのがわかります。
■日本とは異なる!? 中国独自のヴェゼル事情とは
ヴェゼルとXR-Vの2代目モデルが中国で発表される前より、既に2代目ヴェゼルがベースの電気自動車を東風ホンダから「e:NS1」、広汽ホンダから「e:NP1」として販売を開始していました。
この2モデルもヴェゼルとは異なるデザインを与えられていることに注目が集まっており、インテリアは独自の10.25インチのディスプレイが縦方向に設置されてこちらでオーディオやナビ、エアコンの操作がおこなえる仕様となっています。
バッテリー容量は53.6 kWhと68.8 kWhの2種類を用意、それぞれの航続距離は中国独自の「CLTC方式」で420 kmと510 kmです。
このことからわかるようにヴェゼルは汎用性が高い設計となっており、まさにホンダが展開する世界戦略の一端を担っていることがわかります。
搭載するパワートレインにも特徴があります。
ベースとなるヴェゼルは日本で、ガソリンモデルに加え、「e:HEV」のハイブリッドモデルを展開。
それに対し、この新型XR-Vでは東風ホンダが製造するL15C型1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載するガソリンモデルのみです。
ハイブリッドモデルは設定せず、環境にやさしいモデルは先述の電気自動車「e:NS1」に任せておくことで、両者の立ち位置を明確にしています。
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2022年8月28日に発表された新型XR-Vの価格は13万2900元(邦貨換算:約266万4000円)と、先代より5万元(約10万円)ほど高い設定になりました。
一方で、純電動モデルのe:NS1は17万5000元(約350万3000円)からとなるので、新型XR-Vは日本円にして100万円ほど安くなります。
ホンダはXR-Vとヴェゼル以外にも、新型CR-Vとその姉妹車のブリーズ、そしてその中間を担う11代目シビックベースのHR-VとZR-Vなど、多数のSUVを年内までに中国で発売予定。
日本市場とは需要が異なる中国市場において、ホンダは多種多様な選択肢を用意して競争力を増していく狙いです。