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三菱、新型「アウトランダー」中国発売もまさかの「PHEVレス」!? 現地で注力する「BEV」とは

くるまのニュース 2022年9月5日 17時10分

三菱の中国の合弁企業「広汽三菱」が、現地で中国仕様の新型「アウトランダー」を投入しました。マイルドハイブリッド仕様のみ設定されるといいますが、どのようなクルマなのでしょうか。

■中国でも約1万2000件の予約を獲得

 日本で2021年10月にPHEVモデル専用として登場された3代目「アウトランダー」は、三菱SUVのフラッグシップモデルとして国内外で高い評価を得ています。

 そのアウトランダーが2022年8月に中国でも登場。8月26日に予約受付が開始されましたが、1週間も経たないうちに予約数は約1万2000件に達する人気ぶりを見せています。

 この予約は中国で一般的な「盲訂」と呼ばれる方式で、正式な価格が発表される前に予約の受付をおこなうもの。アウトランダーの予約では9万9000元(約200万円)のデポジットを払うことにより、優先的な納車を含むさまざまな優待を受けられます。

 発表されたばかりの3代目中国仕様のアウトランダーは、日本仕様とどのような違いがあるのでしょうか。

「エアトレック」の後継として2005年に登場したアウトランダーは、約17年間で2度のモデルチェンジを経て現在に至ります。2012年に登場した2代目モデルは、世界初の4WDプラグインハイブリッドSUVとなるPHEVモデルも投入されました。

 クルマから電力を供給できる機能は多くの注目を浴び、個人のアウトドア用途や、企業や自治体では万が一の災害時用としても導入され、PHEV全体ではベストセラーの車種となりました。

 日本での3代目アウトランダーは2021年に登場。今までのモデルと同様に日本以外の市場にも投入されましたが、日本では純ガソリンモデルを廃止、4B12型2.4リッター直列4気筒エンジンを搭載するPHEVモデルのみの展開となります。

 それ以外のオーストラリアやアメリカなどの市場では当初、日産製PR25DD型2.5リッター直列4気筒エンジンを搭載するガソリンモデルのみでしたが、のちにPHEVモデルも投入されることが予告されていました(オーストラリアはすでにPHEVを販売開始)。

 中国では2004年に初代アウトランダー(日本名:エアトレック)が上陸しました。当時の三菱は、北京汽車とジープ(クライスラー)の合弁会社「北京ジープ」と提携し、三菱のモデルを中国で生産。

「なぜ北京ジープが」と思われる方も多いかもしれませんが、三菱は古くからクライスラーとの関係が強く、当時はダイムラークライスラー(現在のステランティス)と資本提携関係にありました。

 1984年に誕生した「北京ジープ」は、ジープブランドがクライスラーに吸収されたこともあり、中国におけるクライスラー関係のモデルの生産と販売を請け負う形となっていました。その後、初代アウトランダーの生産は合弁事業が解消された2008年まで続きました。

■中国市場では「エクリプスクロス」もPHEVなし!?

 2006年には2代目アウトランダー(日本での初代)が中国で登場しましたが、2代目モデルは合弁会社による生産がおこなわれなかったため、関税などで値段が高くなる「輸入車」扱いで販売されました。この状況は三菱が再び合弁会社を設立し、中国でのアウトランダーの生産を復活させる2016年まで続くことになります。

 2012年に三菱は広州汽車との合弁会社「広汽三菱」を設立。3代目アウトランダー(日本での2代目)は2012年に輸入車として中国へ投入され、2016年から現地生産へと切り替わりました。

 ユニークな歴史を持つアウトランダーですが、他国に遅れること約1年、ようやく中国でも4代目モデル(日本での現行である3代目)が2022年8月に予約開始となりました。

「広汽三菱」が中国で取り扱う新型「アウトランダー」

 基本的な外観は日本仕様と同一で、内装も変わりはありません。

 しかし、中国仕様最大の特徴は独自の48Vマイルドハイブリッドです。日本ではプラグインハイブリッド、アメリカやオーストラリアではそれに加えて純ガソリンモデルも展開されていますが、中国では4B40型1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドモデル(出力212hp)のみの設定となります。

 なぜ中国仕様のみ48Vマイルドハイブリッドとなっているのかは、明らかにされていません。

 しかし、中国仕様のエクリプスクロスもPHEVモデルは設定されておらず、同じエンジンを搭載する純ガソリンモデルとなっています。

 また、三菱は広州汽車からボディを譲り受けた電気自動車(BEV)「エアトレック」を中国で製造・販売しています。

 中国でPHEVを販売しない理由には、PHEV関連の部品を中国現地で生産することが難しい、もしくは、エアトレックとの立ち位置を明確にしてBEVに注力する目的があるのではないかと推測します。

 中国市場におけるアウトランダーの展開に関して三菱の広報部に聞いたところ、「ご推察の通りBEVについてはエアトレックに注力しており、また、PHEVについては中国における政策や市場の動向を見ながら検討していきます」という回答でした。

 需要次第ではPHEVモデルの追加があるのか、それともこのままマイルドハイブリッドモデルのみを展開するのか、今後も注目していきたいと思います。

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